こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2020年12月15日

違いがわかる子ども

聖学院大学人文学部児童学科
小川隆夫

暖かい日が続いた11月でしたが、いよいよ今年も残すところわずかになりました。私の勤務する大学では恒例のクリスマスツリーの点灯式が25日にありました。例年ですと地域の方々も加わり盛大に行われますが、今年はオンラインの中継でした。もちろんフェイスシールドをつけた学生たちの讃美歌の合唱や聖書の朗読、ハンドベルの演奏もありました。この日を過ぎるとキャンパスは一気にクリスマスムードが高まり年末だなと感じますが、対面授業はまだ少なく学生の姿もまばらで今年は寂しいキャンパスです。

さて、今週、2年生の楽しい授業を見ることができました。なんと『クイズでチャンツ』が大好きなクラスだそうで、この日は「動物の鳴き声チャンツ」をやっていました。CDに合わせて大きな声で元気にチャンツを楽しんだ後、先生がWhat does □ say in English?と尋ねると、一斉に手が挙がり"oink, oink"のように答えていました。それが上手なこと。子どもは本当にものまね上手です。これはBrown Bea, Brown Bear ,What do you see?の絵本についているCD(mpi)で子どもが動物の鳴き声をつけて読んでいるのを聞いて、自分たちもやってみたいというのがきっかけだったそうです。きっとBrown Bearも見事に読んだことでしょう。

そして、その直後です。とっても興味深いことが起こったのです。この日のメインの活動は体の部位でした。先生はネイティブの音を聞かせようとLet's Try!の電子教材にある「教材おどうぐばこ」から絵辞典を大きなスクリーンに出して「人と人体」というところをクリックしました。出てきたのは白い半パンツにランニングシャツを着て両手両足を広げている男の子のイラストです。ear, eye, face, hand, head, knee, leg, mouth, nose, toes, shoulderの発音と一緒に部位を示す赤い矢印が一本現れます。単語が単数なのですから矢印が一本で良いのですが、一人の男の子が大きな声でおかしいと言い始めました。音が違うと言うのです。もちろんイラストの下に出る文字が読めるわけではありませんが、間違っていると何度も言います。彼はなんとears, eyes, knees, shoulders…って言わないと変だと言ったのです。すごい!実はこのクラスはHead, Shouldersの歌に合わせて遊んだことがあったのです。この歌では確かに単数と複数をしっかりと歌っています。さすがの先生も驚いたのですが、すぐに良い指摘だと彼をほめ、片耳を指してear, 両耳を指してearsのようして発音していました。「二つあるからなんだ。」と誰からともなく聞こえてきました。この子の気づきで授業は思わぬ方向に行きましたが、子どもの気づきに改めて驚かされました。

この授業を通して、子どもは絵本から学ぶ、歌から学ぶということを改めて実感しましし、大人が考えている以上に音をしっかりととらえているということが分かりました。

さあ、いよいよ師走です。コロナの感染者が増え、まだまだ先が見えない状態が続きそうですが、お元気で素敵な年末をお過ごしください。

■参考教材
クイズでチャンツ


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