こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2021年7月31日

教室英語を楽しく習得!

聖学院大学人文学部児童学科
小川隆夫

小中学校はすでに夏休み中ですが、大学はもう少し先です。今は最後の授業や試験、そして補講が行われています。

全国各地で教員採用試験が終わり、そろそろ1次試験の結果が発表される時期になりました。4年生はちょっとそわそわしている感じがしますが、発表を待たずに2次試験の論文や面接対策講座が始まっています。最近は個人面接、集団面接など従来からあったものに加え場面指導の問題を出す自治体が増えています。例えば、『将来の夢について』作文を書いています。ある女子児童は『看護師になりたい』と思っていますが、上手に書けないと言います。あなたは、その場で、その女子児童に対してどのような指導をしますか…などですが、こうした問題が教科指導、生活指導などいろいろ設定されています。試験官は児童役になってやり取りをしながら受験者の対応を審査します。受験者の言葉に試験官がどう返してくるかなど台本があるわけではなりませんので練習して慣れないとなかなか難しいものです。

小学校教員養成課程では外国語指導法が必修科目になりました。今学期の私の授業では3年生の9月からの教育実習に備えて模擬授業を頻繁に行いました。どの教科でも模擬授業を行いますが外国語科指導法ではオールイングリッシュの授業に挑戦させています。そのために学生たちは『小学校英語はじめる教科書』pp.194-168にある「教室英語ノート」の表現を覚えます。何回も音声を聞いて言えるようになるまで練習をしますが、ただ単に練習させてテストをしても上手に使えるようになるのは難しいです。

そこで考えたのが一人二役で先生・児童を演じて動画に撮って提出する課題でした。先生役では児童を実際に励ましたり褒めたりしているように、児童役では先生と楽しくやり取りをして英語を楽しんでいるように演じるのが条件です。

p.39から

Who wants to try?

Let me try!

アレンジ・編集は自由、言葉を足しても音楽やリズムをつけてもOK、テキストにある表現を全部入れることだけを約束しました。これが面白いのです。上の写真では先生がWho wants to try?言って、右の児童がLet me try!を言っている場面です。双子ではありません。一人でやっています。もちろんただ単にカメラに向かって声を変えて二役をやる学生や場所を左右に移動するだけの学生もいますが、それぞれが工夫を凝らして見ごたえある動画に仕上がっています。学生たちによると収録した部分の英語表現はすぐに口に出てくるそうです。英語表現を一人とは言え、実際のやり取りの中で使っているのでよく定着したのでしょう。ちなみにこの写真の学生が今回の動画チャンピオンでした。本人の許可を得て写真を紹介しています。私の授業ではこうしたちょっと変わった課題が時々ありますが、学生たちも楽しみながら小学校外国語を学んでいます。

さて、このたび『小学校英語はじめる教科書』の改訂版が8月25日に発売されることになりました。すでにアマゾンなどで紹介されていますが、新しい情報がたくさん入っています。機会がありましたらお手に取ってください。色も鮮やかになりました。それでは皆様、暑さと湿度に負けないようにお過ごしください。


編集後記

小川先生が記事内で紹介している「外国語科・外国語活動指導者養成のために -コア・カリキュラムに沿って-」は8月25日に発売開始いたします。小学校英語関係者必携の一冊となりました。

Web特設ページ https://www.mpi-j.co.jp/store/nb_elementary/


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