聖学院大学人文学部子ども教育学科
小川隆夫
6月29・30日、暑い日でしたが日本児童英語教育学会(JASTEC)の全国大会が大阪成蹊大学で開催されました。会場では熱心な小学校の先生方を多く見かけ、この方々がこれからの小学校英語をけん引してくれるのだろうなと頼もしく思いました。
私は同僚2人(東 仁美先生、ロバ―ト・ローランド先生)とともに「小学校教員養成課程外国語指導法の改善に向けて―台湾小学校教員養成課程での成果から得られる示唆―」というテーマで発表しました。これは3月に行った台湾の国立台中教育大学の小学校教員養成課程の授業やカリキュラム、小中学校の授業調査に基づいて、日本の小学校教員養成課程の外国語指導法の改善について考えるものでした。
今回の大会で私が一番興味深かったのは、パフォーマンス評価について多くの著書がある京都大学の西岡加名恵先生の「パフォーマンス評価の考え方と進め方―カリキュラムの「逆向き設計」を中心に―」という講演でした。著書を読み返してもどうも曖昧だったルーブリックの作り方がクリアになった気がしました。やはり生で聞くというのはなかなか良いことだなと改めて思った次第です。会場にはmpiのブースもあり関西の元気なスタッフと一緒に記念撮影をしました。
そうそう今月は重要な発表がありました。6月21日、政府が「子ども白書」を閣議決定したのです。ここには日本、アメリカ、ドイツ、フランス、スウェーデンの5か国の満13歳から満29歳までのおよそ1000人の男女に実施した調査の結果がありました。その中で特に目を引いたのは「自分自身に満足しているか」の結果でした。満足している率は日本が57.4%、アメリカが73.2%、ドイツが73.9%、フランスが75.6%、スウェーデンが72.3%と日本が他国に比べてかなり低いことが分かりました。「自分自身に満足しているか」とは「自己肯定感」のことで、自身を肯定的に受け入れられる感覚のことです。今、世界中で「自己肯定感」の大切さが言われています。韓国のBTSのリーダーRM、キム・ナムジュンさんが国連総会で世界中の若者に向けてLove Myself「自分を愛すること」と呼びかけたのは有名な話ですが、勉強でも何でも成功への鍵は、自分自身を認めることだと言われています。
自己肯定感を高めるためには他者との協働の中で、子どもたちが自分の役割を果たすとともに、子どもたちが集団、そして個人の目標を達成した際に、周りの大人が認めて成功体験を感じさせる取組を継続的に行うことが大切です。こう考えると子どもの英語教育の中でも自己肯定感を高められる場面がかなりありそうです。学校、そして塾でも英語を教えていく中で、子どもたちが自分の役割を果たし目標を達成した際には大いに褒めて、成功体験を積み重ねていかせたいですね。
国連 webサイト:love myself/endviolence