音楽の流れる?!画期的な絵辞典 みなさんは、「絵辞典」と聞いて、どのようなものを思い浮かべますか? 「英和辞典、仏和辞典など言葉の意味を調べる本」「絵がたくさん載っていて、それを見ながら調べものができる本」などのイメージでしょうか。
しかし音が出てくる辞典、それも単語や文章を読み上げる「声」が聞こえるだけでなく、「歌」が聞こえてくる辞典であるとか、1冊を囲んでお友達と一緒にゲームができる辞典だと聞くと、一体どんなものなのかワクワクしてきませんか?
mpiの『英語ビジュアル辞典555』は、【単語】【会話文】【Talk Time(話してみよう)】【アクティビティ(やってみよう)】という4つのパートと、「歌」や「チャンツ」などの音源が入った、まったく新しい形の絵辞典です。それゆえに、従来の絵辞典としての使い方だけではなく、英語教材として幅広い学年で幾通りにも活用できる英語教材となっています。
「絵辞典の使い方なんて幾通りもあるの?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。そんな方のために、今月はこの『英語ビジュアル辞典555』の使い方を、様々な角度からお話しさせていただこうと思います。
単語帳を使うのではなく、「チャンク」で覚えるということ
繰り返しになりますが、『英語ビジュアル辞典555』は、単語以外の「歌」や「チャンツ」が入っていることが特長の一つです。それでは、絵辞典に「歌」やリズムを取り入れることは、英語を学習する上でどのような効果を発揮するのでしょうか。
読者の方は、英語学習を始めたばかりのころ、「英語と日本語の、語順さえ同じならば、もっと簡単に話せるようになるのに」と感じたことはありませんか? 残念ながら英語を含め多くの外国語は、単語をそのまま日本語の語順に当てはめても使えるようになりません。むしろ、その言語らしい表現から程遠くなってしまいます。
ですが、単語ではなく「チャンク」といって意味のあるかたまりで覚えると、後はkeywordsを入れ替えるだけで、簡単にいろいろと応用できるのです。
たとえば、「Can I have~?」「in a cup」などを一単語ずつ区切って覚えるのではなく、丸ごと3語を1かたまりとして体に覚えこませるということです。
このチャンクで覚えるときに、歌やリズムに乗せて練習すると、覚えやすく、さらに忘れにくくなります。また、一単語を覚える際にも、チャンクに乗せて覚えると定着率がぐんと上がります。
小学生の生活に合った表現が学べる
また、この『英語ビジュアル辞典555』は、主に小学生の子どもたちの「生活に合った」表現が学べるよう構成されていることも特長の一つです。
1の“Countries”から26の“ Occupations”まで小学生に身近な26の場面から構成されており、1場面ごとに、以下の4つのパートから構成されています。 それぞれのパートでは、以下のような学習の方法があります。
【単語】
言われた絵や単語を指さす「Pointing game」や、一人がジェスチャーをして、それが何かを当てる「Gesture game」をやってみましょう。
先生が言った単語・フレーズに該当する番号を答えたり、反対に先生が番号を示し、それに当てはまる単語やフレーズを生徒が言う「Number game」なども楽しいです。
また、「Attack reading」や「Speed reading」などにも使用できます。
【会話文】【Talk Time】
文内の単語を入れ替えて、会話の練習をします。
先生とクラス、先生と生徒、生徒同士、という順に段階を経て練習するのがポイントです。
慣れてきたら、感情をこめて練習するようにしましょう。「angry」「happy」「sad」などです。
【Activity】
場面ごとにさまざまなアクティビティが用意されています。Numbersのページでは、おなじみのビンゴゲームなどがあるほか、楽しいチャンツが盛りだくさんです。
アクティビティについては、この後さらに詳しくお話したいと思います。
言葉は「習うより、慣れろ」
さて、前述のようなゲームやクイズなどの【アクティビティ】を取り入れながら英語を学習することに、どのような利点があるかをお話ししたいと思います。
言語を身につけたいと思ったら、どんな言語でも、知識と体験とのバランスが大切になります。
習ったものを生かす場所がなければ、いつまで経っても発話ができる子供たちを育てることはできません。『英語ビジュアル辞典555』では、単語を実際の会話の中でどう使うか、【会話文】や【Talk Time】を通して提示し、【アクティビティ】で体験できるような工夫がされています。ですので、この辞典で単語を学習した生徒はその単語の英語らしい使い方も同時に身につけることができます。
英語は「動詞」の言語です
