こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2011年12月2日

ベルリンの壁?を倒そう!

2011年12月2日
「ベルリンの壁?を倒そう!」

小学校英語指導者(J-SHINE)育成トレーナー
大阪狭山小学校英語支援の会 理事
大阪市淀川区三国小学校、宮原小学校、
北中島小学校、新高小学校
小学校外国語活動(英語)支援及びアドバイザー
伊藤 美幸

レポート:小学校英語の現場から

 J-SHINEの資格を取って半年程経った時に、娘の担任の先生から「総合的学習の授業で英語をしたいのでお願いしたい。」と依頼されたのが今の活動の始まりでした。2006年2月の事です。3年生3クラス合同授業で、講堂でマイクを持って走りながら「英会話たいそう」を歌って踊りました。
 子どもたちの反応がとても良く、担任の先生3人中2人がそのまま4年に持ち上がった事も有り、翌年もひき続き各学期3回、年間9回1クラスずつ教えました。
 5年生になった翌年も引き続き英語活動を続けることになり、他の学年に移られた前年度の先生も呼んでくださったので、指導する学年が広がっていきました。
 4年度目には、PTA会長だったつながりで、同じ中学校区の5校園(中学校1校+小学校3校+幼幼稚園1つ)の連絡会議で声をかけ、隣の校区の小学校からもよばれて指導に入る事になりました。その翌年には3校目、今年から4校目も増えました。

 その間にmpiのJ-SHINEセミナー講師をして知り合った受講生、J-SHINEのフォローアップ講座や会議で知り合った有資格者の中で、希望される方の見学を受け入れ、さらにその方々に研修をして、4校の活動を手伝っていただいています。私自身もJ-SHINEフォローアップ講座で上級資格を取り、さらにトレーナー資格を取得して後輩の指導に当たっています。

 初めは丸投げですべてを任され、mpi教材を使って1人で授業をしていましたが、必修化が決まり移行期間の2年でTT(Team Teaching)の練習を重ね、今年度からはTTで授業をしています。
 年間指導案、シラバスは各学校の外国語活動担当の先生と話し合って決めています。移行期間からは「英語ノート」の活動も入れていますが、内容に関連するうた・チャンツ、「英会話たいそう」、絵本・ストーリーなどを入れた45分の授業をしています。研修の際にもいつも皆さんにお伝えしますが、「教えない、児童が活動する」コミュニカティブな授業、子どもがたくさん英語を発話する授業を目指しています。
 OE(Only English)で授業をしていますが、子どもたちは十分に理解し想像力を働かせて楽しく授業をしています。小学校の授業は担任の先生の担任力に大きくかかわっているので、担任の先生を味方につける事はとても重要です。英語の指導力も必要ですが、それ以上に人柄や熱意が大切です。
 低学年のうちから、うた、会話、絵本、どの活動でも前に出て発表するのがゴールなので、学年があがっても発表を嫌がらず自信もついてきます。普段の授業と違う児童が活躍したり、特別支援学級の児童も一緒に楽しく参加できるので喜ばれる先生もいらっしゃいます。

 大阪狭山市では「NPO大阪狭山小学校英語支援の会」が教育委員会と連携を取りながら、隔週入るALTとNPOのメンバーで担任の先生の支援をしています。ここでは「英語ノート」を使って担任の先生が授業をしていらっしゃいます。授業のヒントにしていただこうと支援の会でシラバスを作成してこの夏、各学校に配布させていただきました。私は研修を担当し、授業案作成のアドバイスもしています。

 これからの課題は小中連携です。去年から何人かの中学の英語科の先生とお話はさせていただいていますが、小学校の授業を見に来ていただきたいですし、小学校で身につけた音声面の力を中学にどうやって繋いでいただくかなど、課題は山積みです。
 日本全国では、「『英語ノート』を教えている」授業がまだまだ多いと思いますが、高い志を持った皆さんと力を合わせ、立ちはだかるベルリンの壁を崩し小学校英語を成功させたいと思います。20年後に英語をしゃべれるのが当たり前になった孫たちに、「昔小学校英語が始まった時におばあちゃんたちががんばったのよ。」という日を、今から楽しみにしています。
 では次回は大阪府枚方市でご活躍の松延亜紀さんにバトンタッチです。よろしくお願いします!


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