こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2025年2月25日

バンコクの小学校でCLIL

聖学院大学人文学部子ども教育学科
小川隆夫

2月の中旬、底冷えのする日本から30度越えのバンコクに向かいました。今回の目的はバンコクにある2つの大学(シーナカリンウィロート大学、スアン・ドゥーシット大学)の小学校教員養成課程のリサーチとその付属小学校を見学することでした。
初日の朝は大渋滞に巻き込まれながらシーナカリンウィロート大学に行きましたが何よりその付属小学校の授業の様子が印象的でした。授業はすべて英語で行われ、先生方も世界中から集まっていました。日本のイマージョン小学校のようなものです。

もちろん日本人の児童も多いようで日本人教室というのもありました。外国人の先生はタイで教員免許を取得することによって雇用条件が良くなるそうです。ここでは子どもたちや先生たちがとてもリラックスしているように見えました。職員用のカフェテリアでは朝ごはんやランチが無料で食べられるそうで、お昼休みには先生たちが同僚と楽しそうにおしゃべりしながらランチを楽しんでいました。もちろん私たちも写真のようなランチをいただきました。学校の食堂とはいえとてもおいしいランチでした。日本人の先生によるとタイの国民性もあり職場はおだやかでやさしい人が多く、自分の生活を楽しみながら仕事ができるので嬉しいとおっしゃっていました。これにはちょっとうらやましくなりました。

そして、翌日に訪問したスアン・ドゥーシット大学では大学生のTOEICの授業を見学しました。学生たちが問題を一問ずつ分析してなぜこの答えになるかを英語で説明していました。イギリス人の先生は時々口をはさむ程度で学生たちが自主的に授業を進めていました。このクラスの学生の発音がとても聞き取りやすく通じやすいと感じましたので、先生に尋ねるとタイ人アクセントがあっても通じるということを大切にしようと常に話しているそうです。そして、付属小学校では中学年の英語の授業を見学しましたが、オックスフォードのテキストを使って文法もしっかりと教えていました。2つ目のクラスでは算数の授業を英語で教えていました。まさにCLILです。しかし、この小学校ではすべてを英語だけで教えているわけではないそうで、算数などは母語で教えてしっかり理解できた箇所を復習するときに英語でやることが多いそうです。このCLILの授業方法は日本でも使えるかも知れません。外では体育の授業が楽しそうに英語で行われていました。

この大学は観光学部があり学内に立派なホテルとレストランがありました。そこで学生たちの実習ができるそうです。教育実習もそうですが、タイでは実習をとても大切にしているそうで、レストランで昼食をとると学生たちが接客をしてくれました。こうして日々鍛えられマナーなどがしっかりと身につくと就職してすぐに役立つそうです。

この海外リサーチも韓国、台湾、タイと3か国になりましたが、若い人たちの英語力がどんどんアップしているなというのが正直な感想です。小学校の先生の英語力も向上していますが、どの国の学生も自分自身が自国だけでなく世界と勝負するんだという意気込みが感じられました。日本の若者ももっと世界に目を向けて世界中の人たちと勝負できるように、英語でのコミュニケーション力を高めて欲しいなと思いました。


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