こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2009年1月8日

埼玉県蓮田市立蓮田南小学校 英語活動報告 / レポート:小学校英語の現場から | 松香フォニックス研究所

2009年1月8日
埼玉県蓮田市立蓮田南小学校
英語活動報告
~No Japanese! 「英語で英語を学ぶ」ことを児童と確認~
埼玉県 蓮田市立 蓮田南小学校
非常勤講師 幾田美津江先生
レポート:小学校英語の現場から
<1> 小学校に入ることになったきっかけ
2006年秋、市の広報教育委員会からの小学校英語活動サポーター募集を見て応募。担任、ALT、そしてサポーターの3名でTTがスタートしました。

2007年4月からは、拠点校である蓮田南小の非常勤講師として、5年生(今年度6年生)150名を担当しています。拠点校以外の7校からも直接依頼があれば出向いています。市が作成したハンドブックと自分の教材を抱えてスタートしました。また、初年度の2学期からは、毎授業案も作成しています。

<2> 現在までの活動状況
(1)児童の様子
最初の授業からTEE(Teaching English in English)を試みたものの、「児童に英語を発話させる方法は?」と暗中模索の日々が続きました。そして、2学期最初の授業で、TEEとLEE(Learning English in English)の重要性を5分間説明し "I'll speak only English." を児童と約束しました。

英語日直には、No Japanese. Listen. No talking. Be quiet. Give them a big hand. Go back to your seat. など、カードを使って言ってもらっています。また、Classroom English について、児童はALTに日本語を教え、ALTはその表現を英語で教えるといった工夫をして、楽しみながら自然に使える表現が増えてきました。

私はペースをつかめない児童、課題がありそうな児童にあえて接します。他にも、日直でもないのに職員室まで毎回送ってくれたり、すすんで音楽係になり、始まる前からCDプレイヤーのそばに自分の椅子を運んできて準備している児童など、本当に可愛い!

(2)先生がたの様子
先生がたはとても協力的で、児童のコントロールがお上手! チームワークも素晴らしく、必要なものは当日必ず用意されており、アイディアも豊富です。児童の様子を見て的確なアドバイスもしてくださいます。日本語での会話を耳にした児童に「No Japanese!」と言われたこともありました。

私語の多い児童にはあえて注意を向けますが、時には毅然とした態度で叱ることも必要です。ある学校の6年生の学級で、私語の多い児童2、3名に「他の人の迷惑だから廊下に出なさい。」と担任が一喝。しばらくしてそっと顔を出した際、「待っていたよ。戻っておいで、一緒にやろう!」と声をかけると、さっきまでの態度がうそのように学習を始めたということもありました。

また、夏には、冷たい麦茶が用意されていて、あたたかい心遣いにホットしたこともあります。

英会話たいそう(3)指導内容
週1回の授業のほか、毎週木曜5時間目前15分間、教室で「英会話たいそう」のDVDを用いて担任と活動しています。その他の指導内容は、七夕(今年は英語で短冊作り)ハロウィン、クリスマス、バレンタインデーなど。5年生3学期からは、フォニックス学習を始めました。児童は大変興味を持ち、6年生1学期にはマジックEまで進みました。ルールを詰め込むことは避け、様子を見ながら進んでいます。

毎年6月には学校公開日があります。1年目は「曜日」。朝会のある曜日を児童に教えてもらって、曜日バスケットと、絵本 "The Very Hungry Cater-pillar"。ダンスなど保護者も巻き込んで楽しい時間になりました。今年度は、フォニックス中心の活動を行いました。

また、10月末、蓮田市内の小学校と姉妹校であるオーストラリアのマジュラバ校児童が4日間、5、6年生児童の家庭にホームステイしました。授業では日本のことを紹介し、休み時間は一緒に遊び、数々の貴重な体験を通して、児童の英語に対する気持ちはますます前向きになってきています。

(4)MPIとの出会いと偶然の喜び
昨年7月、ずっと気になっていたMPIの6日間のJ-SHINEセミナーを受講しました。ピンポーン! ここだ! 求めていた答えがあった! 授業にすぐ活用できる実践的なセミナーで、目からうろこが何十回落ちたことか。まぁ、この過酷な6日間で、ラッキーなことに贅肉も落ちたようですが・・・。

その際、8月末に蓮田でMPIの研修が行われると聞き、びっくり。その後、教育委員会に日程をうかがってから学校に電話すると、うかがっていた日程が違ったらしく「たった今終わってお帰りになるところです。」がーん!!

すぐ学校に駆けつけると、担当の先生から、MPIの研修に感動して各種教材の使用を決めたと聞き、心から喜びました。その後、この先生は初級セミナーを受けてくださり、J-SHINE資格も取得してくださいました。中級は一緒に受講しました。

(5)忘れられない日(開始10ヵ月後の感謝DAY)
2月、ボランティアの方々に感謝する朝会があり、綺麗な鉢花と共に児童からの感謝の手紙を受け取りました。「英語が好きだったけどもっと好きになり大好きになりました。」「英語の時間になるといつも、わくわくドキドキします。」「どうせ出来ないからと思っていたけど幾田さんの明るい笑顔と楽しい英語ですごく好きになりました。真面目にやれば覚えられると教えてくれたのは幾田さんです。」「6年生になってもお願いします。いなくなりませんよね・・・」など、もうやめられません!!

<3> 今後の課題・展望
現在は、1月に行われる拠点校2年目としての研究授業発表において、普段の授業風景をどのようにお見せするか、拠点校としての取り組みをどのように他校に広めるか、先生方と準備中です。担任主導の活動に移行させるため、今後も協力させていただきたいと思っています。また、卒業までに児童全員の名前を覚えることも課題のひとつです。

先日、5日間の上級プログラムを受講しました。私にはまだまだやるべきことがたくさんあります。大切な子どもたちのため、今後もとどまることなく明るく前向きに、生涯これ勉強の精神で、楽しんで活動したいと考えています。

関連リンク:
英会話たいそう
J-SHINEセミナー
上級プログラム
Only English 指導法

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