こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2022年12月19日

英文だけではピンとこないこともある

聖学院大学人文学部児童学科
小川隆夫

聖学院大学は11月24日、クリスマスツリーの点灯式が讃美歌とハンドベルの美しい音が響く中で行われました。これから1月6日まで毎夜、キャンパスの中で輝き、クリスマスム―ドいっぱいにしてくれます。この日が来ると今年もいよいよ終わりに近づいてきたことを実感します。

私は11月中旬に中学校の授業研究会に行きました。とても興味深い授業でしたので皆さんとシェアしたいと思います。

中学校外国語の学習指導要領の「読むこと」には次のような活動があります。「日常的な話題について、簡単な表現が用いられている広告やパンフレット、予定表、手紙、電子メール、短い文章などから、自分が必要とする情報を読み取る活動」今回の授業はまさにこれです。タイトルはBirthday Party Ideas for your friendsです。教科書のページにはたくさんのプレゼントの箱がいくつも置かれおしゃれにデザインされているウェブサイトが載っています。その中から必要とする情報を読み取るのです。しかし、この授業はこのページを見ないで英文のみを記載した用紙を提示して、生徒たちがグループごとに読んで情報を読み取るという目的で行われていました。1年生の授業ですし、習慣の違うバースデイパーティの準備を英文だけを読み取るということは大変だろうなと思っていましたが、やはり生徒たちは苦戦していました。それは体験したことのないことですし、英文の意味がわかったとしてもピンとこないのです。

実は教科書には2枚の写真があり、1つの写真にはたくさんの風船が浮いていてその風船に結ばれた紐に写真らしきものがついています。もう1つの写真には部屋の壁に長方形の紙で数字の14が作られています。英文を読むと風船のひもについている写真は友達の写真でそれぞれの写真にはメッセージが書いてあることが分かります。数字の14はたくさんの封筒で壁に描いた友達の年齢で封筒の中には手紙とチョコレートが入っていることが分かります。

日本のお誕生日会と大きく違う外国のBirthday Partyの準備について英文の説明だけで理解するのはとても難しいことだと思いました。そのために教科書はそのヒントとなる写真やイラストを提示していますし、それを最大限活用するも能力も育てたいものです。

これからは英文の背景にある文化に対する関心を高め、理解を深めることが大切ですし、これが異文化理解に繋がります。今回の授業は生徒の頑張りと先生の力で成功していましたが、教科書の各ページには多くの工夫が入っていますのでその工夫を十分活用して欲しいなとも思いました。


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