たとえば、トピック20“Recess Activities -休み時間は何してる?”では、子どもたちの休み時間の行動を表す単語・表現が取り上げられています。
英語は動詞の言語ですので、bathroomだけではなく、go to the bathroomと覚えることで、実際に使えるものになります。
習った言語を自分のものにするには、実際に使ってみること、また話す内容を自分に引き寄せることが大切です。架空のことをいつまでも話す練習をしても、なかなか英語をしゃべっているという実感がわきません。どんなレベルの生徒でも最終的に自分のことを話すことが大切です。自分の身の回りの活動をチャンクで覚えることによって、話したい内容がぐっと広がり、これは会話の幅がぐっと広がることにもつながります。
子どもは音→文字の順番で言語を習得する
またこのビジュアル辞典では、他の絵辞典と違わず美しい写真やイラストが多く使われていますが、それぞれの絵を表す単語と表現(文字要素)を分け、ワクの中に一覧として表示しています。 小学校低学年のお子さんが英語を学ぶ際、文字に着目する必要はそれほどなく、絵を見ながら音声を聴くことのほうが、単語の持つ意味がより頭に入ってきます。この本では文字が介在しないので、視覚的に邪魔になりません。その後「読み」の練習に入りますが、すでに単語の音声と意味が入っている生徒は、読みの負担が軽減されます。これは前述のActivityを行うときにも効果を発揮します。
また、英単語にカタカナで読み方を振っていないのにも意味があります。カタカナというのは日本語ですので、英語の音とは決して同じになりません。ですので、カタカナで発音した英語は外国人の方に伝わりません。またすでに外来語として日本語になっているカタカナの単語のうち、本来の英語の意味と違うものも多くあります。“クレーム”や“アンケート”などがそれです。そのような意味でも、英語は、できるだけ音をたくさん聞いて、耳から覚えていくべきです。最初から文字と音を一緒に覚える必要はまったくありません。
やさしいものからすこしタスクの高いものまで、繰り返し楽しめる絵辞典
それでは今度は各年齢別に、この辞典の効果的な使用方法をお話ししたいと思います。
幼児から小学校低学年では、多くを望まず、音声インプット量を増やすという目的で使うことをオススメします。音を楽しむという時期には、スピークン(本文中の文字や絵をタッチすると音声が聞こえるペン ※別売り)を使うと大変効果的です。
早い時期から辞書というものに慣れさせて、カラフルな写真や絵を楽しむことによって、視覚的、聴覚的にインプットを増やしていくことは、後の学習に大きく変化をもたらします。
小学校中学年から高学年は、この絵辞典の特長である【Activity】を行うのに最も適した年齢です。
たとえばトピック24の“My Town”では、【Talk Time】を参考にしながら、町案内の練習をすることができます。まず自分のいる場所を決め、そこから行き先を決めて、行き方をみんなで考えるのも楽しいですね。 TPR(※全身反応教授法 指導者が言った通りに動作をしながら、言葉の意味を理解させる方法)で練習してから、辞書を使ってテキストブックの上を指で歩くふりをしてみるのもおもしろいでしょう。
そうして、実際に町に出たときに、外国の方に町案内ができるようになったらすごいですね。
また、前述したスピークンを使って、『クイズでチャンツ』のように「How do you say … in English?」ゲームなどをするとおおいに盛り上がります。休み時間などにも自発的に『英語ビジュアル辞典555』を使うことができ、効果的な学習が進められます。
小学校高学年から中学生の子どもが使用する場合は、CDやスピークンを使って、聞こえてきた単語をスペルアウトするゲームなどが盛り上がります。音声が順番に出てくるCDと違って、スピークンではランダムに聞くことができるので、このような難易度の高いactivityも楽しみながら挑戦できます。
トピック21“Animals 2”では、動物の名前が覚えられる他、“Which is faster?”などの比較級や最上級を学ぶことができます。 これは、ある程度動物の知識もある生徒がトライする、比較的難易度の高いものではあります。しかし高学年以上の生徒は時々、学習に少し難しいものを取り入れることで知的好奇心が刺激され、やる気を発揮するので大きな効果を生むでしょう。
このように、『英語ビジュアル辞典555』は、どの年齢のお子様でも楽しんで使えるように、やさしいものからすこしタスクの高いものまで幅広く収録されています。好きなもの、またできるものからすこしずつ使ってもらえるように、そして何度でも繰り返し楽しめるように思いをこめて制作された教材です。ぜひさまざまな活用法を試してみてくださいね。
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