こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2022年10月25日

英語教育アドバイザーの活躍

聖学院大学人文学部児童学科
小川隆夫

不安定な天気の9月も終わりになり、秋の気配がいたるところで感じられるようになってきました。私はこの9月、保育園実習に出かけている学生の様子を見るために3か所の保育園を訪問しました。

その中の1つが想像以上にICT化が進んでいましたのでまずはその報告です。東京の多摩地区にあるその保育園は建物の形や色も斬新で近くに行くととても目立ちました。そこでは先生方はそれぞれが園内用のスマホを持ち、子どもの記録はすべてスマホで取り、写真撮影をたくさん行っていました。保護者は専用アプリで先生と連絡ができ現在の子どもの様子を写真で見ることができるシステムです。おまけに歌を歌いたい時はスマホの操作で教室のスピーカーから伴奏がすぐに出てくるとか。英語の歌もこれでいつでも歌えるそうです。先生自身のピアノ伴奏も良いものですが、最近は歌と触れ合うにもこんな方法があるのですね。このスマホ導入によって先生方の業務が大幅に軽減されたようです。これからの子どもたちはもちろんデジタルネイティブですが、保育士もデジタルを自由に扱う力が求められそうです。

さて次は全く別件ですが、それぞれの自治体では小学校外国語を推進するために日本人の英語アドバイザー、英語指導者などを雇用してことがあります。自治体によって各学校にいる場合、数名が教育委員会に所属して学校を順番に回るところもあるようです。私が訪問することが多い東京都荒川区では2004年度から全小学校に英語教育アドバイザーを配置し、2007年度からは全小中学校に外国人英語指導員(NEA)を配置しています。英語教育アドバイザーはJ-SHINE資格を持っている方が多く、mpi J-SHINE講座の修了生の方もいます。

区内には3名の英語専科もいますから、担任・NEA・アドバイザーの3名で行う授業、専科・NEA・アドバイザーで行う授業などいくつかの授業形態があります。担任1人で授業を行っている学校が多い中で贅沢な体制での授業となります。私はいろいろなパターンの授業を何度も見学しましたが、アドバイザーの方々がすごいのはその細やかな心配りです。担任とNEAとアドバイザーで授業を行う場合は常に担任が活躍できるようしています。担任の先生が自信を持って外国語の授業を行うことができるように目立たないようにバックアップしているのです。これはやがて担任が他地域へ転勤した場合に1人で授業が行うためにも大切なことです。また、こうした複数体制の授業は子ども一人ひとりへの支援が手厚く感じます。

荒川区の英語教育アドバイザーは区独自の年間指導計画作成にも代表の方が加わっていますし、教育委員会は英語教育アドバイザー研修会を開催しています。これによって情報交換や新たな知識を身に付つけることができます。自治体によっては日本人アドバイザーが1人だけで孤軍奮闘していることもあると聞きますが、荒川区は2004年度スタートだけあった充実した体制になっているようです。

mpiのJ-SHINEプログラムがまもなく始まります。英語教育アドバイザーに興味ある方はぜひご参加ください。私の担当する講座は11月にあります。実際にアドバイザーとして活躍していらっしゃるmpiのマネージャーが毎回参加しますので、生の情報を聞くことができます。


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