英語を読んだり、書いたりすることの個性

先日、NHKで学習障害の読み書きについても取り上げた番組がありました。英語の読み書きについて苦手感がある生徒は、私が英語を教えていて、必ず何人かいます。知能に問題はありません。

一生懸命取り組んでいるが、その努力に見合った結果が出ないという苦しさがあります。周囲に理解されず、「努力不足」とレッテルを張られたりします。

番組では、日本語の読みについて、具体的に、どういう状態なのかということを示していました。ある文字は、そのままに読めず、まず、ある記号に見えます。その記号を頭の中で検索して、その文字の音であると認識しながら読まなくてはならないということの例でした。音読する時に、文字の音をそのように頭の中で探すので、

1、非常に時間がかかる 2、とてもエネルギーがいる作業なので疲れる

という状況になるそうです。読めなくはないが、上記のような場合が多いとのことです。

英語は、もっと顕著に上記の状況が出ます。日本語では、そんなに大きな問題ではなくても、英語だと英語自体がとっかかりのない記号みたいなものなので、さらに認識が難しいと言われています。

「読めるが書けない」という場合もあります。タイプで打つとできるというケースも出たりします。知能とはまったく関係無い頭の中のできごとなのですが、「簡単な単語も書けないだめな生徒」とレッテルを張られ、つらい思いをする場合があるので、ぜひ、保護者の方には、理解をしてほしいことです。

ただ、その見極め、また、程度は、本当に様々で、決めつけるのは、問題です。読み書きについては、長い目で見守ってあげる、また、回数を重ねることで少しできることもあるので、本人の苦痛にならない程度にサポートするというのが大事だと思います。

人の能力は、様々ですが、読み書きを最低限度の力と見る傾向が強く、本人の自己評価が低くなることが多いです。

NHKの他の番組で、同じような個性を持った方のコメントとして、「母親がダイヤモンドのような自己肯定感を持っていて、あなたは大丈夫、もっと自由にしてもいいくらいと言ってくれて来たことで救われた」と語っていました。

当教室は、少人数のクラスになるので、読み書きについて他の生徒と比べてしまうと「自分はできない」あるいは、「してもしょうがない」という気持ちになる生徒もいます。しかし、それぞれの生徒は、「コツコツ、CD学習を頑張る」、「表現力が豊か」、「オリジナルな発想力がある」、「英語で歌ったり、話したりすることを楽しむ」、「友達と協力して成し遂げることができる」などなど、利点をたくさん、持っています。

文字の読み書きについては、投げ出さないで少しずつ練習をして欲しいですが、保護者の方も、本人も読み書きがうまくならないという理由で、「英語教室に来ていても無駄ね」という判断をされるのは、とっても残念に思っています。

ずっと以前、大学受験まで指導していた生徒ですが、「中学生までに音をしっかり身に着けたこと」がそれ以降の学習に生きていて、物理学専攻という道に進みました。彼の場合、中学の定期テストは、筆記ではなく、口頭試験というもので、書けないということを考慮してもらったぐらいのステージレベルでしたが、パソコン入力の時期になると、書くことは、手書きでなくてもよくなり、自分の力を生かせるようになりました。

いろんな個性を持った生徒たちです。クラスメートとしていろんな個性の中で、切磋琢磨してほしいと思っていますが、「今日も1日楽しかった」と充実感のある日々であって欲しいと願っています。ダイヤモンドまでは、行かなくても鋼のような自己肯定感があれば、「乗り越える」という生き方ができるかなと思います。

現在、奈良県の発表会に出演する3,4年生のクラス準備の段階で、自分の良さを発揮し、どんどん光り輝く生徒たちを見るのが、指導者として幸せです。失敗もあると思いますが、それも力です。

イベント授業について

ハロウイーン、クリスマス時期になると講師仲間の方たちが、とても悩みます。「毎年、同じゲームではあきてしまうので、パーッと盛り上がるゲームを常に考えていく必要があるから大変。」と。保護者の方々も子どもたちも、異文化に触れる楽しい時間を期待されているのだと思います。いろんな工作を考えていく先生もいます。

