こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2019年3月22日

アデレードの小学校の教室にあったいい言葉

聖学院大学人文学部児童学科
小川隆夫

3月1日の夜、私はオーストラリアで研修中の学生たちを訪ねて成田をたちました。向かった先はアデレード。メルボルンで乗り換えて着いたのは翌日のお昼、長いフライトでした。空港からタクシーでホテルに向かおうと外に出るとなんと気温は41度、暑いわけです。ところが2日後の朝、今度は8度、かなり寒いです。3月のアデレードは大急ぎで秋に向かっていました。

学生たちが学んでいたフリンダース大学は、街の中心部からバスで30分ほどの丘の上にあり、看護学、教育学、医学、法学などで有名な国立大学です。広大なキャンパスは自然に溢れ、教室のすぐそばの木の上にコアラが現れることもあるとか。ここで4週間ホームステイをしながら児童学と英語の研修を受けています。

この研修の特徴は、チャイルドケアター(保育園)と小学校を見学して、授業実習することがプログラムに組み込まれていることです。学生たちは授業実習に向けて、児童学の基本的な知識とともに子どもたちを指導するために必要な英語力を身に付けなければなりません。

小学校の見学では、子どもたちがどんな生活をしてどんな授業が行われているのかを観察しました。訪れたのは大学からバスで20分ほどのところにある小学校です。ファンデーションクラス(5歳)では日本語の授業をしていました。「~wo kudasai」を使って日本のけん玉やおはじきなどの絵を指しながら「けん玉をください」などの練習です。かなりやんちゃな子もいますし、話を聞くとき以外はとにかく自由、自由ですので色塗りなどは好きな場所でやっていました。ちょうど男の子がI… … Toilet.とブツブツ小さな声で言っていると、先生がSay! May I go to the toilet? と言わせていました。これは日本と同じですね。

学生たちは翌週このクラスで授業をします。クラスの様子がわかったので急いで大学に戻るとすぐにその準備に取りかかりました。授業実習は2人組になって5人の子ども達に20分間で日本を紹介するアクティティーを行うという課題です。 風鈴を作る、てるてる坊主を作る、箸で指定の色のついたボールをつかむ競争、手遊び歌のチーム…いろんなアイデアが出ましたが、短い時間に英語で説明をして一緒に作り上げて遊ぶのはなかなかハードです。しかも、相手は小さなオーストラリアの子どもたちですから、つまらないとはっきり言いますし、もたもたしているとすぐに飽きてしまいます。その日から、放課後は毎日その準備になりました。 それと並行して、大学の授業では英語での指示の出し方や話し方のこつ、子どもからStrange Questionsが来たときを想定しての練習も始まりました。幼稚園や小学校教員を目指す学生にとってはまさにうってつけのトレーニングです。しっかり身に付けないと子どもたちに通じませんし、授業としても成り立ちません。こうして帰国前日、緊張しながら小学校へ出向くと子どもたちが大歓迎をしてくれました。学生たちの英語も通じているようです。子どもたちからI like this.I love your face. と聞こえる頃になるとすっかり打ち解けたようです。こうして目的を持って短期間に集中して英語を練習するとかなり上達するものです。
教室の掲示物にこう書かれていました。
Respect your classmates and teachers. お互いを尊敬し合うことは小さい時から身に付けさせたいですね。いい言葉だと思いませんか。もちろん先生方を尊敬することも大切です。

 

そうそうオーストラリアといえばコーヒー文化、どこで飲んでも美味しいです。コーヒー大好きな私にとっては幸せな2週間でした。14日の早朝、羽田に到着しました。アデレードではしばらく花粉症のことを忘れていましたが、やっぱり駄目のようで一刻も早くこの時期を脱出したいです。
まだまだ寒い日が続きます、どうぞお体に気をつけてお過ごしください。

※小学校授業の様子などをお見せしたいのですが残念ながらオーストラリアでは撮影等が許されておりませんのでお許しください。

 

聖学院大学の小川先生にはmpiのJ-SHINE講座を担当していただいております。次のJ-SHINE講座は大阪開催(6月)です。東京は7月を予定しています。

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