こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2023年4月10日

Skyキャッスルに登場の塾エリア

聖学院大学人文学部児童学科
小川隆夫

私は3月27日から3日間、韓国に出張でした。久しぶりの海外出張でしたが、今回は湖西(ホソ)大学校とソウル教育大学校に行きました。湖西大学は聖学院大学の提携校で私立のクリスチャン大学、現在、交換留学生が双方のキャンパスで学んでいます。そして、ソウル教育大学は言わずと知れた教員養成の国立大学です。今回はこの2つの大学で教員養成のシステムや英語教育について担当の先生方にお会いしてインタビューをしてきました。

しかし、今回、何よりも驚いたのが2日目の夜に出かけた塾が軒を連ねるエリアでした。

皆さんは、韓国ドラマは観ますか?私はコロナ禍でずいぶん観ました。「Skyキャッスル」もその中の1つです。「Skyキャッスル」は、韓国の受験戦争のリアルを知りたければ観るべきと言われるドラマですが、韓国の超エリート層だけの住宅街Skyキャッスルの主婦たちが、子どもを有名大学に入れるために奮闘する姿を中心に、韓国の経済格差、学歴社会、医療問題、医者の世界の複雑な人間関係を様々な事件とともに描いています。

私はその中で、毎日子どもを車(Jeep)で塾に送り迎えする主役のソジン(ヨム・ジョンア)の姿が印象に残っていましたが、今回は実際に塾に子どもを通わせていた方に紹介していただき有名な英語塾を尋ね、代表の方とお話をすることができました。

この塾が並ぶエリアは、ソウル江南区大峙洞(カンナムグ・テチドン)です。午後6時と10時になるとここの道路は駐車場になると言われているそうですが、子どもを迎える母親の車がたくさん集まり大渋滞が起こり、20分から30分過ぎると一気に解消されるとか。しかし、自習室というところで勉強をする子どもは0時に終わるようで0時にも渋滞がもう一度起こるそうです。夕飯は近くの食堂で子どもが行ったらすぐに食べられるように注文しておくなどそれぞれ工夫し、相当な努力と時間とお金をかけて子どもの塾通いをサポートしているのだそうです。10時から2つ目の塾に行く子どももいるそうで聞けば聞くほど驚くことばかりでした。

今回、お邪魔した英語専門塾ではそこのゴールはIELTSやTOEFLで高得点を取るとかではなくネイティブだと言われて驚きました。ホールに展示されていたエッセイもネイティブが書いたような仕上がりでした。子どもたちは一歩その学校に踏み入れた瞬間から英語を話していました。料金は提示されていませんでしたがかなり高額だそうです。

今、韓国も出生率が低下して人口が減っています。しかし、受験戦争は激化したままのようです。英語は他のことをやるための手段らしく、大学生の英語力もかなり高いように感じました。スターバックスが密集しているソウルですが、どの店の店員も英語のレベルが高いと同行したアメリカ人が言っていました。テチドンはともかく一般的にも塾にかなりのお金を使う韓国ですが、小学校英語の成果も塾での学習の成果なの?などとも一瞬思ってしまいました。しかし、いずれにしても教育格差をテチドンで見たような気がします。


編集後記

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