私自身の経験ですが、生活していた国の友達のご家庭では、そんな派手なゲームをしていたのを見たこともなく、もっと宗教的な家族での行事でした。

ハロウイーン行事がさかんなアメリカで暮らしたことがないのですが、息子家族が住んでいて、「アメリカでは、ハロウイーン時期、仮装して、家を飾り付けて楽しむ」ということを知りましたが、その国に根付いている心の行事のようです。

クリスマスについては、子どもたちの楽しみは、プレゼント。クリスマスツリーの飾りつけも楽しく。でも、特別なゲームをして盛り上がるということは、幼稚園でも学校でもありませんでした。

讃美歌を歌って、みんなで楽しむということは、よく、行われていました。そして、特別な料理を楽しむという感じです。

当教室のクリスマス授業は、幼児さんたちは、おやつを配りあい、みんなの気持ちがいっぱいになったおやつを持って帰ります。 紙皿で、クリスマスプレートを作成ということもしたりしますが、飾りつけを手作りという気持ちに通じていると思います。

小学生以上は、クラスメートとのプレゼント交換です。何にするか自分で、あるいは保護者と考えてもらいます。だいぶ以前に、交換用のプレゼント、「用意しておいたわよ」とママに渡され、何が入っているか知らないという生徒が出現したのにびっくりし、保護者の方々には、「考える時間に使ってください」とお願いしています。

授業は、ゲーム中心ですが、目的があります。「英語だけでゲームの方法を理解し、実践する時間」「友達と仲良くなる時間」「今までインプットしてきた英語を確かめる時間」という風にしているので、特別なクリスマスのためのゲームは用意しません。クリスマスソングを歌って、チーム対抗カルタ取り、チーム対抗イントロドンゲームなどです。しかし、英語の力だけを試すゲームだけではなく、他の力で競うゲームも必ず入れます。お互いを知る上でとてもいいです。(例年、同じですが)

「ハロウイーンもクリスマスも、特別なアイデアのゲームを毎年考えるということはしない」というと、「すごい、それでゆるされているとは、特別な教室ですね」と言われるのですが、本来、その国で行われている行事には理由があるので、異文化理解ということであれば日本風にアレンジしない方がいいなと思うこともあります。

「英語教室だから、夢のような盛り上がるゲーム大会があって当たり前」と期待されているので裏切れないという教室は、先生たちの努力でなりたっているようです。

mpi教材での過去形の習得方法とは?

mpi教材での英語の過去形の習得方法は、保護者の方々が、中学の授業でしてきた方法とは、まったく違います。日本語で過去形を言えるようになった方式に似ています。

例えば、日本語で、ママやパパが、「昨日、動物園で、ぞうさんを見たよね。ペンギンさんも見たよね」という話しかけをたくさんしていて、赤ちゃんから幼児さんになっていく時に、「ぞうさん、見た、ペンギンさん、見た」という言葉を、例えば、目の前にゾウやペンギンを見ている時にも言ったりします。 たくさんの間違いを経て、なんとなく、以前起こったことは、「見た」、今は、「見てるいる」、これからのことは、「見る」などなどの変化形を習得していくのではないでしょうか。

まず、いろんな変化形を場面に応じて、聞き、また、たくさん真似をして、そのデータベースを整理することができる時が来て、使い分けができていくのではないでしょうか。

mpi教材では、歌、チャンツの本で、いろんな過去形を歌います。まず、その音を知らなければ、言えなければ、頭に残っていなければ、すっと次の段階に入れません。

Who took  ?  Did you ever see   ? などのフレーズを楽しく、インプットしたあとで、

もっと英会話たいそうという教材で、

How was school today?  Did you bring your umbrella ?   I got it for my birthday.

My brother saw a ghost. Where did he see it?

