こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2023年11月1日

Zoomで先生になる体験

聖学院大学人文学部子ども教育学科
小川隆夫

秋が深まってきた10月28日、私の大学ではチャペルのパイプオルガンが完成し奉献コンサートが行われました。パイプオルガンは建物を含めて1つの楽器になると言われますが、バッハの有名なトッカータとフーガの演奏が始まった時には、まさにチャペルが壮大な楽器になったように感じました。このチャペルはモダンな近代建築で天井はノアの箱舟をイメージして作られています。もともと音響が良いことで知られピアノコンサートやウイーンフィルハーモー管弦楽団のコンサートなども行われていましたが、これからはパイプオルガンコンサートが加わりそうです。今回のコンサートはメンデルスゾーンで締めくくられましたが、これから数々の大学の式典でもこの音色を聴くのが楽しみです。

さて、小学校でもICTの活用が一般的になりましたが、大学の小学校教員養成課程では発展的にICTを用いた教材作成が求められています。そこで私の大学では大学と小学校の教室をZoomで結んで先生を目指す学生が子どもたちとやり取りを楽しむ体験授業をしました。まさに先生になる体験です。小学生は4年生で大学生は2年生ですが、難しかったのは小学生の授業と大学の外国語指導法の授業を合わせることでした。そこで目を付けたのが小学校の夏休み直前で一通りの授業のまとめが終わった時で大学の授業がまだある日でした。当日はほぼ35人ずつの大学生と小学生が参加しました。それぞれが3~4人で1グループを作り、Zoomのブレイクアウトルームで5分ずつやり取りをしたら次のグループに移ることにしました。今回の目標は「自分の好きな曜日とその理由を伝えること」でした。授業では全グループが一斉に話し始めるのでハウリング防止のためグループごとの距離を確保し全員が自分のイヤホンを使用することにしました。

大学生には初めて小学生と話す学生もいますし、小学校4年生がどの程度英語を話すのかもわからない状態でした。中には緊張気味で事前に準備したスクリプトを書いた紙や携帯電話のメモを見ながら必死で話している学生もいましたが、子どもたちは余裕でLet's Try!で勉強したことを素直に口に出していました。もちろんさすが大学生と思える学生もいて、子どもたちに見せる小道具を持ち込んだり、写真やウルトラマンのフィギアを見せ、何とか子どもたちの興味を引こうと工夫している姿もありました。

この日はたった45分間でしたが、8チームの子どもたちと交流し、学生たちにとっては貴重な時間となりました。「もっと英語で活発にやり取りができるようになりたい」「外国語活動の指導がわかった」「先生になることのイメージがつかめた」という感想がありました。小学生にとってもいつもと違う「英語活動の時間」となり、お兄さん、お姉さんと英語でおしゃべりできたことで大喜びだったそうです。

大学の小学校英語指導法で模擬授業をしても、教育実習に行くまで実際に子どもたちがどう反応するかわかりません。こうした短時間の体験ですが、子どもたちと関わる楽しさを味わい将来先生になりたいと思ってくれる学生が一人でも増えたらいいなと思っています。


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