こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2009年3月2日

小学校英語指導者育成トレーナーの東京都日野市英語活動実践研修会報告|mpi

2009年3月2日
小学校英語指導者育成トレーナーの東京都日野市英語活動実践研修会報告
~小学校英語活動の現場と研修の仕事に恵まれて~
小学校英語指導者育成トレーナー
MPIセミナー講師・MPI英語教室講師
MPI教育アドバイザー
馬郡敏美
レポート:小学校英語の現場から
1)J-SHINEトレーナーになるまで
私が小学校英語指導者育成トレーナー(以下J-SHINEトレーナー)を目指すことができたのは、小学校英語活動の現場での仕事に恵まれたからでした。

J-SHINEが設立されたのは、私が松香フォニックス研究所(MPI)の指導法で小中学生に英語を教え始めて4年ほど経った頃でした。以前より私は、小学校英語活動にとても興味がありましたので、翌年さっそくMPIのJ-SHINE資格取得セミナーを受け、小学校英語指導者資格を取得しました。
その後、J-SHINE資格者ということで、英語活動の研究校でした地域の公立小学校で、担任の先生方とTT授業を担当させていただく機会を得ました。小学校では、「T1である担任の先生をT2としてどうサポートしていくか?」という視点から、子どもたちが活躍する英語活動を目指し、先生方とご一緒に活動させていただく中で、多くのことを学びました。

この小学校での現場経験が、J-SHINEトレーナー試験にチャレンジしようと思い立つ大きな原動力になりました。小学校英語指導者育成トレーナーとは、「英語指導者育成講座を企画立案し、指導者を指導する者」としての知識・技能などの能力を備えていることを認定する資格(引用:J-SHINE小学校英語指導者認定協議会ホームページより)です。

トレーナー試験に向けては、レッスンプラン作成・実技だけでなく、児童英語教育・国際理解教育・TESOL: Teaching English to Speakers of Other Languages理論(Communicative Language Teaching、ジム・カミンズやヴィゴツキーなど)も学ぶことができ、大変勉強になりました。
この試験勉強のおかげで、TESOLをもっと勉強したくなり、さらには、大学院の授業を取り学ぶこともできました。

2)J-SHINEトレーナーとしての仕事
J-SHINEトレーナーの資格を得て4年目になりますが、今年1月に初めて、トレーナーとして日野市教育委員会の教員研修を担当しました。それまでの間、公立小学校では毎年全学年のTT授業を担当し、またMPIでは、J-SHINE講座を初めとするセミナーや小学校・教育委員会に出向いて行う教員研修なども担当し、とても貴重な経験を積むことができました。

今回の2時間の「英語活動実践研修会」の内容は「ティームティーチング(TT)を活用した授業実践、英語ノートを使った模擬授業など」ということでした。研修講師のお話をいただいたのが昨年末でしたので、この年末年始は大忙しでしたが、J-SHINE本部の先生の指示を仰ぎ、J-SHINE事務局の方々の協力を得、MPIの先生にもアドバイスしていただきながら準備を進めることができました。

2時間研修の構成は、「(1)ウォームアップ (2)小学校英語活動の実践について(パワーポイント資料) (3)英語ノート(1レッスン)を使ってのTTモデル授業」とし、具体的には、以下のように研修を進めました。
注:英語ノート…文科省が全小学校に配布する英語テキスト

娘と私の英語留学記

(1)ウォームアップ
英語ノートのHello Chant♪(Hello. My name is . Nice to meet you. / Nice to meet you, too.)の表現を使って、「音楽が止まったら友だち探し」(小学生は英語が大好き1基礎編 松香フォニックス研究所発行)を応用した挨拶ゲームをしていただきました。研修の初めは、参加者の方はどうしても少し硬い表情になってしまいがちですが、人と話したり、触れ合ったりするウォームアップ・アクティビティをすることで、参加された先生方もすぐに笑顔になり、簡単な英語を使って、生き生きとやりとりを楽しんでくださいました。
また、国際理解教育の観点から、英語ノートの「世界のこんにちは」のCDを聞いて、どの国のこんにちはか?を考えていただきました。研修の最初にこのような活動を取り入れることで、次の講義もより安心して聞いていただくことができました。

