こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2018年3月5日

『小学校英語はじめる教科書』刊行記念講演会・セミナー

聖学院大学
小川隆夫

2月12日、『小学校英語はじめる教科書』の刊行記念講演会・セミナーが、新宿紀伊國屋本店で行われました。連休の最終日、天気は良かったのですがとても寒い日でした。遠くは福島、そして、関東一円から大勢のお客様に集まっていただきました。ありがとうございました。

  
この日、私がお話ししたのは、コアカリキュラムが発表され、大学での研修体制もできつつありますが、小学校の先生を目指す学生や現職の先生たちをなんとか応援したいということです。学生や先生たちは新学習指導要領で決まったからやるしかないが、本当に自分が教えられるか、自分の英語力でいいのか不安に思っている人が多いのです。
ReseMom(リセマム:2017年2月24日)の記事によるとmpiが2017年全国の現役小学校教員206名を対象に行った意識調査(2月1日~2月5日にかけて行ったインターネット調査)では自分の英語力に自信がない先生が6割を超えていました。

文部科学省(2017)の平成27年度英語教育実施状況調査では、小学校該当教員数350,136人のうち、英検、TOEFL、TOEIC等の外部試験を受験した経験のある数は33.1%の128,059人、英検準1級以上等を取得している教員は全体の1%で3,433人でした。もちろん準1級等を持っている人が少ないから小学校の先生たちの英語力が低いということにはなりません。実は中学校の英語の先生の準1級取得率は30.1%、高等学校の英語教員でも57.3%という実態です。今まで英語に関心のなかった小学校の先生たちが英語の外部試験に挑戦しようと思うか、その必要性を感じているかということもあります。
今のところ、こうした調査でしか小学校の先生の英語力を知るものがありませんが、しっかり勉強すればかなりの先生が高い英語力を持つ可能性があります。現実にはそんな時間も研修の機会もないでしょう。しかし、小学校の先生には指導力があります。その力を発揮すれば小学校英語の指導も必ずできるはずです。『小学校英語はじめる教科書』は小学校の先生を目指す学生や小学校の先生が自分で英語を教える時、少しでも自信を持ってもらうための必要な知識や技能をミニマム・エッセンシャルズとしてまとめた応援本なのです。

この講演では実際にこの本で採用された「オトキコ」を動かしたビデオを観ていただきながら、実際にどう利用できるかを説明しました。「オトキコ」はアプリをダウンロードして、スマートフォンをマークにかざすだけで動画や絵本、チャンツ、歌、会話などを観て聴いて練習できるものですが、従来のQRコードとは違いスマホをかざす四角の中に模様が一切ありません。これで大丈夫かと心配する方や印刷ミスと思う方がいらっしゃるようですが大丈夫なのです。よく見ると薄い黄色い点があります。これで動画でも歌でもチャンツでも何でも呼び出すことができるのです。これからはこうして本とデジタルが融合したものが世の中にどんどん出てくると思いますが、その先頭を走っているのがこの「オトキコ」であり、この本なのです。
しかし、接続に多少時間がかかる時があります。すぐにピッと動画再生したり、音が出ないときもあります。状況によっては遅くなります。こんな時は少しだけ辛抱してお待ちください。
3月は大阪と京都に伺います。楽しいお話をいっぱいしたいと思います。お近くの方はぜひご参加ください。

3/24(土) MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店
https://honto.jp/store/detail_1570065_14HB320.html
3/25(日) 丸善京都本店
https://honto.jp/store/detail_1570144_14HB310.html

  • 英検準1級等とは英検準1級以外にTOEFLのPBT550点以上、CBT213点以上、iBT80点以上、TOEIC730点以上を指します。
  • 文部科学省(2017)

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/04/05/1369254_4_1.pdf


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