などの英文を歌ってジェスチャーして、カードの絵で、インプットしていきます。

そして、現在、3年生のクラスから(2年生でスタートしているクラスもあります。)、生徒同士で、

How was school today?  Did you bring your umbrella

と会話しています。

余談ですが、「傘は、持ってきていない」という生徒には、Why ?と尋ねます。聞かれた生徒は、「え~~」と考えます。「そんな英語、習ってないよ」という顔ですが、私が、天気の歌を歌いだすと、「It’s sunny today.」で、オーケーです。さんざん、歌ってきているので、フレーズがすっとでます。

そんな風にしてためてきたデータベースを4年生では、QA50という教材で、パターン別英文ごとの練習の中で、「Did you ….?」の質問文と答え方をしっかり練習します。

毎回、授業中にしている「Japan チャンツ」教材で、写真を見せて、

「Did you  ever see it?」 と 聞くと、ポカンとするのですが、「Did you ever see a robot?~~」という歌を私が歌いだすと、「あ~~あ。」と納得。 また、余談ですが、小学2年生の女の子が、3年生のクラスで頑張っていますが、わからないものが出てくると「What is it ?」とすぐに英会話たいそうのフレーズで聞きます。ぴか一です。使って生きる英語です。

5年生で、自己表現ワークブック2で、自分が言いたいことのために使う一般動詞の過去形をしっかり練習するということに繋がっていきます。冬休みの出来事を3学期に振り返って、過去形で言います。

知っているだけでは使えず、さっと答えられる訓練が無いと、会話にならずですが、先にそういう力をつけておいて次に、「英語の仕組みはこうなっている」という6年生教材、グラマリング教材につなげていきます。

また、6年生の自己表現ワークブック3では、英文構成方法にのっとった英文を書くコーナーへとなっていきます。一般動詞、Be 動詞も織り交ぜます。使うということがとても助けになります。目標は、使えるようになることです。

日本語でさえも何万回?も使って使えるようになっているのですから、英語もたくさんの繰り返しの中で、スパイラルに力をつけます。また、教室英語のいいところは、英語のインプット量が圧倒的に少ない環境の中で、「これだけは、マスターしておけば困らない」というコアの英文にフォーカスできることです。

また、普通に留学をしていても、場面はころころ変わります。「あれ、何だったかな」とすっと過ぎても、その英文にいつ出会えるかわからないので、インプットしにくいことも多いと思います。習得には、回数を重ねることが必要です。

そして、教室で、コアの英文を「聞くー>マネするー>言うー>理解するー>使う」 という順番の環境を与えられ、自分で仕組みに気づくチャンスがたくさんあれば、「自分で英語の仕組みをマスターしていく」という姿勢につながるのではと思っています。

中学校で、「英語を知識として体系的に学ぶ、日本語との翻訳技術」という授業も大事だと思っています。それは、「情報をカテゴリーに分類し、関係性を理解する」というアカデミックな力へとつながると思うからです。「使える英語」とは、別の分野ですが、「使える英語がたくさんあれば整理するというエネルギーだけでいい」ということもあるので、小学生の間の活動は利点です。もちろん、中学英語の力が、もっとコミュニケーション英語力に役に立つとも思っています。

「英語の知識」と「使う練習」は、同量が望ましいと松香洋子先生も書いていらっしゃいます。

また、教えてもらうのではなく、「自分で開拓する、伸びていく」ことができるようになる力をつけてほしいです。

ご両親が、今、ご自分自身について、「こんな風だったらいいな」と思われている「生きる力」があると思います。何かができるということではなく、「いろんなことを乗り越える力」という意味です。英語という第二言語の習得も、「生きる力」の構築の一つとなればと思っています。

いつも、うまく生徒たちが頑張ってくれるというわけではないので、指導者は、戦いの日々です。生徒が、あまりにも忙しい生活を送っている場合、「生きる力の構築」どころではなく、とにかく「ゆっくりする時間が欲しい」という環境になっているようです。ゆっくりするのは、とても大事なので、優先してください。

英語だけが人生ではないので、楽しい毎日を送る中で、バランスがとれることが一番大事だと思います。「英語練習を毎日の生活の中で工夫する」ということができるといいなと思いますが。

