(株)mpi 松香フォニックス 教育アドバイザー
山口幹代
英語習得に欠かせない「多読」
「多読」をご存知でしょうか?
多読とは、逆の「精読」から考えてみるとわかりやすいです。
精読とは日本の英語教育で主流だった英文の読み方で、文法や構文、語彙などを一つ一つ調べながら、正確に読んでいくやり方です。
一方で多読とは、文法や語彙などを調べることなく、多くの英文をどんどん読み進めていく学習法です。少々わからないところがあっても、前後の文脈から予測して大枠の意味を掴んで英文を読んでいきます。
多読が近年、効果的な英語学習法として注目されるようになってきています。
なぜでしょうか?
理由は、今まで主流だった精読では達成できない学習効果があるからです。
精読は単語から文構造にいたるまで、細かく理解することを目指します。
この単語の意味は○○。
これが主語、これが動詞だから、この文の意味は…と「日本語」で思考しながら理解する読み方ですね。つまり、精読は、知識を整理しながら英文を精確に読んでいくという点では優れていますが、日本語で理解する学習法のため、①和訳癖がぬけませんし、②処理に時間がかかってしまうというデメリットがあります。
そのデメリットを解消するのに、多読が有効なのです。
多読を進めることで、「英語を英語で理解できる」ようになります。
また、処理速度が格段に増すので、長文読解やリスニングのスピードがあがります。会話の際にも、言いたいことのイメージをそのまま英語としてアウトプットするのに役立ちます。つまり、英語→日本語→英語の回路を、英語→英語へと短縮するのに役立つのが多読なのです。
ですが、多読するには英語の読み方を知らなければ話になりません。
だから、小学校の3~4年生で学んでいただくのがフォニックスです。
小学校低学年期までに耳を鍛え、その後にフォニックスを学ぶことで、文字を読む=多読を始める準備が整うのです。
フォニックスの効用として、
- 発音に自信がつく
- 耳で聞いただけでスペリングが分かり、書けるようになる
- 初めて見る単語も読めるようになる
ということは、以前の記事
どこが違うの?3つのmpiフォニックス教材を徹底比較!(2019年10月24日)
にも書きましたが、実はフォニックス学習は、多読への橋渡しの役割も果たすのです。
フォニックスから多読へ
Building Blocks Library((BBL) は日本人の子どもの興味やレベルにあわせて作られた全10レベル(語彙数20語~約3300語)のCD付き絵本シリーズ。
カラフルなイラストと多彩なストーリーが魅力です。付属のCDを聞きながら音読・聞き取り練習が可能です。
現代の子どもたちにとって一番身近な話題が満載で、シリーズごとに成長していく登場人物たちが描かれています。
- レベル0から3はフォニックスリーダー。「文字」と「音声」の関係を学びながら、お話を楽しめます。
- CDがレベルごとについていますので、正しい発音がわかります。
- ジャーナリストGlenn McDougall氏の書下ろしシリーズです。
味わいのあるイラストは、世界で活躍中の南米イラストレーターによるものです。
フォニックスで英語の「文字」と「音声」の関係を学んだ後は、実際に英語の読み物を読んでみることで、定着率を高めます。
mpiのリーダーは、フォニックスリーダーから多読リーダーへと子どもたちの読むレベルを滑らかにつなげる工夫がされています。
「フォニックスリーダー」でフォニックスを学んだ子どもたちの学びを生かす
フォニックス教材で英語の読み方を学び、フォニックスリーダーで読む力をつけることで、学んだフォニックスルールを自分のモノにすることができます。
フォニックスリーダーは、単語数が少なくページ数も少ないものが効果的です。
フォニックスを学び始めた子どもたちが集中できる時間に読み切ることが出来るリーダーで、子どもたちの達成感を育みます。
フォニックス教材のThis is Phonics 1のp.31には、「このページが読めたらBBL Level 0 Book1 『Hen and Fox』を読んでみよう!」と書いてあります。
指示通りに子どもたちにBBL Level 0の絵本を渡したところ、学んだばかりの一文字一音ルールを適用して、一文字一文字、音の足し算をしつつ声を合わせて読み始めた子ども達。日頃ふざけ気味の男の子も、息をするのを忘れているんじゃないかと心配になるくらいのものすごい集中力で、一単語一単語と読み進めていきます。
そして、最後まで読み終わると、なんとも晴れやかな顔で満面の笑み。
「もう1冊よめちゃったよ!」「もっと他の本はないの?」とおかわりのおねだり♡。
子どもが英語の本を読みたくて、もっと、もっととせがまれるなんて、皆さんは経験したことありますか?私は初めてでした。
競うように、あっという間に6冊を読み終えてしまって、「あ~、おもしろかった」との感想を述べる子もいれば、「もっと読みたかったのに。」と不満げな子もいました。
学んだルールだけで書かれた本ですし、1ページ当たりの単語数も少なく、ページ数もわずか8ページです。これだけの制約がある中で、最後にはクスっと笑えるオチがつけられてはいること自体が素晴らしいことではありますが、かといって、血沸き肉躍るお話かと問われれば、そんなことはありません。なのに、この反応です!!
