今回は、2015年12月26日に筑波大学の卯城佑司先生と「ELEC小学校外国語活動workshop」でご一緒して、たっぷりとお話を聞くチャンスがありましたので、
卯城先生のお話の中からトピックを拾わせていただき、私なりの考えも述べてみたいと思います。
卯城先生はとてもお話の上手な方で、お話の始まりは趣味のマラソン。最近4時間を切ったそうです。聞き手の心をがっちりと掴める話題のある先生はいいですね。
私が卯城先生に共感するのは、卯城先生は北海道で公立高校の先生を12年間勤められ、その後、大学の先生になって小学校の英語にも興味をもっていただき、小、中、高、大という視野をお持ちの上で広く大活躍されている点です。
卯城先生は、
○体験型の活動が必要。体験の蓄積によって、自信がだんだんに生まれてくる。
○拠点校といえども、何かを覚える導入→それを使って活動する、というパターンから抜けきれていない。
○小学校でも気をつけないと、少しでも多く英語を教えたいとかになってしまうので、そうではなく、生涯にわたって英語とむきあいたいと思わせるような活動であってほしい。
と言われましたが、ここは基本中の基本だと思います。子どもは体験主義者というより、体験を通さないと理解できません。
私の好きな言葉は、「聞いただけでは忘れてしまう」「見たことはおぼえている」「体験したことは一生忘れない」というものです。楽しい、わくわくするような体験が基本である
ことはどんなことがあっても大切にしなくてはなりません。
卯城先生は、評価について次のようにお話されました。
○外国語活動の良さをまずは固める必要がある。
○小学校英語にあるすばらしい「もやもや」をはっきりさせようとするとどうしてもpaper workで評価するということになってしまう。「もやもや」の部分をどうやって評価していく
か、が大切。引き算ではなく、足し算評価を。中学校では小学校でやったことを否定しないことが大切。
◯Can-do というのは逆向き設定。Can-do は全員ができることを書くのでもよい。
○やったことをはかるには、performanceテストをつくるといい。
この卯城先生の「もやもや」という表現が素晴らしいですね。
英語=勉強と考えている方々には、英語によるコミュニケーションを体験させるための活動は、「もやもや」にみえるで
しょう。大人にとっては「もやもや」でも、何が子どもの心に「ぴ~ん!」と届くかは子どもにしかわかりません。
そこをピンポイントでわかる指導者になってほしいです。
最後に情報ですが、
Hi, friendsの今後はどうなるのか、ということですが、これについては、2015年12 月21日に、文科省より、「次期学習指導要領の5,6年生の年間指導計画 イメージ(案)
たたき台」等が文科省のホームページ上で公開されているので詳しくはそこを参照してほしいということでした。
かいつまんでお知らせすると、
3年生の新しい内容は、世界の言語、外国のジェスチャー、世界の虹の色、動物の鳴き声、アルファベット大文字
4年生の新しい内容は、世界の言語、外国の学校、アルファベット大文字、小文字
5年生の新しい内容は、自然、食べ物、特産物
6年生の新しい内容は、世界の童話、日本の童話、日本の特徴、学校生活、中学校生活
などと準備が進んでいるようです。
さらに最後に、
一番問われているのは、教科型とは何か、それが英語を「使う」ことを前提としているCEFRといった基準とどのように関連して
いけるのか、 はたまた、これまでの外国語活動、コミュニケーション活動とのかねあい、ということなのだと思います。
まだまだ課題の多い小学校英語ですが、関係者が諦めず、日本のこどもにとってベストなものを目指していくという強い意志をもつことが大切ですよね。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
松香洋子プロフィール
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