こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2012年12月12日

「英語を勉強しよう!」「英語が楽しい!」と思ったきっかけ・・・

2012年12月12日
「英語を勉強しよう!」
「英語が楽しい!」
と思ったきっかけ・・・

小学校英語指導者(J-SHINE)育成トレーナー
枚方市小学校英語指導助手・樟葉小学校勤務
松延亜紀

レポート:小学校英語の現場から

溝口さんのメルマガのバトンを受けて改めて自分の“英語人生の出発点”について考えてみました。

私は学習に入る前、英語に対して憧れがありました。
外国への憧れ?わけがわからない言葉が理解できるからかっこいい?今思うと色々と考えられるのですが、振り返るとテレビで鳥飼玖美子さんが同時通訳をされているのを見て子ども心にすごいと思った記憶があります。 考えたことは無かったのですが、私のモデルは鳥飼玖美子さんだったのかもしれません。
動機づけ1:良いモデルとの出会い

「こんな風に英語が話せるようになりたい!」と6年の終わりに英語塾に通い始めたのが英語学習の最初でした。
今ほど英語教材の無い頃だったので書くことが多かったのですが、ひとつ印象に残っている宿題があります。それは「セサミストリート」を見て、カタカナで聞こえた単語を書き取るというものでした。今思えばあまりいい宿題ではないですが、意識して英語を聞き能動的に取り組む楽しい宿題で、英語学習の良いスタートを切るきっかけになったと思います。
動機づけ2:自ら動いて楽しいと思える体験

その後、私は高校3年の時に1年間アメリカに留学しました。
まず私が体験したのは大好きで勉強してきた英語がわからない事でした。聞き取りやすい教材の英語で勉強してきた私は食卓で話している簡単な会話ですら聞き取れませんでした。ショックでした。留学当初家族のわけのわからない談笑を聞きながら目に涙が一杯になった記憶があります。その後温かいホストファミリーに支えられ、楽しく一年を過ごすことは出来ましたが、自分の英語力の限界を知った私は帰国後大学でもっと英語を勉強したいと思いました。
動機づけ3:もっと出来るようになりたいと思う体験

私が今日まで英語に関われたのはこういうきっかけがいくつもあったからだと思います。
では、小学校現場で子ども達にどんな体験を与える事でよい動機づけが出来るでしょうか?

動機づけ1:よいモデルとの出会い
振り返りシートを見ると「○○ちゃんみたいにきれいな発音が出来るようになりたい。」「○○君みたいにすらすら言えるようになりたい」と書いている子がいます。でも一番のモデルは担任の先生ではないでしょうか?上手な先生に対して「先生、英語しゃべれんの?」と普段知らない一面を発見して大喜びし「すごい!」と思うでしょうし、上手でなくても一生懸命英語を話そうとする先生の姿は「こんな風に話せばいいんだ。」という学習者のモデルになると思います。

毎回授業の最初に雑談で「家族のこと」を英語で話される先生がおられました。ぽつぽつと知っている単語をつなげて話されるのですが、子ども達は興味津々に聞いて楽しんでいました。そしてわからない英語は「松延先生○○って英語でなんて言うんですか?」と質問されました。すらすら話さなくても一生懸命伝えようとする姿勢や知らない事を恥ずかしがらずに聞く姿は英語を身近に感じる最高のモデルではないでしょうか?

動機づけ2:楽しいと思える体験
第一回目の授業開始前に「僕、英語嫌い。わからへんもん。」と言ってきた児童がいました。
私はまだ一度も授業をしていないのに「何で嫌いなのだろう?」と気になりながら毎回彼の様子をうかがっていましたが活動している彼の姿は嬉々としていました。きっと“英語の授業”に不安を感じていたのでしょう。

このように“不安の壁”を取り払う為に、子ども達が楽しいと感じる事が第一ですが、そこには「知らない間に言えるようになる。」仕掛けを常に考えます。ですから振り返りに「遊んでるだけと思ったらいつの間にか英語が言えるようになっていた」という文面を見ると「やった!」とこぶしを握ってしまいます。
楽しい→学びたい→使ってみよう→楽しい。この良いサイクルを生むことで子ども達は能動的に英語を習得していくのではないでしょうか。

動機づけ3:もっと英語で言えるようになりたいと思う体験
6年生3学期には「行きたい国」や「なりたい職業」について発表を行います。
その時に理由も伝えるのですが英語では限界があります。ここで子ども達は「言いたい事」と「言える事」のギャップを感じます。発表後「英語で全部言えるように中学では英語の勉強がんばります」と多くの子が振り返りに書いています。「言えない事を実感」し「言えるようになりたい」と思う気持ちが一番英語学習のモチベーションを高めるのでは? 「英語は道具」。「使えるようになりたい」と2年間で一人でも多くの子に感じてもらい、中学に進んで欲しいです。


レポート一覧に戻る