こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2019年2月27日

園長先生の英語活動はパワフル!

聖学院大学人文学部児童学科
小川隆夫

今回は幼稚園の英語活動を紹介します。私が訪れたのは埼玉県北本市にある「ふじ幼稚園」です。ここの清水典子園長先生は、中学校の英語教員、教育委員会の指導主事、小学校校長を歴任された英語教育のプロで、現職時代はオールイングリッシュの授業を実践されていました。私は20数年前、教員の交流プログラムで一緒にペンシルベニア州に行ったことがあります。その時、指導主事として企画から運営まですべてに携わり20人もの小中学校の教員を引率しながらレセプションやミーティングの通訳まですべて一手に引き受けていました。本当にパワフルな方です。
そんな園長先生がどうやって幼児に英語を教えるのか、ずっと興味を持っていましたが、今回、見学させていただくことができました。

 

朝10時に幼稚園に伺い、2階にある大きな教室に入ると子どもたちの作品がいっぱい並べられていました。ちょうど先週末に作品展があったそうで、『あおいとりさがそう』『しらゆきひめ』『てぶくろ』『じゃっくとまめのき』…などとテーマ別に展示されていました。それぞれのクラスが劇やダンスで取り組んだものを作品に仕上げたそうです。そして、窓際には1年間のそれぞれの思い出を描いた絵が飾ってありました。

 

そこで繰り広げられていたのが、年長さんの英語活動でした。"Blue bird, blue bird, where are you?"と園長先生が作品の真ん中に立って子どもたちに聞くと"Over there."と元気な声が響きます。『ジャックと豆の木』のコーナーに移るとぶら下がった大きな豆を指さします。子どもたちが"beans"と大きな声で発音したと思ったら、中身を指さしてWhat color?とすぐに質問します。
やがて子どもたちの目がそばにある手袋に向くと"glove"とすかさず言います。そして、「大きい」という声があがるとすぐに"a big glove"と発音します。
やがて園長先生はどんどん移動し、次は1年間の思い出を描いた絵の前でsport dayの話になります。遠足の絵を見てバスのwheel, window, smile, yellow busなどと子どもたちと絵についてどんどん話していきます。夏祭りの絵では、night festival, Bon dance, Yukataと次から次へとやりとりが続きます。

 

これなら45分はあっという間です。子どもたちが少しでも飽きたなと感じたらすぐに次の活動に入るのですから。子どもたちはまるで魔法にかけられたように英語の世界を楽しんでいます。
子どもたちは「これは英語でなんて言うの?」って興味を持つとすぐに口にしますが、それを聞くと園長先生はすぐに英語にして全員で発音します。

この英語活動には小気味よいほどのスピード感があります。とにかくテンポがいいのです。英語だけではなく指示では日本語が適宜入っているのですが、子どもたちの発音が日本語発音にならないのが見事です。普段からカタカナ英語から「通じる英語」へと意識しているそうです。

このテンポの良いスピード感がある英語活動の時間、何度も繰り返しながら「通じる英語」の音をインプットさせる方法は、小学校低中学年の英語活動に参考になりそうですし、行事やイベントを英語活動に上手に取り入れるのも良い方法だと思いました。

小中連携だけでなく、幼小連携の必要性が言われていますが、幼稚園での英語活動の時間も、これから目が離せなくなってきそうですね。

 

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