楽しさというのは、「自分ができるようになった!」という実感から生まれてくるものだと改めて認識させられたのがBBLでした。
「読める自信につなげる」フォニックスリーダー
レベル0はこんなセットです。
- レベル0 各8ページ 12冊セット CD1枚付き
- 読みやすさレベル(YL) 0.1~0.2
※読みやすさレベル(YL) SSS英語多読研究会が作成した本の読みやすさを判断する基準。「本人学習者」にとっての「読みやすさ」の基準を0.0~9.9までに数値化したもの。0.0が最もやさしい。
レベル0は、登場するサイトワード*を極力少なくし、滑らかな読みの学習につなげるリーダー。
短母音、サイレントE、礼儀正しい母音などを学び始めた子どもたちに。『This is Phonics 1 』」対応。
(*サイトワード:フォニックスルールに則らない頻出単語で、目にしただけで理解できなくてはいけない重要単語のこと)
フォニックス学習を土台に読む力を育てる
mpiのリーダーは、「フォニックスリーダー」から「多読リーダー」へと、子どもたちの読むレベルをなめらかにつなげる工夫がされています。BBL(Level 0~3)のフォニックスリーダーで「読む」自信をつけたら、いよいよ多読の段階に入ります。
さらに成長した子どもたちの「友情・恋愛・学校生活」
BBLのLevel 4~9は「多読リーダー」です。
多読リーダーに登場するのは、フォニックスリーダーで登場した登場人物が成長した姿。
彼らの学校生活、友人関係、恋愛、家庭問題など、子どもたちの共感を呼ぶ身近な話題で構成されています。子どもたちが「自分だったらどうするだろう?」とわくわくドキドキしながら読み進められる内容です。読むことで目からのインプットをはかると、語彙や文法などの表現力が徐々に身についていきます。たくさんの英語表現に触れ、自分で読んで理解する感覚を養うことで、子どもたちの言葉の世界を豊かにします。
読みやすさレベルは、Level 4が(YL)0.4~0.5、Level 9 が(YL)1.8~2.2とレベルアップするGraded Reader*です。
(*Graded Reader とは、使用する単語や文法事項、分量などを調整し、英語学習者が辞書無しで読書を楽しめるように工夫された多読用の英語教材のことです。)
まとめ
フォニックスを学んだあとに、実際の読み物(=mpiのフォニックスリーダー)を読ませると、フォニックスのルールが定着するのはもちろん、「自力で絵本を一冊読める」という自己効力感も味わうことが出来るように作ってあります。「フォニックスをマスターできた!」という自信に加え、「英語の絵本を1冊まるごと自分の力だけで読めた」というポジティブな自己イメージが多読へのモチベーションになるのです。
mpiのリーダーは、フォニックスから多読へとつなげる橋渡しにピッタリだということがおわかりいただけたらうれしいです。
記事を担当したのは mpi 松香フォニックス 教育アドバイザー 山口幹代
(株)mpi松香フォニックス 教育アドバイザー
mpiパートナー教室「えいごナビ」主宰
ロンドン大学 Institute of Education 教育学修士(MA)
国立九州大学文学部英語英文学科卒業
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