2012年10月3日
フォニックスとは?
~英語と日本語の学習法の違い~
mpi会長 松香洋子
レポート:小学校英語の現場から

みなさんはフォニックスという言葉を聞いたことがありますか?
英語を指導している皆さんなら、よくご存知の方もいるでしょう。しかし今から30年ほど前、日本ではこの学習法はほとんど知られていませんでした。
mpiの前身である松香フォニックス研究所は、このフォニックス学習法を日本に取り入れたところから始まりました。

レポート:小学校英語の現場から

フォニックスとは?
フォニックスとは英語圏で19世紀の初めに子どものために考案された、英語の「音」を「文字」に結びつけるためのルールです。音と文字にルールなんてあるの?とお思いかもしれません。
日本語ではひらがなとカタカナという文字の「名前」と「音」に違いがないので、そう感じるのは当然です。例えば、日本語では、「あいうえお、かきくけこ・・・・・」と覚えるだけで、単語も文も読めるようになります。一方で英語は、26のアルファベットの「文字」と「呼び方」を覚えても、単語が読めるわけではありません。なぜなら英語のアルファベットの26文字には、「名前」の他にもそれぞれ「音」があるからです。
一体どういうことか? 私どもの指導法では、英語にカタカナのフリガナはつけませんが、ここでは便宜上カタカナを使って説明したいと思います。

アルファベットの「名前」と「音」
例えば、“b”という文字は、“ビー”という「名前」がありますが、その音は“ブッ”になります。“o”は“オ”、“x”は“クス”と発音し、それらの文字が組み合わされて単語となったときに、「box(ボックス)」と発音されます。
cakeという単語ではどうでしょうか。この場合、最初の“c”は“ク”、次の“a”は“ア”と発音せず、“エイ”となり、その次の“k”はク、最後の“e”は発音しないということで、「ケィク」となります。
この場合の末尾の“e”は特別な力があって、フォニックスの「Silent e」というルールに当てはまります。「Silent e」とは、単語の末尾についた“e”は、前の母音(ここではa)を名前読みにする作用をし、自分は音を出さなくなる、というルールです。 ですから“cake”は「ケィク」という読み方になるのです。

日本語と英語の違い
日本語の場合、50音を覚えた後は、4歳や5歳の子どもでも読んだり書いたりできるようになりますが、英語圏の子どもにとって文字が読めるようになる年齢というのは、6~8歳が通常です。英語はわずか26文字の組み合わせで単語をつくるため、その組み合わせはどうしても複雑になります。ですから、子どもが文字を読み始めるまでに時間がかかります。
一方で日本語では、中学生になっても漢字を含んだ新聞や書籍を読みこなすのは難しい場合があります。日本語は読み書きのスタートは早いですが、難しい文章を読みこなせるようになるまでには時間がかかる言語です。反対に、英語はひとたび読むことができるようになると、あっという間に難しい大人の書物でも読めるようになる言語です。
このように日本語と英語では、文字の読み方一つとっても、成り立ちが大きく違います。 日本語の場合、ひらがな、カタカナの次に膨大な量の漢字を「覚える」学習法ですので、その綴り方や読み方を、日々積み重ねて記憶していく方法が適しています。 反対に、英語での読み書きを学ぶ場合は、発音記号などを一つ一つ記憶していく方法よりも、アルファベットの「音」と「文字」の関係 → フォニックスルールを学ぶ方法が効率的です。こちらは類推的な考え方を用いる学習法と言えるかもしれません。文字がたった26文字しかないのですが、それらをグループ分けして(=フォニックス)、類推していくことで、どんどん読めるようになり、読めるようになると書けるようになります。

「文字から入る」英語教育の弊害
実は英語は、音と文字のルールさえ覚えてしまえば、早ければ幼稚園児でも、百科事典や大人向けの本を読めるようになります。もちろん知らない単語がたくさんあるので、意味を完全に理解できるわけではありませんが、書かれた文字を正しく読むことができますし、部分的に内容を察することもできます。
英語はしっかりと音声を入れておきさえすれば、そこから「読む」→「書く」につなげるのは比較的簡単な言語なのです。
しかしこれを、日本語の漢字勉強法と同じように、音よりもまず「読み書き」から始めてしまうと、大変に効率の悪いものになってしまいます。また、スペリングを一つずつ「覚えていく」方法も適していません。音と文字に関係性があるので、それを大いに利用することで、文章を読みながら、単語の書き方も覚えるなどが可能なのが英語なのです。英語を勉強するには、英語らしい方法が一番合っているのです。

子どもは「何かを乗り越える強い力」を先天的に持っている
子どもというのは日々変化し、日々成長しています。それが非常に魅力的なところです。 1年間まったく英文を読もうとしなかった子が、あるときを境にスラスラと読めるようになる。英語教室に入ってきても、“Bye!”としか言わなかった子が、ある日ペラペラと自分のことを話し始める。そのきっかけは、隣の家のお姉ちゃんに教えてもらったからだ、とか、中学で英語の授業が始まったらとたんに、それまでに練習してきたことがいっぺんに開花して、教科書がスラスラ読めちゃったからだ、といった思わぬ理由だったりします。
「分かった!」という瞬間、「楽しい!」という瞬間、「なるほど!」という瞬間など、何か起点となるものがあれば、子どもは思わぬ飛躍を遂げることが多々あります。ですから、“Repeat after me”といった、通り一遍の指示をするのではなく、何か自分の力でこなさせる、できなくても自力でなんとか工夫してやれるようヒントを与える、といった教育法が適しているのが子どもなのです。
そういった意味でも、フォニックス学習法というのは、非常にすぐれた方法です。 日本人の保護者や指導者の多くは、1から10まですべて教えなくてはいけない、と思いがちです。 しかし、子どもというのは、まず1があり、次に2があり、3がありと、始めはゆっくりですが、6ぐらいまで学んだ時点で急に自力で10を探りにいく力を持っています。大人には到底できないような、「何かを乗り越える力」を強く持っているのです。
フォニックスルールを教えたら、どこまで読めるようになったか、何か英語の読み物を与えてあげてください。自分の力で読んでいく事ができるという喜びが、その先の子どもの力を引き出すきっかけとなります。 子どもの力を信じ、言語の特色を知り、その言語にあった教育法を実践しましょう。教えるときは、彼らをめいっぱい楽しませてあげることもお忘れなく。


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