知識だけを覚えこませ、英検の資格をとったり、中学になったら定期テストでいい成績をという英語教室ではないので、本当にご理解いただいている保護者の方には、感謝しかありません。

 

 

 

 

3,4年生のプロジェクト

英語教室でプロジェクト?と疑問に思われると思います。 発表会に向けての練習は、1つのプロジェクトととらえています。みんなで作り上げるグループでの発表は、協力することが大事です。

今回、3年生3クラス、4年生3クラスが県の発表会「mpi フェステイバル in 奈良 2018」に参加します。10教室の合同発表会になるので、基本、1教室4エントリー参加ですが、少しオーバーし6エントリーをゆるしてもらっています。

mpi学園前からの演目は、「mpi教材を自分たちでアレンジし、発表演目に仕上げるという目標のプロジェクト」と考えています。

単に、「教材を覚えて言う」ということの先のことです。教材の英語を「きちんとしたリズムで、その英語の伝えたいことをジェスチャーや顔の表情、声のトーンなどで言う」のは、まったく当たり前。その先の「みんなで考えて作り上げるという経験」をして欲しいです。

「だれかがなんとかしてくれるから、自分は、なんか、そこにいればいい」という考えは、捨てて欲しく、全員参加、みんなで作り上げるという経験をして欲しいです。

自分の殻を破る必要があります。 表情豊かに大きな声が恥ずかしい年齢にどんどんなっていますが、「自分の言いたいことを伝えるには、それが無いと伝わらない」という場合、「自分だけは適当に」では、頑張っているメンバーの中で、どうでしょうか。

余談になりますが、本当に、上記ができていなくて「英語だけ言えた」では、伝わらないのです。海外で、自分の英語がまったく通じないという経験をすることが、本当は、とても効果的なのですが、小学生ではまだできないです。

また、「海外旅行であんまり英語を話さなくてがっかりでした」という場合もあると思いますが、「積極的に話しに行く」、「なんとか通じさせようと努力する」という態度が無ければ、英語は言いたくないと思います。

日本語でできる生徒でも、英語になるとだめという場合もあります。英語での練習がとても大事です。

「たくさんの人の前で、通じる英語が言える態度を重ねること」が、一つ、役に立つ思っています。英検に受かってるからだけでは、使えない英語と思います。自主的に英検受検準備で取り組んでつけた英語力をコミュニケーションに生かしてこそ、本当の力になると思っています。

そして、それを工夫して、みんなで作り上げる力が、3,4年生のその後の英語に取り組む態度にかかわってくるとも思っています。

「英語は外人さんとの一対一で、スカイプレッスンが一番だ」というお考えの保護者の方もいると思います。「小学校でも自主的に協働することなんて経験するし」と思われる方は、とても多いです。しかし、「英語でする」という経験は、「英語で自主的に協働する」場合、必要です。

ひとりひとりの生徒が、1つステップアップする経験になっていると思います。「自分の言いたいことを英語で伝えたい」という気持ちがあれば、たくさん英語を覚えたり、文の仕組みを理解したいという気持ちに繋がります。

「なんか習慣で英語教室に来ているけど、どんどん難しくなるし、もう、英語はやめたいな」という気持ちになる5年生にならないための経験になったらとも思っています。こういう経験をしても、「英語を話すことに魅力が無い」場合、違う方向へ進む勇気があるのは、とても大事だと思います。

