英語を読んだり、書いたりすることの個性

先日、NHKで学習障害の読み書きについても取り上げた番組がありました。英語の読み書きについて苦手感がある生徒は、私が英語を教えていて、必ず何人かいます。知能に問題はありません。

一生懸命取り組んでいるが、その努力に見合った結果が出ないという苦しさがあります。周囲に理解されず、「努力不足」とレッテルを張られたりします。

番組では、日本語の読みについて、具体的に、どういう状態なのかということを示していました。ある文字は、そのままに読めず、まず、ある記号に見えます。その記号を頭の中で検索して、その文字の音であると認識しながら読まなくてはならないということの例でした。音読する時に、文字の音をそのように頭の中で探すので、

1、非常に時間がかかる 2、とてもエネルギーがいる作業なので疲れる

という状況になるそうです。読めなくはないが、上記のような場合が多いとのことです。

英語は、もっと顕著に上記の状況が出ます。日本語では、そんなに大きな問題ではなくても、英語だと英語自体がとっかかりのない記号みたいなものなので、さらに認識が難しいと言われています。

「読めるが書けない」という場合もあります。タイプで打つとできるというケースも出たりします。知能とはまったく関係無い頭の中のできごとなのですが、「簡単な単語も書けないだめな生徒」とレッテルを張られ、つらい思いをする場合があるので、ぜひ、保護者の方には、理解をしてほしいことです。

ただ、その見極め、また、程度は、本当に様々で、決めつけるのは、問題です。読み書きについては、長い目で見守ってあげる、また、回数を重ねることで少しできることもあるので、本人の苦痛にならない程度にサポートするというのが大事だと思います。

人の能力は、様々ですが、読み書きを最低限度の力と見る傾向が強く、本人の自己評価が低くなることが多いです。

NHKの他の番組で、同じような個性を持った方のコメントとして、「母親がダイヤモンドのような自己肯定感を持っていて、あなたは大丈夫、もっと自由にしてもいいくらいと言ってくれて来たことで救われた」と語っていました。

当教室は、少人数のクラスになるので、読み書きについて他の生徒と比べてしまうと「自分はできない」あるいは、「してもしょうがない」という気持ちになる生徒もいます。しかし、それぞれの生徒は、「コツコツ、CD学習を頑張る」、「表現力が豊か」、「オリジナルな発想力がある」、「英語で歌ったり、話したりすることを楽しむ」、「友達と協力して成し遂げることができる」などなど、利点をたくさん、持っています。

文字の読み書きについては、投げ出さないで少しずつ練習をして欲しいですが、保護者の方も、本人も読み書きがうまくならないという理由で、「英語教室に来ていても無駄ね」という判断をされるのは、とっても残念に思っています。

ずっと以前、大学受験まで指導していた生徒ですが、「中学生までに音をしっかり身に着けたこと」がそれ以降の学習に生きていて、物理学専攻という道に進みました。彼の場合、中学の定期テストは、筆記ではなく、口頭試験というもので、書けないということを考慮してもらったぐらいのステージレベルでしたが、パソコン入力の時期になると、書くことは、手書きでなくてもよくなり、自分の力を生かせるようになりました。

いろんな個性を持った生徒たちです。クラスメートとしていろんな個性の中で、切磋琢磨してほしいと思っていますが、「今日も1日楽しかった」と充実感のある日々であって欲しいと願っています。ダイヤモンドまでは、行かなくても鋼のような自己肯定感があれば、「乗り越える」という生き方ができるかなと思います。

現在、奈良県の発表会に出演する3,4年生のクラス準備の段階で、自分の良さを発揮し、どんどん光り輝く生徒たちを見るのが、指導者として幸せです。失敗もあると思いますが、それも力です。