聖学院大学人文学部児童学科
小川隆夫
2月14日に成田を立ってメルボルン経由でアデレードにやってきました。フリンダース大学での児童学研修のため学生を引率しています。既に2週間過ぎ、3月12日に帰国予定です。
オーストラリアでもコロナウイルスのことがテレビニュースで毎日流れています。2月24日にこちらでは新学期が始まりましたが、中国人の学生がかなり少ないように思いました。日本経済新聞電子版(2月21日16:50版, Financial Timesの記事の翻訳)によれば、オーストラリア政府が過去14日間以内に中国に滞在したオーストラリア国民や永住者の入国を禁止したためだそうです。10人に1人が中国人と言われるオーストラリアの大学では彼らの存在はとても大きいもので、大学の経済的損失が大きな問題になっています。
そんな中でも、新学期初日、フリンダース大学はオリエンテーションで賑わっていました。この日はクラブへの勧誘や銀行口座の案内やアイスクリームやポップコーン、ホットドッグなどの無料サービスがあり、私の学生たちもこのイベントを大いに楽しんでいました。
さて、この児童学研修は語学センターに1か月通って英語を勉強するものではありません。オーストラリアの教育事情、特に幼児教育と初等教育を講義とともに実習を通して学びます。
Childcare centerで実習
今週は講義の合間をぬってChildcare center(保育園)を2度ほど訪問しました。子ども達と施設の観察、チャイルドケア・ワーカー（指導者）がどのように子ども達を見守っているか観察して質問をしてくるという課題が出され、その後の話し合いをもとに3度目の訪問時に自分たちが考えたアクティビティーを子ども達と一緒に行うというプログラムになっています。
訪問したチャイルドケアセンターは遊びを中心にした自由保育の園でした。公立でとても人気のある園のようです。広い庭は写真のようにチップで埋め尽くされ随所に高低差があるように設計されています。砂遊び、ままごとコーナー、水遊びコーナー、アスレチックコーナーなどが配置され、運動能力や手足の動きを活発するような工夫が随所になされています。
必然性のある活動
チャイルドケアセンターを訪問した学生は、この園の子ども達とどんなアクティビティーをして遊ぶか考えます。講義ではThe Toddler(2～3.5歳)、The Kindy(3.5～4.5歳)のGross and fine motor skills, Social skills, Emotional skills, Cognitive skills, Language skills, Sensory skillsがどんなものかを学び、それぞれの発達段階にあったアクティビティーを考えます。学生からはコラージュ遊び、粘土遊び、水遊び、スライムとアイデアがどんどん出され、実際に可能かどうか自分たちでやってみます。その後、安全を確保しながら楽しい時間にするために園児役と指導者役に分かれてロールプレイをします。講師からは、
Sometimes children are sad and naughty.と言われその理由を求められます。そして、So, what can we do?と質問され、即座に答えが求められます。その後
What should you do if…？
- a child is being very noisy?
- you can’t understand what a child is saying?
- a child hits you?
- a child hits another child?
- a child is bleeding?
- a child is eating sand?
- you want more children to join your activity?
などと立て続けに質問され、どんな言葉がけをしていけばよいのかを考えていきます。どれも現場で起こりそうなことばかりです。まさに必然性のある活動を通して英語を学んでいるのです。学生が答えるとそれもいいけど、こんな言い方の方がもっといいかもねとすぐアドバイスがあります。このように児童学を実践的に学びながら、指導者として使える英語がどんどん増えていくわけです。3週間を過ぎた頃には、ずいぶん英語が上手になりますので、今年もそれを楽しみにして見守っています。
次回は後半の小学校訪問と実践授業のことをお届けします。皆様、お元気にお過ごしください。
参考: 日経オンライン
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55917280R20C20A2000000/
【2020/2/26アクセス】
