読者の皆様、お元気ですか。今年も暑い夏になりそうですね。 私はこの数か月小学校、中学校といろいろな学校の英語の授業を見学することができました。
教育実習生がお世話になっている中学校の研究授業では1年生相手に奮闘している姿にこちらがハラハラ、ドキドキ。しかし、模擬授業をやっていた頃と比べ、たくましく成長した姿にちょっと感激しました。
都内の小学校では、転んで足を怪我した先生を近くの病院まで英語を使って案内していくという6年生の授業を見ました。googleのストリートビューを使い、子ども達が毎日通る小学校前の道から案内がスタートしました。
見慣れた街でも道案内って結構難しいものです。授業では間違えてコンビニに入るというハプニングもありましたが、何とか病院までたどり着きました。ICTを活用するとこうしたオーセンティックな本物の道案内ができるわけです。
久しぶりにクラスの子ども達と一緒になって大いに楽しめた授業でした。
さて、今回はリズムのお話です。
Five little monkeys やTen fat sausages……などは、子どもたちが大好きな歌です。子どもは英語らしいリズムをそのまましっかりと覚えてしまいますね。リズムがあるとちょっと覚えにくいようなことでもどんどんインプットされてしまいます。
松香洋子先生は、
「英語を初めて聞いた時に、子どもが、そして大人も、文句なく引き付けられるのがリズムです。リズムは人間にとって根本的に楽しいものだからです。
そこで、英語を学ぶなら、まずリズムから入るのがおすすめです。」と述べています。
『発想転換の子ども英語』(2003)
それでは皆さんは、Phonics Alphabet Jingleをどうやって覚えましたか?
A says a, a, apple.
B says b, b, bear.
C says c, c cow.
私は子ども達と何度となくリズムにのって繰り返しましたので、頭の中に完全にインプットされていますが、一番印象に残っているのがActive Phonics(mpi)のリズムでした。軽快なリズムとかっこいいアレンジでかつてない雰囲気で練習したことを覚えています。
きっと小さいお子さんと関わっている方でしたら歌のようになっているアレンジで一緒に歌われたと思います。
今回、なぜこのジングルを取り上げたかと言いますと『小学校英語 SWITCH ON! 』のPhonics Alphabet Jingleはリズムが新しいパターンになり、使われている単語のいくつかも入れ替わりました。進化したと言った方がいいかも知れません。
まず、saysがなくなり文字で書くとこのようにとてもシンプルになりました。
A, A, a, a, a, apple
B, B, b, b, b, baseball
C, C, c, c, c, cat
大文字がアルファベットの名前、小文字の下線部分が音になっています。リズムにのって名前を2回、音を3回言います。そうです、アルファベットの名前と音をかなり意識した仕上がりになっています。もちろん、単語もgoatがgolfになりinkがinsectのように新しく登場したものがあります。
紹介しましょう。以下をご覧ください。
A a apple = apple
B b bear → baseball
C c cow → cat
D d dog = dog
E e egg = egg
F f fish = fish
G g goat → golf
H h hat → hand
I I ink → insect
J j jet → Japan
K k king = king
L l lion → leg
M m monkey → moon
N n nest → no
O o octopus → orange
P p pig → piano
Q q queen = queen
R r rabbit → rainbow
S s sun = sun
T t tiger → ten
U u umbrella = umbrella
V v violin = violin
W w witch → world
X x fox → box
Y y yard → yes
Z z zebra → zero
最初に覚えた歌やチャンツはとても強く印象づけられインプットされます。新しい感覚のジングルで育つ子どもたちは最初からこのジングルが自然にインプットされるわけです。私たちにとってbと言えばbearだったのがbaseballで、gはgolfとしていつまでも覚えていることになります。
このジングルの売りは、シンプルなリズムでありながら一番重要なアルファベットの音を繰り返し強調しているところです。実は音楽が時代とともに変化するようにリズムにも流行があります。しかし、今流行しているリズムがそのまま英語学習に利用できるわけではありません。
そう考えると単純なリズムであっても『小学校英語 SWITCH ON! 』のリズムはおしゃれで現代風、音を繰り返し印象に残るものにさせています。
リズムの魔法で逆から言える
さて、私たちは意外なものでもメロディーやリズムがあると覚えられます。リズムを利用すればアルファベットを逆から言うこともできます。『小学校英語 SWITCH ON! 』には The Alphabet Z to Aとして収録されていますが、下のように1段ごとに区切ればリズムにのってアルファベットを逆さまに言うことができます。
どうです。試してみてください。
ZYXWVUT
SRQPONM
LKJIHGF
EDCBA
もちろんアレンジによって違ってきますが不思議ですね。また、ここではABC SONGを下のように区切って歌っています。どうも7つごとに区切ると私たちは歌いやすいのかもしれません。
ABCDEFG
HIJKLMN
OPQ RST
UVW XYZ
これも教材によっていろいろな区切り方があるようですが、確かにこのABC SONGは耳になじむととても心地よく聞こえてきます。OPQとRST、 UVW
とXYZの間は1字入る感じにすると歌いやすいです。
私たちは英語指導にチャンツをたくさん利用しています。その効果は誰しもが認めるところですが、ぜひ、リズムを楽しみ何度も繰り返して子ども達にフォニックス・ジングルを定着させてください。もちろんbear、goatの方でも新バージョンでもどちらでもOKです。そして、アルファベットの逆さ読みにもぜひ挑戦してみてください。
『小学校英語 SWITCH ON! 』
プロフィール
小川隆夫(おがわたかお)
聖学院大学特任講師、J-Shineトレーナー検定委員、中央教育研究所小中高大英語教育プロジェクトメンバー、玉川大学教職大学院講師
立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科修士課程修了、英国立リーズベケット大学英語教授法修士課程修了
鳥飼玖美子氏のもとで「英語コミュニケーション教育」を学び、松香洋子氏を児童英語の師とする。埼玉県内の小中学校で33年ほど勤務し数々の英語活動の実践を発表する。
著書『先生、英語やろうよ!』 『高学年のための小学校英語』(mpi刊)は、小学校の先生方から英語活動のバイブルと呼ばれ圧倒的に支持されている。
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