こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2025年1月31日

そばにいるALTを大切に

聖学院大学人文学部子ども教育学科
小川隆夫

春が待ち遠しい毎日ですが、庭のフラワーポットに色鮮やかな花を植えてみたところ、気持ちが明るくなりました。今週、大学では後期の試験が終わり補講期間となりました。これで学生たちは長い春休みに入ります。

今月は都内の小学校で5年生の研究授業を見ました。「おすすめの場所を紹介しよう」の単元で「I want to go to Kenya. 行きたい国と、そこでしたいことを伝え合おうことができる」を英語専科とフィリンピン人ALTがTTで授業を展開していました。

英語専科の授業ですので進行はスムーズで、最後にはそのクラスで人気の国ランキングを決めることになっていました。ワークシートには前時に話し合ったのかオーストラリア、ブラジル、中国、エジプト、フランス、インド、イタリア、ケニア、ロシア、韓国、アメリカの国旗と国名が書いてありました。なんか足りないと思ってみているとが、フィリピンがないのです。ALTには彼女が訪れた国のことを聞いているのですが、自国のフィリピンについては何も聞いていません。行きたい国を調べて何をしたいかとかこれを食べたいと授業は進んでいくのですが、4月からずっといるのにALTの国のことが何も出てないのです。せっかくそばにいるフィリピン人の魅力を伝えてフィリピンにも目を向けさせたいと思いました。彼女はまさにリアリアですし、生の教材そのものです。小学校の外国語では単に英語に触れるだけでなく世界の人たちとの繋がりを一緒に考えたり触れるチャンスを大切にして欲しいと改めて思いました。

実は私はこのALTと一緒に仕事をしたことがありました。授業前にはロサンゼルスでフィリピンのマクドナルドと言われるレストラン「ジョリビー」が山火事の非難者の支援をしているという話をしたところでした。ロスにあるフィリピンの「ジョリビー」が支援したというのがポイントで、フィリピンの人たちは誇らしく思ったとか。これなんかはSmall Talkの絶好の話題にもなりそうです。

おりしも、1月末、聖学院大学で恒例になっている4月から小学校教員として教壇に立つ学生を対象にした『着任前外国語研修会』が開催されました。この研修では欧米文化学科のアメリカ人教員とともにALTといかにTTの外国語活動と外国語の授業を行うかを実践を通して学びます。

職員室でのSmall TalkはどんなTopicが良いのか、避けた方がよいことなどから始まり、教室でのお互いの立ち位置、Constructive criticismとしてまずは褒めてからSuggestionをすることなどより良い授業を目指しながら上手な人間関係を保つコツなどを伝授しました。ALTの中には自分は授業の中で重要視されてないと思っている人もいるとか。ぜひ良い人間関係を築いてALTそれぞれの能力を最大限に発揮してもらい楽しい外国語の授業を展開したいものです。


レポート一覧に戻る