こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2018年6月29日

『やっぱり英語劇は使える!』

聖学院大学人文学部児童学科
小川隆夫

今月も暑い日が続きましたが、皆様はお元気でお過ごしでしょうか?
6月9日から始まった大阪のJ-SHINE講座は24日に無事終了しました。私は9日、16日、17日を担当しましたが、受講生がまたまた素晴らしく明るい方々で、さすが大阪、とても楽しい3日間でした。

この講座の中で受講生がグループごとに挑戦したのが英語劇でした。作る過程での話し合いと練習の楽しさ、実際に演じる楽しさ、オーディエンスとして観る楽しさと何種類もの楽しさを再発見し、絶対にこれは小学校英語に使えるとその可能性を改めて感じました。

The boy who cried “Wolf!”「オオカミとさけんだ少年」

講座内で行ったのはThe Goose with the Golden Eggsの中からThe boy who cried “Wolf!”「オオカミとさけんだ少年」とThe wind and the sun「北風と太陽」です。「オオカミとさけんだ少年」は中学年教材として、「北風と太陽」は高学年教材として取り上げました。
この教材の優れているところは、核心に迫る部分のセリフが短く、何度も聞いているうちにすぐに覚えて、臨場感あふれる音楽に合わせて演じることができることです。もちろん音楽はあの有名な鶴谷智生と住友紀人さんが担当ですから間違いありません。その完成度は高く、まるで50秒完結のドラマチックな演劇を観ているようです。
「オオカミとさけんだ少年」はたったこれだけのセリフです。これも最初は口パクで演技に集中してもかまいません。だんだん言えるようになります。

Scene 1
少年: Wolf! Wolf!
村人たち: Where? Where?
少年: Made you look! Made you stare!
Scene 2
少年: Wolf! Wolf! It's true. It's true.
村人たち:Yeah, yeah, we don't trust you.
ここに賢い老フクロウが登場します。口パクだけでも十分ですが、このフクロウの存在が重要になります。
The wise old owl says: If you lie, no one trusts you, even when you're telling the truth. 「うそをつくと、本当のことを言っている時でも誰も信じてくれない。」

 

The wind and the sun「北風と太陽」

「北風と太陽」では、英語の表現はぐんと難しくなりますが、音楽に合わせてタイミングよく繰り返して練習することで、徐々に言えるようになります。男性がコートをきつく押さえて歩いている時に、北風がいばって堂々(Cocky and proud)と言う“Blow, blow, blow, blow”をどう演じるか。太陽がおだやかにやさしく(gentle and kind)言う“Shine, shine, shine, shine”をどう表現するかが鍵になります。

Scene 1: The wind
The wind: I'll make him take his coat off,
I'll make him take it off,
Blow, blow, blow, blow,
I'll make him take it off.
The man: The wind is very cold today,
The wind is very cold,
I'm glad I've got my coat on,
The wind is very cold.
Scene 2: The sun
The sun: I'll make him take his coat off,
I'll make him take his coat off,
I'll make him take it off.
The man: The sun is very warm today,
The sun is very warm,
I'd better take my coat off,
The sun is very warm.
 

The wise old owl says: It's better to be kind to people than to be cruel to them.

「休憩時間はアメちゃん!」

フクロウのセリフ「人に厳しくするよりやさしくする方がいい。」がまた味があります。4人組のグループでやるのにもってこいです。

実はこの指導のコツはDVDを流してその前で演技をさせることです。とっても雰囲気のある音と画像が盛り立ててくれます。はっきり言えないところやうろ覚えな部分は声優さんの声が補ってくれます。もちろん、カラオケもありますので、どちらを使うかはクラスの状態次第です。皆さんもぜひ挑戦してみませんか。

 

なお、演出方法の詳細をお知りになりたい時は以下をご参照ください。

1.「オオカミとさけんだ少年」の演出方法は小川隆夫・東仁美著「小学校英語はじめる教科書」mpi 168ページに解説があります。

2.「北風と太陽」は小川隆夫著「先生英語やろうよ!」の116ページに解説があります。
The Goose with the Golden Eggsはここで立ち読みできます。

次回のJ-SHINE資格認定講座は7月28日(土)より新宿NSビルで開催されます。全6回で7月28日・29日、8月4日・5日、18日・19日となります。詳しくはこちらをご覧ください。


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