人生は英語だけではないので、今まで教室で経験したことを生かし、羽ばたいていく生徒を応援し、送り出しています。

1年生がフォニックス練習でしていること

1つのアルファベットには、1つの決まった音があります。 Aエイは、アルファベットの名前です。音は、口を横に開いてあごを下げて出した時の音です。

この一つ一つの音をマスターしたとしても、ひらがなのようにすぐに読めるとはなりません。足していく練習が必要です。そして、速く読む訓練も効果的です。

英語は、数限りない文字の組み合わせがあるわけではなく、いわゆる「韻を踏む」というグループがあります。

en グループであれば、 p-en pen h-en hen t-en ten という風に言葉ができていきます。

アメリカの4歳用のフォニックス学習絵本は、このグループごとの練習です。イギリスで今、アルファベットは、名前を覚える前に、この音を覚えたらいい、また、大文字はあまり使わないから小文字から練習という学校もあると聞いています。

p-en pen h-en hen t-en ten  の練習のあとに、

pen を見せると pとen と分けてまず、読んで、次に繋げて pen と読む練習をしています。 単語の文字を音に分けて繋げる練習をたくさんすることで、読める英語が増えます。しかし、もともとのpenの音を聞いたことも無ければ、音をつなげることができません。

たくさんの英語の音を知っていることが読める力に影響をします。そして、今、このグループ英語をたくさん練習することで未知の英語を読めるようになり、自分で新しい言葉を覚える力にしていきます。

BBLシリーズは、この練習のための物語がたくさんあり、幼児さんたちは、文字はわからないけど、楽しい物語につられ、たくさんの英語の音を言い、遊んでいます。

次に、音としてpen と聞いた時に、p – enと分けられると、文字化できます。読めるようになったら、こうやって書く練習です。 1年生の間に、3文字単語の基礎がマスターできると楽しいです。ただ、書くことはとても大変な頭の作業になるので、完成は、3年生がいいと思っています。全員の成長の段階が、「3年生ならフォニックスが理解できる」というところまできます。

フォニックス学習は、とても個人差が大きいです。

でも、最後は、みんなできるようになります(中学に入るまでには) それぐらいのスパンで、考えてても間に合います。 フォニックスで苦労した生徒も、英検合格をできています。

3,4年生で「フォニックスがうまくいかないから楽しくない」となると、とても残念に思います。英語は、この力だけではないのですが、どうして、フォニックス学習の比較で、「自分はできないからクラスで楽しくない」と思ってしまうのか。思春期の脳の働きのなせることかなと思い、生徒の気持ちに寄り添いたいと思うことがあります。人には、いろんな得意分野があります。それを誇りに思ってほしいです。

フォニックスが苦手な場合、少しずつ努力するという経験にして欲しいです。少しは努力しないと克服できない分野があります。1,2年生のころは、「好きなことだけしていたい」気持ちが強いですが、3年生からは、「できるようになるためには、少しずつ頑張る」という気持ちが芽生える時期です。

1年生は、できることが楽しーいという練習を重ねて欲しいです。

 

効果的に伝える態度

伝える内容がしっかりしていても、ぼそぼそ小さな声で自分にしかわからない英語で伝えたとしても伝わりません。また、しっかり英語を発音していると思っても、世界にはいろんな英語が存在します。それを補う「伝える態度」が必要です。

悲しいことは悲しいように、うれしいことがうれしいように伝えないと伝わりません。日本語は、態度が大げさでなくても、ことばで表現できますが、英語では、ことばだけでは伝わらないことがあります。

これも以前ブログで書いたと思いますが、イギリスで、私は、日本人ママたちとフラワーアレンジメントをイギリス人の先生に習っていたことがあります。私がお休みした次の回に行くと、先生が、「○○たちは、本当に習いたいの? 悲しそうだけど」と言いました。必死に英語を話していると厳しい顔になっていたらしく、「感謝のことば」も「できるようになってうれしい」という言葉も、表現力で伝わっていなかったようでした。

高学年になっていくと、思春期ということもあり、「とりあえず英語を言えればいいのよね」となりがちです。そこに気づいてほしくて、様々な仕掛けをしています。

今回、県の発表会で3年生3クラス、4年生3クラスがスキット(小さな劇)演目で参加しますが、3年生の1つのクラスの表現力がすばらしく、さっそく記録し、4年生のクラスに見せたところ、「何が自分たちに足りないか、即時にわかり、殻を破った生徒」たちがいました。もともと力はあるのですが、恥ずかしいという年齢になっていて、棒読み英語、小さな声で止まっていました。

