こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2023年8月7日

冬のオークランドに飛びます!

聖学院大学人文学部子ども教育学科
小川隆夫

暑い毎日ですが、お元気でお過ごしでしょうか。私は7月22、23日と京都で開催されたJES小学校英語教育学会の京都・近畿大会に参加してきました。久しぶりに対面で行われたせいか、参加者も多く懐かしい顔であふれていました。2日目には同僚と一緒に『小学校教員養成課程履修生に求められる実践的英語運用力-英語力テスト結果からの考察-』というテーマで発表しました。ここにもたくさんの方に来ていただきました。夕方には友人たちと京都駅近くにある世界のビールが楽しめるパブに行き親交を深めてきました。

さて、大学もこれから夏休みに入りますが、私は8月末にニュージーランドのオークランドに出張予定です。いよいよ学生の海外研修が2月に再開となるため現地視察です。この20年間、海外研修は南オーストラリアのアデレードで行っていましたが、今年度からオークランドに変更となり、現地の学校や研修先にご挨拶に伺うことにしました。その準備でいろいろと調べている中で私の学科の卒業生、谷島直樹さんの著書『ニュージーランドの保育園で働いてみた 子ども主体・多文化共生・保育者のウェルビーイング体験記』(ひとなる書房)に出会いました。この本は2022年度日本保育学会保育文献賞を受賞しています。

谷島さんは聖学院大学卒業後、日本で保育士として7年間勤務した後、2014年ニュージーランドに移住し、小さな保育園でのボランティアを経て2つの私立保育園で働き、公立小学校で1年生の担任をした後、公立幼稚園の教員となりました。現在は札幌の幼保連携型認定こども園の園長をなさっています。

ここには長いストーリーがあるのですが、まずは英語ができないままニュージーランドにわたり、語学学校で大学院に進学のためにIELTS 7.0を目指しました。7カ月間毎日10時間の英語漬けの勉強をしてもそれが達成できず、お金もなくなってきたためキウイフルーツの農園で働き始めました。しかし、そこで出会った人の紹介で保育園でのボランティアを始めることができIELTSの勉強も続け、やがて大学院に入り保育士の資格を取りました。ニュージーランドでは保育士の資格は保育士のみではなく、幼稚園や小学校も含めて0歳から8歳まで教えられる教員資格であり、保育士と幼稚園教員の資格の隔たりもないのです。

本を読んでいくとニュージーランドのテ・ファーリキのことが保育者の目を通して書かれていました。テ・ファーリキは1996年にニュージーランド政府、教育委員会によって策定された幼保統一カリキュラムです。国内の各幼児教育施設が「テ・ファーリキ」を基に、独自の教育方針を作り幼児教育を行っています。

今回、ニュージーランドでの研修を企画するにあたり、3週間の間に「テ・ファーリキ」の勉強会はもとより、現地の保育園、幼稚園、小学校、特別支援学校の見学、そして、実習を組み入れました。まさに、私が学生たちに体験させたいことがほぼこの本の中に書かれていたのです。8月末にはこの本を持って冬のオークランドに飛びたいと思います。その様子は後ほどお知らせしたいと思います。


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