聖学院大学人文学部児童学科
小川隆夫
1月に入り、多くのイベントが中止やオンライン開催になりました。私の大学では後期の授業が残すところあと2週間になったところで対面からオンラインへと変更になりました。突然の決定でしたが学生たちには全く動揺が見られませんでした。これはオンライン授業にすっかり慣れてしまったということでしょうか。彼らは小中学生からスマホを持っていた人達ですから。
1月下旬、私は学生たちと一緒に幼稚園と保育園を訪問して英語指導の様子を見学する予定でしたが、これも中止になりました。もう2年間も行っていません。そして、1月28日～30日に予定されていたのが「第17回全国小学校英語教育実践研究会」東京大会でしたが、これはオンライン開催になりました。この大会は昨年中止になり1年の延期でしたので何とか現地開催をして欲しかったのでとても残念です。
特に今回は東京都内代表9校による研究発表会が予定されていました。また、最終日にはTGG(Tokyo Global Gateway)の体感ツアーがありましたので、多くの先生方ががっかりされたことでしょう。しかし、29日にオンラインで開催された東京大会は1、2週間前に決まったと思えないほどよく練られたプログラムになっていました。午前中は文部科学省の直山木綿子視学官と東京国際大学の松本 茂先生の対談が「我が国の外国語教育のこれから」というテーマで行われました。その後、直山先生の講演が続き、午後は3つの分科会がありました。
第1分科会は「学習評価の改善と指導の充実」、第2分科会は「授業におけるICT機器の効果的な活用」、第3分科会が「言語活動を通したコミュニケーションを図る」というテーマのもとに研究実践発表がありました。
私が興味を持った第3分科会は吉田研作先生が指導者でしたので、久しぶりにメモをとりながら一生懸命にお話を伺いました。そこで印象に残ったことは、「気づきの大切さ」、「思考力・判断力・表現力」というお話しでした。
「気付きの大切さ」では
- 気付きを促すためのfocus-on-form(意味のある文脈の中で言語形態に気付かせる)が大切である。
- recast(児童の誤りなどを直接直さずに正しい表現を与えるとことで気付かせる)が重要である。
- 活動の途中でFeedbackを与える(先生→児童、ALT→児童、児童→児童)ことを忘れないこと。
「思考力・判断力・表現力」では
思考力・判断力・表現力=コミュニケーション力であり、次のような英語(太字部分)が言えるようになってほしいとおっしゃっていました。
-
Clarification of meaning
| What did you say? |
どういう意味ですか？ |
| Could you repeat that again? |
もう一度言ってもらえますか？ |
◎ 小学生なら、Excuse me? Pardon?だけでよい。
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Confirmation of meaning
| Do you mean ~? |
つまり、～ということですか？ |
| In other words ...... |
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◎ 小学生なら、相手の言ったことを繰り返すだけでよい。
例えば、A: I like blue. B: Blue?
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Comprehension of meaning
| Do you understand what I mean? |
私が言いたいことがわかりましたか？ |
| See what I mean? |
|
◎ 小学生ならOkay？と尋ねるだけでよい。
吉田先生はこれらを講演会などで何度か話されていますが、小学校現場の先生方に直接聞いていただく機会はそんなに多くはないと思います。それが実現しただけでもこの日は良かったなと思いました。この研究会は小学校の先生方の参加が本当に多いのです。
朝は9時10分から始まって、全日程が終了したのがなんと午後5時。途中の休憩も5分というタイトなスケジュールだったためスタッフは昼食も取る時間がなかったとか。本当にお疲れさまでした。もちろん参加者にとっても忍耐と根性が必要でしたが充実した研修会でした。
さて、いよいよ2月、年度末を前に忙しくなりますね。感染対策をしっかりして、花粉症にも負けずに元気に過ごしましょう。
編集後記
小川先生には今年もJ-SHINEプログラムの講座をご担当いただくことになっています。スケジュールは現在調整中ですがmpiのセミナートップページでお知らせをいたしますので、ご確認をお願いいたします。
mpi指導者養成セミナー: https://www.mpi-j.co.jp/seminar/
小川先生の近著
小学校英語はじめる教科書 改訂版
価格: 2420円(税込)