幼児さんたちは、たくさん英語で遊んでいるので、英語は、DVD,CDで聞こえてくる英語しか知りません。そのまま、日本語と同じ感覚で使っています。これをずっと維持できたらと苦労していますが、だんだん口が開かなくなる高学年です。

伝わらない英語ができるようになっても、大変残念だと思います。表現力、英語のリズムが鍵です。

 

伝える内容の構成

英語の文章は、書くためのルールがあります。それを「英文構成方法」と呼ぶ時があります。それは、論理構成を学ぶこととなります。その論理構成を明確にするための決まり文句があります。文を読んでいく道しるべのようなものです。

簡単な構成を紹介します。

一つ目のパラグラフで、これから書こうとしている英語のカテゴリー、トピックを伝えます。

「カレンダーについて興味がありますか。一番古いカレンダーは、・・・・。」という風に始めたら、「カレンダーの話だ。カレンダーの歴史の話が始まるのかな」という風に、読む準備ができます。

日本語もそうですが、文章を読む時に、1つの文章を読んでいる時に、次は、こんな展開になるかなと推察しながら読んでいます。その頭の動きは、速いので自覚はしていませんが。また、書かれいていることについての「自分の頭の中にある知識」を検索しながら読むとも言われています。

カレンダーという自分の知識を検索し、書かれていることを理解しようとします。

英語の文章の場合、「1つのパラグラフには、1つの言いたいことしかいれない」という原則があります。その展開もある程度のパターンがあります。

カテゴリーー> トピックー> サポート文ー> 事実や意見ー> まとめ

みたいな感じです。この順番がぐちゃぐちゃだと、何を伝えたいのかわからない文章になります。また、この→の論理が通っていないと言いたいことが伝えられません。

それを基礎から練習するのがmpiカリキュラムです。

伝える力を育てること

以前のブログでも書いたことがありましたが、イギリスに住んでいた時に、発表教育がとてもさかんでした。

幼児さんたちは、歌の発表。小学生ぐらいでは、演劇発表もあり、高学年の発表は、見ごたえがありました。

また、お友達の家に遊びにいくと、Tea と言われる「子どもの夕食」時間が終わってからがお迎えでした。5時ぐらいがその時間で、6時ぐらいにお迎えにいきます。低学年は、7時から8時の間に就寝しというお友達たちでした。

ママも交えての食事なので、大人ときちんと会話します。パパが帰宅しているお宅もあり、きちんと大人と会話する時間を持ちます。

人ときちんと会話ができ、また、大勢の前で発表できる力というのが、イギリス社会で生きていくのに大切な力ということがよくわかりました。もちろん、立場にもよると思いますが。

AIの時代になれば、「英語を話さなくても翻訳機がありますよね」と言われる方もいますが、「難しい語彙が必要な事実を伝えるのはAIが得意かもですが、心を通わす会話は、やはり人間同士ではないでしょうか」と思います。

「日本語でできるようにしておけば、英語でもできますよ」と言われる方もいますが、「英語での伝え方をマスターしていないと伝えることができないこともあります」とお話することがあります。英検の現場は、それを問います。

単語をたくさん知っていることが英語を伝える力になるわけではなく、伝え方がとても大事です。

それができることが「アルファベットを全部書ける力」よりも、必要です。伝え方を練習する分野を柱の一つとしているのが、mpiカリキュラムです。

英検は、目的ではなく、コミュニケーション力のためです

英検にさえ、受かれば、英語は大丈夫との認識の方が多いと思います。

当教室でも、今年は、中学1年生に3級合格と準2級合格の生徒がいますが、mpi教材で培った力を応用する場面と思っています。

昨年度は、6年生に5級合格、4級合格、3級合格(6年になるまでに)がいましたが、その受験も上記の意味で「自分で練習していく力」を養う場面ととらえています。自宅学習が苦しかった生徒もいたようですが、ガンガン練習問題をさせ、無理やり合格させるような授業はしていません。それまでの学年でも、mpiで培った力で英検受検を希望する生徒もいます。

