こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2023年2月20日

手作り感あふれるパネルシアターに魅了

聖学院大学人文学部児童学科
小川隆夫

いよいよ卒業式が近くなり、寒い日が続いても、突然暖かい日になることがあります。こんな日は思わず外で背伸びをしたくなりますね。

2月18日、私の大学では「パネルシアター実践者研究交流会」が開催されました。パネルシアターはネルの布をはったボードの上に、不織布でできた絵や人形を貼ったり、はがしたり、動かしたりしながらお話や歌を展開していく人形劇です。幼稚園や保育園、小学校、児童館などで多く実践されていますが、この日は実践者が一堂に会した研究会でした。

私はパネルシアターの知識があまりなく、単に絵や歌を先生と子どもたちがやり取りしながらパネルに貼って楽しむものだと思っていましたが、その活用分野が広いことに驚きました。道徳や算数や国語で使うのはもちろん、英語ではフォニックスの練習に使っていました。指の英語名を歌とともに覚えるFinger Familyという楽しい実践発表もありました。

やがて会場が盛り上がってくるとBingoの歌が始まりました。

There was a farmer had a dog
and Bingo was his name-o…
B-I-N-G-O B-I-N-G-O B-I-N-G-O
And Bingo was his name-o

B-I-N-G-Oを何度か歌ううちに、歌わずに手をたたくところがパネルに示されて参加者はそれに従います。先生が絵を出すタイミングが上手で楽しい雰囲気になりました。この他に栄養教諭の先生が「免疫力をあげるために」善玉菌を優勢にするためにどんな食生活を送ればよいかを絵と歌で紹介しました。

小学校では子どもたち一人ひとりがタブレットを持っていますし、ICTを活用すれば簡単に教材ができてしまいます。今回の教材もタブレットと大型モニターやプロジェクターを使えばすぐに似たような教材をつくることができるでしょう。しかし、パネルシアターには電子教材にはないぬくもりがあります。先生が子どもに合わせて人形の動きを変化させることや登場させるタイミングを調整できます。子どもたちは、次は何だろう、どうなるんだろうと先生の手元をじっと見たくなります。先生の呼吸と子どもたちの呼吸がぴったり合うような気がします。手作り感あふれるパネルシアターを日ごろの実践に使っているこの研究会の皆さんにエールを送りたくなりました。

この日は暖かい春のような日でしたが、会場はとってもやさしい空気に包まれていました。


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