こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2017年10月27日

海はthe sea それとも the beach?

聖学院大学
小川隆夫

読者の皆様、お元気ですか?
今年は秋を楽しむ余裕もないうちに冬になったような気がしますね。私は、先日、ハローウインを前に学生たちとジャック・オ・ランタンを作りました。
さて、小学校高学年の外国語教科化もどんどん迫ってきています。10月16日の日本教育新聞には、移行措置期間まで約半年。「「待ったなし」の状態だ。」という記事がでていました。
今回は「文法的には何の問題もないけど、これっていいの?」を考えたいと思います。というのは、上述の新聞を見ていた時、同僚のアメリカ人がちょうど私の部屋を訪ねて来て、私の見ていた記事をちらっと見ました。そこは新教材の「Let's Read & Write」という読み書きを扱う活動を紹介するところで、以下のように書かれていました。

 

ユニット5の「My Summer Vacation」では、英語で書かれた夏休みの日記を読み、その内容に合う絵を選ぶ活動になっている。しかし、いきなり読んだり書いたりするという活動ではない。例えば、事前に「I went to the sea.」などを書き写して練習を重ねた上で、自らの体験を踏まえて「sea」(海)を「mountain」(山)などに書き換えていく。その際、絵が添えられた語彙リストを活用することになる。(日本教育新聞、2017/10/16(月)より)。

彼が注目したのはこの中のI went to the sea.でした。彼によればI went to the seaという表現を今まで聞いたことがないそうです。アメリカ人はI went to the beach.と言うそうです。そういえば、イギリスではI went to the seaside.って言っていたような気がします。『日本人がよく間違える英語』の著者Brian F. Sanfordは、著書の中で次のように述べています。

the sea • the ocean • the beach
夏休みに海に行きました。
✘ I went to the sea for my summer vacation.
✘ I went to the ocean for my summer vacation.
✓ I went to the beach for my summer vacation.
Any sandy shore between land and sea is called a beach. The beach is a popular place to visit and relax during the summer. People enjoy sunbathing, volleyball, swimming and other water sports. While many activities involve the water, we do not say 'go to the sea/ocean'. We always say 'go to the beach'.
浜辺とは、海と陸地の間にある砂浜のことです。人々が夏に訪れ、のんびりする人気の場所で、日光浴、ビーチバレー、水泳、その他の水上スポーツを楽しみます。それらはほとんどが海で行われますが、英語では「海に行く」ではなく、「浜辺に行く」と言います。
海で泳ぐのが好きだ。
• I like to swim in the sea.
• I like to swim in the ocean.
While we often use 'sea' and 'ocean' interchangeably, in proper nouns there is a big distinction. Oceans are larger and are located between continents. Seas are smaller sections of oceans which are partially enclosed by land, often between groups of islands and continents.
よく「sea」と「ocean」を区別しないで使いがちですが、固有名詞の場合では大きな違いがあります。「ocean」は、「sea」より大きくて、大陸と大陸の間にあります。「sea」は、「ocean」の小さな一部で、部分的に陸地で囲まれ、たいてい島々と大陸の間にあります。

このようにアメリカ人はI went to the sea.という表現はおかしいと思うようです。さあ、このthe seaはどうなるでしょうか。これから子ども達が使う教材ですから、これから注目しておきたい個所です。
そういえば、研修に行った学校で外国からのゲストがいらした時、「どうぞおかけください。」と言おうとしたら、“Sit Down”しか思いつかなかったけど、よかったでしょうかという質問を受けました。この場合、一生懸命に接待してくれているという気持ちが伝わっていますから、相手はわかってくれると思います。しかし、これは先生と児童・生徒という関係の時に使う表現ですので、大人に言うと命令口調となり失礼だと考えた方がよいでしょう。
「こんな時は “Please have a seat.”と言えるように覚えておきましょう。」と話しました。私たちは子どもに英語を教える時、日本人が多く使う表現ではなく、世界中で通用する表現を教えたいものですね。

これからどんどん寒くなります。どうぞご自愛ください。


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