リスニング問題のスキルの練習は、少し、しますが、それは、解答する力は、「賢いリスニング」の力になるからです。長文問題もスキルを訓練しますが、それも、読むためのスキルです。

無理やり単語を覚えたり、練習問題だけで合格しても、コミュニケーション力のためにならないのなら、消えていく力だと思っています。

今回合格した中学生たちは、「自習の力」をぐんとまた身に着け、たくましくなっています。次のレベルの英検合格ぐらいの評価をもらって合格した生徒たちもいます。

この生徒たちも発表力は、素晴らしく、どこに出しても、自慢の「笑顔で発表できる」生徒たちです。それがあっての英検受検と思っています。

Aから覚えなくていいです

好きな文字から覚えるのが当たり前です。

うちの5歳の孫が3歳の時から、アルファベットに興味を持って接していますが、まず、自分の名前。次に弟や、ママ、パパなど、家族の名前。友達、先生の名前と興味を広げ、そこに出てくるアルファベットから覚えていきたがりました。

我が家の子どもたちがイギリス時代、たくさん、カードを幼稚園で書いていました。そこからアルファベットを書きたがるというふうです。

年長さんから、小文字を書く練習を始めますが、アルファベットの小文字は、とても大変です。ひらがなや漢字ではないので、記号みたいなものです。

で、まず、書けるという訓練から始めます。

c eのペアで、練習。 c gのペア、次は、 g j のペア、c d のペアという風に、向きを習得する訓練をたくさん、します。

次に、g j p q y というしっぽがついた小文字のグループという練習をします。

現在は、大文字と小文字を結び付ける練習をしています。hと nの違いを、今、しっかりまた、練習しています。

目的は、書けるようになることではなく、形を認識し、できたら、音と結び付けさせたいと思っています。

アルファベットの1文字1音という、フォニックスの基本の音の練習は、年中さんの4月から、へんてこABCというとっても楽しい教材で、練習しますが、みんな大好きで、すぐに覚えます。

たくさんのアプローチが必要です。

保護者の方々には、まず、ご自分の英語習得認識から、頭を柔らかくし、ご理解いただければ、自宅練習も効果的と思います。

「書けば覚える」の前に身に着ける力

まず、書き写すための脳の働き、腕、手の働きが必要です。

脳がまっすぐ線を書けと命じても、まっすぐ書けない手のスキルでは、書けません。まず、手の動きを訓練する必要があります。アルファベットを書き写す練習は、それにとても優れていると思います。

文字の形もたくさん、見る必要があります。見たことがない文字をいきなり覚えろと言われても、難しいです。文字の形の違いを認識できる力も、頭の訓練です。

幼児期にアルファベットを練習するのは、頭の訓練にとてもいいと思います。アルファベットを利用するという気持ちで、アルファベットをたくさん、遊ばせます。

年中さんの2学期から書かせていますが、みんな大好きです。小学校1年生からだとお勉強になってしまい、つらそうでした。

年中さんから書いているなら、覚えて当然、と思われる保護者も多いと思いますが、別のブログで書いているように、文字と音の関係のマスターの力には、幅があり、小学生でも、できない生徒もいます。同じように練習を重ねていてもです。文字に興味が持てるかということや、タイプもあります。知能とは、いっさい関係ない場合も多いです。

アルファベットが書ける力が、英語のコミュニケーション力と比例するわけではないので、生徒それぞれのペースを大事にしたらいいと思っています。

まず、文字が書ける手のスキルを高め、文字を認識する頭を育てるのが幼児期のアルファベット習得と思います。

ひらがなを覚えても、絵本をすらすら読めるようになるには、相当な時間がかかりますが、たくさん、ひらがなに接して、やっとできます。

英語も同じです。たくさんの英語の音を習得し、文字が分かり始めてからは、相当な回数の訓練が必要です。

そうやって育てた5年生は、自分でどんどん英語を読んでいっています。物語の理解は、絵や知っている英語のことばで、つないで理解します。その中で、新しいことばは、自分で習得していけます。

