まず、mpiイングリッシュスクールズの指導カリキュラムのベースには、以下3つの期があります。
「プレ・フォニックス期」(幼児~小学2年生頃)
「フォニックス期」(小学3~4年生頃)
「ポスト・フォニックス期」(小学5年生~中学3年生頃)
それぞれを説明すると、プレ・フォニックス期は「音声を獲得する時期」、フォニックス期は「プレ・フォニックス期で学んだ事を文字に結びつける時期」、ポスト・フォニックス期は「4技能をバランスよく使って表現する時期」となります。
この3つのステージは人間が言語を獲得する順序に即しています。
それぞれの期では、主に以下のようなことを指導します。
★「プレ・フォニックス期」=音声獲得時期
英語の“シャワー”を浴びる時期です。「top-down方式」で 歌やチャンツ、絵本にいたるまで初めから全部一度に導入します。細部にこだわらず、全体の意味を理解させます。この時期の子供は、何でも興味を持ったものを頭ではなく体で覚えます。
この特性を生かして、英語独特のリズム・イントネーション・プロソディーを体感させます。文字にはあまり意識を向けすぎないことも大切な時期です。この時期はアルファベットを学習する、主に文字認識のステージです。
★「フォニックス期」=プレ・フォニックス期で学んだ事を文字に結びつける時期
この時期にフォニックスを教えます。フォニックスを教える際、プレ・フォニックス期と違うのは、「bottom-up方式」で指導するところです。アルファベットの音を学び、それを組み合わせ、自分で読んで書くところまでを指導します。
基本的には、8個のフォニックス・ルールを学び、自力で、音の足し算をしながら単語を読ませたり、単語を分析させます。
とにかく自分で読ませてみる、そして読める感動を味わわせる事が大切な時期です。読めることを実感することで、生徒は「自立した学習者」へ成長します。「自立した学習者」とは自分で読むことができ(単語だけでなく、ある程度のかたまりの文章も)、
自分で書ける力がついている事を言います。自力で読んだり、書けたりできるようになると、生徒の英語の世界がぐっと広がります。
★「ポスト・フォニックス期」=4技能をバランスよく使って表現する時期
プレ・フォニックス期とフォニックス期を通過し、top-downとbottom-upの両方をクリアして読む力と書く力を獲得することに成功したら、いよいよ自分で言いたいことを表現していくステージに入ります。世界の同世代と話題を共有できることを目指して、自分の持っている英語力を駆使して表現する時期です。mpiの9年間カリキュラムでゴールに掲げている『英語のできる15歳』の完成期です。
なぜフォニックス学習は中学年からなのか?
このようにmpiイングリッシュスクールズでは、小学校低学年では音声インプットに力を入れ、フォニックス学習は小学校中学年からスタートさせています。
この理由についてお話したいと思います。
フォニックス学習でまず大事なことは、始める前に音声のインプットが欠かせないということです。また、アルファベットの大文字・小文字がきちんと認識できて、きちんと書ける(低学年のときは4線上にかけることが望ましい)事が必要になります。
アルファベットは意外と書くのが大変です。運筆力に関しても、日本語とは違う力が必要とされます。またフォニックスは、単語が読めればよいのではなく、ルールを学習し、自分で分析・統合ができるようになったら、その力を使って自分で物語(ある程度の分量の英文のかたまり)が読めるようになることが大切です。
さらに、読めるようになった単語は書ける、ということをゴールに設定しているので、書く力も必要です。 そのためにも幼児期~小学校低学年よりも、ある程度の理解力・文字への知的好奇心が高い小学校中学年がフォニックス学習を始める適正時期(日本の生徒の場合)です。
その他の時期にフォニックス学習を始めたい場合
繰り返しになりますが、フォニックスを始める前にはまず、アルファベットの文字と音が正しく認識されている必要があります。フォニックス学習は、音を聞き分け、発音できるだけではなく、文字を読むことができ、書けるまでが含まれます。
ですから、もし幼児期に何かフォニックスに関連する学習に触れてみたいのならば、『音声インプット』から始めることをおすすめします。
この時期は、子どもに文字を見せても良いけれど、そこにアウトプット(成果)を求めないことが大切です。
ここで大切なのは、正しい音でKeywordsをインプットし、それを正しく言えることです。チャンツを通してフォニックス・キーワード(26文字の音と、その文字を使った代表的な単語)を言ったり、歌をとおして英語独特のリズムやイントネーションを楽しんだり、
この時期には、色々な音(単語)に大量に触れておくことが、遠回りのように見えて実は一番の近道です。結局これは、前述した「プレ・フォニックス期」と同じ活動になります。
幼児期に英語学習をスタートさせるのであれば、「あまり細いことにとらわれず、聞いたもの(歌・本)などを丸ごと覚えられる」ことを最大限に生かすことが大切です。反対に、フォニックスなどの「bottom-up」の指導は、特性を考えるとそぐわないのです。これを松香洋子は「適期指導」と呼んでいます。
ですが、幼児期に良質な音声をインプットすることは、その後のフォニックス学習に大いに 役立ちます。
また一方で、小学校高学年や中学生でフォニックスを始める場合は、理解度も学習集中力もやる気も高くなっていますので、小学生中学年で始めるよりも、早いペースで学習が進むことが多いです。
その場合も、やはりフォニックス学習は音声インプットありきなので、音声インプットをなくしてはいけません。
どの年齢でフォニックスを始めるとしても、大切なのは手順を変えないことです。4技能の「聞く→話す→読む→書く」の手順を変えずに学習すれば、どの年齢でもフォニックス学習は有効です。幼児から始める時は、「聞く」に比重が多くかかり、高学年・中学生で始める時は、4技能を同時に活用しながら学習を進める事が可能です。
フォニックスを学ぶ本当の意義
最後になりますが、以下、松香洋子著『フォニックスってなんですか?』P15を引用し、まとめとさせて頂きます。
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日本語を母語とする私たちにとって、フォニックスを学ぶことはどのような意味があるのでしょうか。
大きくは「英語の基礎作りになる」ということです。フォニックスを学ぶことで、私たちは英語の発音も学びますし、文字についても学びます。
フォニックスを学ぶ中で、
「英語という言葉は、こういう風にできているのか」
「この文字がこういう風になるのは、こういうルールだからか」
と英語の特色がよく分るでしょう。
もちろんフォニックスは英語学習全体の一部にすぎません。フォニックスをしったからといって、日本人がすぐに英語を使えるようになるわけではありません。しかし、フォニックスを学ぶことで、その後の英語学習の成果を底上げする基礎が築かれるのは確かです。
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フォニックスは、リアルタイムで学習しているときも非常に有効なものですが、その後の成長に、大きく影響を与える素晴らしい学習法であることには間違いありません。 ぜひ適期に取り入れ、子どもたちの英語力の基盤を作ってあげてください。
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