こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2014年10月29日

『児童が活躍する外国語活動~児童による自動的な児童のための英語活動~

2014年10月29日
『児童が活躍する外国語活動』
~児童による
自動的な児童のための
英語活動~

大田原市英語活動指導員
J-SHINE(小学校英語指導者認定協議会)トレーナー
mpi会員 大伴 久美

レポート:小学校英語の現場から

英語活動を指導していていつも思うことがあります。
「手や口を出しすぎているかもしれない。」楽しそうにしているけれど、子供たちは常に受け身になっていないか?というのが悩みです。
もちろん新しいことを導入するときには手助けが必要です。あれこれと興味をそそる教材をそろえゲームを考えスムーズにメインの活動に持っていけるよう45分をデザインしていきます。ところが時として子供たちはまるでテレビでも見ているかのように過ごしています。 そんなときに思うことは一つ。自ら進んでやってくれる活動はないものか?
ありました。それを発見したときは灯台下暗し。目からウロコ。というフレーズが思い浮かびました。

3年生で100までの数を勉強したときにウォームアップとして “Hot Potato”を紹介しました。ランチグループで輪になって向かい合い片手のこぶしを順に “One potato, two potato, three potato, ・・・”と重ねていき “seven potato,” の次にこぶしを出す人が “more” と言って、 こぶしの山を自分のこぶしでたたいてくずし、下のこぶしの持ち主はたたかれないように逃げる遊びです。ひどくたたくとゲームにならないし手加減すると逃げられる。逃げ遅れるとたたかれる、かといって逃げるタイミングが早すぎると、ずるいと責められる大変スリリングな遊びです。
4人で一組になり右の手と左の手を使うと1周することができ、次の人から始めると全員がたたく役をやることができる楽しいゲームです。けがをしないように喧嘩にならないように手加減をしながら協力することを学ぶことができます。大げさでしょうか。
2週連続ウォームアップで行い、3週目に始まりのあいさつをしようと全員が準備できるのを待っていたら、後ろの班の子供たちが待ちきれず自分たちで ”One potato, two potato,” とゲームを始めてしまいました。

「あとでね」、とあわてて止めてあいさつに移りましたが、その時の楽しそうな様子を見て、実は大変感激しました。
HRTやJTEがいなくても英語で遊んでいる。これぞ児童による自動的な児童のための英語活動です。文章ではありませんが、英語を使って協力して数人で遊ぶことで英語のリズムや楽しさになじんでくれたらうれしい限りです。 ”Hot Potato” だけではありません。実はもう一つ自動的に楽しんでいたゲームがあるので紹介します。

それはオールドクラシック中のオールドクラシック” Saturday, wow! “ゲームです。
このゲームも数人で輪になって向き合い、Sunday から順に曜日を言っていきます。“Saturday” と誰かが言ったら、その他の人は “Wow!” という他愛のないゲームですが、これが3,4年生に大うけしました。 導入の時にカードを Sunday から順に貼り Saturday のカードにはすでにご存じない方のほうが多いかもしれないジョン=トラボルタの「サタデーナイトフィーバー」の決めポーズ写真を付け、Saturday にあたった人はこのポーズをするというルールを徹底しました。
恥ずかしがる児童もいましたが、周りに促されフィーバーポーズ。するとほかのメンバーが思いっきり “Wow!” とこれまたジェスチャーつきで盛り上げてくれます。特に指定はしませんでしたが、「ますだおかだ」の岡田さんがやっている「ウワアアオ!」のポーズです。 担任の先生から「自分たちでやっています。」とうれしい報告がありました。しばらくの間Saturday? といってポーズをすると、クラス全員が“Wow!” というにぎやかな状態でした。

ルールが単純で誰でもわかるゲームなら手助けもいらず自分たちで遊べる。しかも面白いから何度もやる、という自動システムです。
中学年は音声から。リズム遊びや歌、踊りにも抵抗なくすっと入っていきます。この特性を生かさない手はありません。他愛ないことでも英語活動。もう一度手持ちのゲーム集や活動集を読み直し自分たちでやってくれそうなゲームを発掘中です。
目からウロコの次に「温故知新」という言葉を思い出しました。思い出させてくれたのは自動化した児童たちでした。

※「Hot Potato」には諸説あり、歌詞には単数形(“One potato, two potato, three potato, ・・・”)で歌われているものと複数形(“One potato, two potatoes, three potatoes, ・・・”)で歌われているものがあります。 mpi松香フォニックスの「Take off with Phonics Books」では複数形のバージョンを採用しております。

小学校英語を民間でサポートする「J-SHINE」については こちらから


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