(2)小学校英語活動の実践について(パワーポイント資料)
J-SHINE本部の先生が作成されたパワーポイント資料を元に、「新学習指導要領、英語ノート、授業の組み立て方、小学校英語活動の指導形態」についてお話しました。「コミュニケーション」を中心に、パワーポイント資料にある項目の中で、特に伝えたいことを事前に考え、ポイントを整理して臨みました。
その際、小学校現場で体験したこと(児童の取り組みや反応、担任の先生の姿勢や役割など)やMPIで学んだこと(高学年指導の方法、非言語やInteractionの重要性など)の具体例を盛り込みながら進め、表面的な話に終わらないように努めました。また、授業の流れの中でのHello Song♪やGood-bye Song♪などの紹介は、もう既に英語活動を行っている小学校の先生方が前に出てリード・活躍してくださったので、とても楽しく和やかになりました。

(3)英語ノート(1レッスン)を使ってのTTモデル授業
後半の1時間を使って、英語ノートの1レッスン(目標:自分や相手の誕生日について尋ねたり答えたりする。表現:When’s your birthday? My birthday is .)をとりあげ、TTモデル授業を体験していただきました。
私が担任の先生(HRT)役、もう1人のトレーナー講師が日本人英語支援者(JTE)役となり、HRT役の私が使う教室英語は、参加してくださった先生方にもできるだけジェスチャーつきで練習していただきながら進めました。(主な教室英語を書いた「TTモデル授業案」を配布)

レッスンの構成は、英語ノート指導書の流れに沿って「挨拶→復習→展開(1)→展開(2)→挨拶→振り返りカード」としました。「復習」では、月の英語名と、国語科関連として日本独自の名前(睦月~)もチャンツで言い、クイズとしてHalloweenなどの外国の行事の日付も質問しました。「展開(1)」では、誕生日のキーセンテンス(QA表現)を全体→2グループ→ペアの順で練習した後、英語ノートのページを使って、インタビューゲームをしましたが、どの参加者の方も笑顔でとても楽しく取り組んでくださいました。「展開(2)」では、月の名前の頭文字を当てるクイズをしましたが、まずはクラス全員で、同じ音で始まっている月などから予想させ、その後、各自英語ノートに書かせるという手順を体験していただきました。

TTモデル授業では、児童とのやりとり、チャンツ、クイズ、インタビュー、頭文字当てなどのアクティビティは勿論のこと、簡潔な教室英語を使った英語を通じての指導など、これまでMPIで学び実践してきたことが、とても役に立ちました。加えて、個人的には、子どもたちが大好きな「歌」や「絵本」なども入れられれば、もっと楽しい授業になるように思いました。引き続き、勉強していきたいです。

研修の最後に、参加してくださった先生方に書いていただいた「振り返りカード」では、「とても楽しく英語が学べてよかったです。」「担任でも何とかやっていけそうだと思える研修でした。」など、前向きのコメントをたくさんいただきました。今回の研修でも、笑顔で熱心に参加してくださった先生方からたくさんエネルギーをいただきました。感謝です。

3)今後に向けて
私にとって、小学校の現場で担任の先生とTT授業を担当させていただくことと、研修を担当させていただくことは、両輪です。現場経験があることで、研修でも心を込めて大切なことを伝えることができ、また、ポイントを考え、整理して研修で伝えたことは、現場の指導で生かすことができます。そのためには、私自身が続けて学んでいくことも大切です。
学ぶことは楽しいです。小学校英語活動をきっかけに新たに学ぶ楽しさを実感することができました。引き続きTESOL理論も学びながら、実践に生かしていきたいと思います。

小学校に行くと、多くの子どもたちの笑顔や期待いっぱいの様子で私を見つめるキラキラした目に出合います。とてもうれしく、本当に元気になります。いつも笑顔で迎えて、元気にHello!と声をかけてくれる子どもたちや一生懸命取り組んでおられる担任の先生方と一緒に英語活動をさせていただくことは私にとってとても大事な時間です。これからも、小学校英語活動の現場と研修の機会をいただけることに感謝し、1時間1時間を大切にして、担当させていただきたいと思います。

先日、初めてTTでの英語活動を体験した6年生の一人が次のような感想を書いてくれました。「今日の英語の時間で、ますます英語が好きになりました。」うれしかったです。次に子どもたちや先生方に会えるのがとても楽しみです。


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