インプットしていないと話せない

イギリス時代の話しです。

ある駐在日本人家庭で、すでに滞在が何年かに及び、小学校高学年になった息子さんが、英語が苦手なお母さんの通訳をしていました。

でも、お母さんは、

「お医者さんに行った時に、きちんと通訳してくれなくて、情けなかったのよ。

弟の症状を伝えて欲しかったのに、いつ熱が出て、鼻血も出たってぐらいのことが言えなくて。」

と話されました。

でも、小学校高学年の男の子の話題に「先生、うちの弟は、こうこう、こういう症状ですが、どうでしょうか?」ということは、無かったのでは?

もちろん、習得した英語を組み合わせてある程度の応用はしていけると思いますが、まったく出あったことの無い場面の英語は、知らなくて当たり前です。

お母さん、無理言ったら、だめですよね。

英語をぺらぺらしゃべりだしているように見えたとしても、インプットされていない場面の語彙は、わからないです。

さて、その会話に接する場面に遭遇しなくてもインプットを続けられる方法の1つに読書があります。

松香先生が話されているように、「自分で英語をインプットしていける方法」です。

そのためには、文字が読める必要があります。

しかし、文字が読めるという前に、「たくさんの音のインプット」が必要です。

そして、実は、「音を瞬時に分析する力」が読めることにもつながるのですが・・。

「音を聞いたらことばの意味がぱっとわかるということがあって、文字を見たときに、音がわかり意味につながるということ」は、

読むためのボトムアップの方法。

「今は、この話題の話しが続いてるからこのことばはこれかな?」とわからない言葉などを推察して読める力は、

トップダウンの方法。

どちらもの力も必要です。

この音の力を鍛えるのに最適なのが児童英語の年齢なのではないでしょうか。

ボトムアップとトップダウンの力、どちらも必要です。

自分でインプットできる力を最終的には目指したいです。

子どもたちの「Tea」の時間

イギリスの子どもたちには、「Tea」に招待されるという習慣がありました。

これは、放課後(3時から3時半くらい)、自宅には帰宅しないで、友だちの家に直接、友だちと一緒に帰り、4時から5時くらいに、軽い夕食をいただき、親は、6時くらいに迎えに行くという習慣です。

「Makikoもお茶していくよね」ってことで、少し、親どうしおしゃべりを楽しむ時間を経て、帰宅となります。

息子が8歳くらいになると、帰宅していたお父さんも一緒に「Tea」に参加し、子どもたちとおしゃべりをする家庭もありました。

お父さんたちにとって、「Tea」は夕食ではなく、紅茶を飲みながら、自分の子どもたちのみならず、招待した子どもたちとも、おしゃべりをする時間です。

大人の人ときちんと話す英語を身につける機会にもなっていたと思います。

我が家の場合、「お父さんは、企業戦士」でしたから、そんな時間には帰宅しておらず、私が話し相手になることもありました。

8歳ぐらいになると、それまで、私を「MAKIKO」呼んでいた息子の友だちたちも「MRS. FUJII」と呼ぶようになり、いろんな話しをきちんとできるようになっていました。

(息子の友だちたちは、小さい頃は、彼らのマミーたちが、私を呼ぶように、ファーストネームで私を呼んでいました。)

「Tea」の時間は、とても大切なものでした。

Better than nothing !

イギリスで、イギリス人の先生に、英語会話の家庭教師として、自宅に来てもらっていました。

息子4歳、娘7ヶ月。イギリス特有のアクセントに悩み、聞き取れないため、訓練をし、会話の特訓、発音訓練と、いろいろしてました。

娘の昼寝中、息子には、日本から送られたビデオを見せて、時間を確保して。

しかし、そうそう、うまくいくわけではありませんでした。

そんな時、先生は、「Better than nothing!」と、励ましてくれました。

「何もしないより、少しでもできたらいいじゃない!」というニュアンスで。

私のお守りのことばとなり、とても助けら、今でも、座右の銘?です。

我が家の子どもたちのごっこ遊びの思い出

我が家の子どもたちが英語と日本語の両方を習得していった頃のことを思い出すと、今、英語を教えていて、「ああ、そういうことだったんだ。」と思えることがいくつかあります。その中の1つです。

家庭内で、英語を話すことは、他に英語を話す人が来ていないかぎり、親子、兄妹の間では、ありませんでした。

しかし、息子は、おもちゃの飛行機や電車で一人遊びをしている時、英語で遊んでいる時がありました。

また、娘もお人形ごっこを英語でしている時もありました。

幼稚園や学校では、他の友だちと一緒に「ごっこ遊び」をしていました。もちろん、英語で。

そのため、その場面の表現は、日本語ではなく、英語で入っていき、一人の時も、日本語より英語でする方が楽だったのかなと推測されます。

また、これは、ことばのアウトプットの復習になっていたのかもしれません。

場面毎、ごろっと英語がインプットされていたのではないでしょうか。

Are you all right ?

3歳児さんは、いつもお月謝袋を渡してくれるお役を果たしています。

いつも、お母さんに教えてもらい、「Here you are.」と渡してくれますが、先日、
ふと、そのことばを忘れてしまいました。

でも、一生懸命考えて「Are you all right ?」と言いながら、渡してくれました。

これは、英会話たいそうの中のことば。一ヶ月ほど前に、一緒に踊っていました。

英会話たいそう1のフレーズは、全部は言えていなかったのですが、これは、得意としていました。

それが、とっさに口をついて、出てきたのです。とっても嬉しくて、「Thank you.」と受け取りました。

袋を渡すとき、きっと、彼女の頭の中で、「黙って渡してはいけない」、「はい、どうぞではいけない。」、「いつも、藤井先生と一緒にしている言葉を言えばいいんだ」という感じで、出てきたフレーズではないでしょうか。

インプットした状況は、「Ouch! ― Are you all right ?」ですが、 彼女のお気に入りのフレーズとして、残っていたのですね。

初めは、ちょっと違う場面で使うこともあるでしょうが、こんなふうにどんどんインプットされたフレーズを使っていく中で、そのうち、ちゃんと使えるようになっていくんだなって、思えた場面でした。