こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2022年11月2日

英語教育フォーラムで学ぶ

聖学院大学人文学部児童学科
小川隆夫

今年は秋らしい日をあまり感じることもなく、一気に冬に突入した感じがしますね。大学のキャンパスを歩いても紅葉に今一つ鮮やかさがないようです。

今回は10月23日にあった「mpi英語教育フォーラム」の報告です。今回はいつもとちょっと違うプログラムで、ニュース・ゼロに出演されている実業家、そしてクリエイティブ・ディレクターでもある辻 愛沙子さんのお話を聞くことができました。

辻さんはまさに20代のオピニオンリーダーですが、何といっても話がとても上手、そして、話題が豊富で面白いのに驚かされました。もちろん彼女の資質や育った環境によると思いますが、その行動力には脱帽です。日本の私立小学校で女子だけの世界にいた小学生が上の中学校に進まず、自ら調べ両親を説得してスイスの寄宿学校に留学したのです。そして、高校はアメリカ、大学は日本の慶応とまさに13才で一旦世界へ飛び出して日本に戻ってきたのです。

ちょうど10月7日、日本テレビのアナザースカイで故樹木希林さんの孫、そして本木雅弘さんの長男でモデルのUTAさんを観ていましたので重なるところがありました。彼は日本のインターナショナル・スクールからスイスの寄宿学校、高校はアメリカのIMGアカデミーでバスケットをやり、その後、カリフォルニアにある大学へと進んでいます。彼が過ごしたスイスの寄宿学校は世界で最も授業料が高いと言われるル・ロゼ学院です。

2人は別の学校だったかも知れませんが、スイスの寄宿学校は世界中からVIPや富裕層の子どもが集まることで知られています。それも私たちが考えるお金持ちとは桁違いのようです。辻さんによれば学校にヘリポートがあって保護者会にヘリコプターで飛んでくる親がいたそうです。UTAさんは友だちにパリに遊びに行こうと誘われて電車で行くものだと思っていたら、自家用機で行くことになり、あまりにもレベルが違い過ぎていると思ったそうです。

スイスの寄宿学校で作った人脈は大人になりやがてグローバルビジネスや政治の世界で活躍する時に役立つと言われています。辻さんがこの学校では授業を抜け出した時、居場所が分かっていても誰も来ないし注意もなかった。すべてが自己責任となると話していました。これはそれぞれがリーダーになった時、自分の判断で決めなくてはならない厳しさを中学生の時から学ばせているのでしょう。

フォーラムでは辻さんと松香洋子先生の講演の後が私の番でした。私は日本の高校、大学を卒業したばかりの若者が海外で仕事をしてみたいとは思わなくなっていると話しました。内向きな若者が増えているわけです。その理由の一番が自分の語学力に自信がないからだそうです。辻さんやUTAさんのようにスイスの寄宿学校に行くことはなかなかかなわないかも知れませんが、その心意気は真似できるかもしれません。いつまでも自分の語学力に自信がないというのはそろそろ終わりにして欲しいものです。今、日本にいてもいくらでも英語力を磨く機会はあります。ぜひ、それを可能にする行動力を持って欲しいと思いました。


編集後記

小川先生が講師のJ-SHINEプログラムが間もなく始まります。


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