こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2023年6月9日

絵本でshapesを!

聖学院大学人文学部子ども教育学科
小川隆夫

5月17日、文部科学省は毎年実施している「英語教育実施状況調査」の結果を発表しました。政府は「教育振興基本計画」で、中3で英検3級相当以上、高3で英検準2級相当以上が半分以上になることを目標にしていますが、今年の結果を見ると中3は49.2.%、高3は48.7%とわずかに足りなかったようです。
しかし、実は一昨年、中3は47.0%、高3は46.1%でしたので少しですが上がっているのです。また、10年前の平成23年は、中3が25.5%、高3が30.4%でしたので大きく上がっているのです。英検の目標点数をクリアする生徒が半分以上になれば生徒たちの英語のコミュニケーション力がアップしたことになるかは疑問ですが、結果が良くなっているのは嬉しいことです。
mpiは「世界中の同世代と英語でコミュニケーションが取れる子どもを育てる」ことを目標にしていますが、日本の子どもたちがこの目標に到達するにはもう少し時間がかかりそうに感じます。

さて、私が今学期担当している外国語指導法では、現在、学生たちが発話の促し方や指示の出し方などを練習しながら、友達を児童役にしたマイクロティーチングに励んでいます。もちろん、絵本の読み聞かせも練習しています。今回の課題本はA Trip to Grandma's Houseです。この絵本の魅力は何といってもいろんな形が登場していることです。何度も出てくる決まり文句は次の通り

Circles, triangles, rectangles, and squares.
What can we do for the bears?

意外かもしれませんが、shapes, circles, triangles, rectangles, squares, starsといった形を表す単語が登場する絵本は本当に珍しいのです。小学校では2年生の算数で三角形と四角形を学びます。この絵本を読めば、子どもたちは英語で形を言うことができるようになります。
ストーリーはクマの家族がおばあちゃんのうちを目指して出発するところから始まります。彼らは川や山や滝、暗くて怖い森の中を通らなければなりません。しかし、困難にぶつかると、いつも形たちが橋や階段、そしてボートになって助けてくれるのです。なかなか奇想天外なお話で、この発想が子どもたちを引き付けるのです。
子どもは少し飛躍したアイデアが好きなのです。この絵本は一見、形を教えるための教育絵本に思われがちですが、ストーリーの中で形があたかも意思を持っているように集まってクマの家族を助けていくという発想。なかなか面白い絵本です。学生たちがこの絵本をどう料理してくれるか楽しみです。
皆さんも機会がありましたら、どうぞこの絵本を楽しんでみてください。


編集後記

文中でご紹介しているA Trip to Grandma's Houseはmpiのオリジナル絵本です。
コンポーネンツとしてより絵本を楽しめるActivity Bookもあります。


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