こういう5年生に育てる練習は、年少さんから始まっています。

アルファベット習得は、ほめることから。

ことばを習得するためには、いろんなことをしていきます。母語を習得する過程と同じです。

犬を見て、「わんわん」とママが言えば、「わんわん」と真似をし、次に「犬」ということばに置き換え、「犬とはこういうものだ」という認識ができるので、知識が増えていきま。知識は、ことばに宿っています。

次に犬を見て、「dog」と聞けば、そうか、「dog」ということもあるんだという、頭が発達し、ことばには、ひとつだけではなく、違う言い方もあるという論理が一つ芽生えます。それも、大事な考える力だと思っています。

で、日本語で培った犬についての知識は、「dog」にも当てはまっていきます。音を聞けば、物語の中でも、ストーリーを追いかけていけます。音の記憶が、一番覚えやすいそうです。

ただし、9、10歳までは、目の前のものを覚える力は、すぐれているが、常に接していないとその記憶が消えるという時期と言われていて、その後、自分の頭の中にインプットされた言葉を入れるカテゴリーができ、体系化していけるので、かなり、長く覚えていられるということを言われることがあります。

なので、幼児さんの英語は、身近なもの、幼児さんたちが好きなものを取り上げることが無駄がありません。まず、そういうものでないと興味はありませんし。

で、アルファベットも、音から入り、楽しいものという認識から、いろんな分野からアプローチします。

書き写す力を一緒に養うことができるのが、アルファベットのいいところだと思っています。

まっすぐの線を書く力、カーブが二つあることを認識する力。すべては、知能に繋がっていくと思います。

年長さんんで、「きれいにアルファベットを書き写せる生徒」から、「どうしても、まっすぐ線が書けない」「mの山が二つあることがわからない」「WとM」の違いが認識できないという生徒まで、いろいろいます。同じ時期に、アルファベットの練習を始めた生徒たちです。

文字に対する力は、こんな風に幅がとても広いです。認識できない生徒こそ、早くからたくさん練習することが先へ繋がると思っています。でも、「怒られて、テストされて、どうしても覚えろと言われて」の中では、絶対にしたくありません。

何を書いても、ほめてもらえ、そのほめてもらえる状況をたくさん、作りたいので、何回も書いていくうちにできるようになります。

ほめることがとても重要です。

幼児クラスでのアルファベット練習

中学1年の1学期、宿題でアルファベット帳を渡され、ひたすら書いて、テストを受けた経験がある保護者が大半だと思います。アルファベットは、そう覚えるものとの固定観念をお持ちの方が大半だと思います。

ひらがなも、小学校1年生の時にそうやって練習したという記憶もあると思います。でも、ひらがなの場合、音を知っています。音を知っていて、それを文字にあてはめることで覚えていけています。

英語を習う時に、音が無いのに覚えなさいは難しいと思います。

ことばは、まず、音が最初というのは、私たちが、ことばを覚える経験でわかります。

で、幼児さんたちも、アルファベットの歌を、何回も歌いますが、どれがどの文字にになるかという練習は、次の段階です。

まず、形を認識する必要があります。形を認識するのは、書くことが有効ですが、それを書き写す力が要ります。まっすぐ線が書けない。2本の直線があることが、認識できない。カーブが書けないという段階が幼児さんにはあります。

たくさんのお絵描きをしながら、視覚と運動機能を結び付ける訓練をしているのだと思う時があります。

そういう時期にどうして、アルファベットを練習させるか。それは、英語の本を読める時期を中学まで待てないからです。また、アルファベットの音を覚え、フォニックスを練習し、また、英語の音のインプットをしっかりすれば、小学生でも英語の本を読んでいけます。

なぜ、英語の本を読ませるか。 それは、自分で、英語をインプットしたり、英語の世界で、視野を広げることができるからです。本は、心の栄養です。

こころの栄養のために、幼児さんからアルファベットで遊びます。