こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2014年9月30日

『児童が活躍する外国語活動』-児童の心と体を動かす英語活動とは?-

2014年9月30日
-児童の心と体を動かす
英語活動とは?-

長野県茅野市日本人講師兼スーパーバイザー
J-SHINE(小学校英語指導者認定協議会)トレーナー
mpiパートナー会員 仲沢 淳子

レポート:小学校英語の現場から

2学期の幕開けです。この時期は、どのクラスに入っても、長いお休みから学校へ戻った気だるさがしばらくの間教室内に漂うものです。
さて、そんな時期、児童に少しでも積極的に英語活動に参加してもらう方法はあるでしょうか?
ハイテクなオーディオビジュアル機器を使って、視覚に訴える?それも一つの方法かもしれませんが、全てを解決してくれるとは思えません。第一、私の受け持ち校のように、教室にあるのは黒板とチョークとフラッシュカードだけ、という場合はどうしたら良いでしょう?
答えは、、、意外と近くにありました。指導の原点に戻ると見つかります。児童達の反応や動きが鈍くなるのなら、指導者側がいつも以上に大きく動き、自らが児童達にとって“歩くビジュアル教材”となれば、子ども達は一瞬にして、“楽しい”と前向きな反応を示してくれます。

では、“歩くビジュアル教材”になるとはどういう事でしょうか?
具体例をいくつかご紹介しますね。
昨年の夏休み明けのことですが、教室に入って来た児童達は、夏休みモードが抜けきらないせいか、どことなく気だるそう、、、そんな雰囲気の中でいつも通りの授業が始まりました。 ALTとHRTが交代でフラッシュカードを一枚一枚めくり始めると、教室内のあちこちで大きなあくびの声が。見ている私にも、まるで一枚ずつめくられるフラッシュカードが、催眠術か何かのように思えてきました。 “このままでは、お昼寝タイムになってしまう!”と思い、とっさにALTとHRTに、教室の窓側、後ろ、廊下側、前、と児童達の周りをぐるりと一周しながら、カードを見せてもらうよう提案しました。 予期せずALTとHRTが自分の近くに来たので、児童達は皆ハッと目を覚まし、先生達の移動に合わせて体の向きも90°ずつ方向転換するという、ちょっとした面白いアクティビティになりました。特に、後列の児童達は、目の前に先生達が来てくれたことが新鮮だったようで、嬉しそうに参加していました。

又、ある夏の暑いプールの時期、big/small等の対義語のフラッシュカードを導入しようとした時でした。
カードにはそれぞれ、語彙に合う絵が描かれており、ALTがカードを一枚ずつ見せて説明しようとしたのですが、泳ぎ疲れてお腹も空いている児童達、意味は分かっても、“それが一体どうしたの?”という反応です。 そこで急遽、ALTに、カードは横に置いてもらい、代わりに体と声色だけを使って、パントマイム風に見せる方法に変えてもらいました。結果は一目瞭然です。“一緒に動作をやってみよう。”と促したわけでもないのに、自然と一緒になって真似してみたくなった児童達。
最後は、ボランティアが前に出て動作を見せ、何の語彙なのか皆で当てる、という元々のプランにはない活動まで出来てしまいました。受け身の授業から、児童が自発的に活動が出来る授業へと、流れが切り替わった例でした。
体を使って活動する、という方法が児童には一番馴染みやすいという証明でもありますね。

つまらなくても、面白くても、素直な反応を見せてくれる児童達。それはそのまま直球のフィードバックとなって、指導者の元へ返ってきます。 あくびをしている児童が何人もいたら、どこに原因があるのかを突き止め、改善策を即座に打ち出す、そんな役割がJTEの醍醐味でもあります。

“観客を巻き込む面白い舞台(授業)を作り、一人のお客さん(児童)も絶対に眠らせないぞ!”そんな気持ちで、日々英語活動に向き合っていると、児童達の小さな反応も見逃すまいという気持ちになり、日頃から児童達を良く良く見つめなくてはと思うようになります。
児童が活躍できそうな脚本(指導案)が出来上がれば、後は、HRT、ALTにストーリー(授業の流れ)やセリフ(ティーチャートーク)を良く理解してもらい、児童達の前で殻を破り、体を張って演じてもらうだけ。ただ、この一連の行程は、言うは易しで、そうトントン拍子に行かないのが現実ですが、、、。 諦めない、というのもJTEに必要な資質かもしれません。(私もがんばります!)

“児童に自発的に参加してもらう事”に特に焦点を当てて考えるこの時期、“ライブ感=指導者の情熱エネルギー”というのは、やはり授業を行う上での最重要ポイントであり、 児童の前に立つ大人は皆、常に意識しなくてはならない課題なのだな、と改めて感じる私です。どんなに最新の機器、万人に向けて作られた教材よりも、指導者達の熱い生の声、自分達だけの為に生き生きと演じる姿の方が、児童の心と体を動かす原動力になるに違いありませんものね。

小学校英語を民間でサポートする「J-SHINE」については こちらから


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