松香洋子の元気ブログ

2015年6月30日

発音の上達について

先日、久しぶりである英語の先生に会いました。
今から25年以上も前のことらしいのですが、その先生は昨日のことのようにその出来事をはっきり覚えているというのです。
「私がかけだしの英語教師だった時に、松香先生が僕の授業を参観にきたのです。その時に、松香先生に言われたことは一生、忘れません。いつかお礼をいいたいと思っていたので、お会いできてうれしいです。」
キャ〜!怖い。またか、と私は観念しました。以前の私は英語の発音についてそうとうずばずばと注意をしていたらしく、いろいろな方から「厳しく注意された」と言われるのです。それは先輩教師としての勲章というより、今考えれば、「ごめんなさい!」の世界です。他者にいささかでも本当のことを言う時には、その人を傷つけているという自覚がなければダメ、という記述を先日も読んだばかりです。反省しています。

「松香先生は、授業が終わると、黒板の方へつかつかと歩いてきました。僕はその足取りまで覚えています。」(きゃ~、ごめんなさい。次が怖い!)「何を言われるかと思ったら、僕のlittleの発音が悪い、あれでは通じない、といわれました。僕自身、この単語の発音では相当悩んでいたので、図星だと僕は観念したのです。すると松香先生は、黒板にカタカナで『リル』と書いて、これを言ってみて。通じますよ、と言ったのです。」それ以来、この先生はこの単語の発音で悩まなくなったそうです。
ああ、この程度で良かったです。たしかに、私は以前は発音の指導というものに凝っていました。それはアメリカから帰ってきた時に、「通じない英語なんか教えても意味がない!」と強く思っていたからです。

ここで、子ども英語の出番です。
子どもが新しい言語を学ぶ時、文字の束縛がないので、聞こえた通りにいいます。だから、発音はまるでネイティブです。多くの日本人ははじめに文字から英語を学ぶので、文字の制約から逃れることができません。子どもは聞こえたものはその通りに再現できます。大人は文字の裏付けがないと音がとらえられないし、怖くて再現できません。だから文字の制約がかかる前に、音声から英語を学ぶチャンスをもらった子どもは幸せものです。どうしてかというと、すべての子どもが持っている聞いたものをそのまま再現できるというチャンネルを使うチャンスを与えられたのです。そうやって子どもから英語を学ぶチャンスをもらった子どもにたいしては、せっかく獲得した正しい音声を壊さないような文字指導が必要なのです。そこで必要なのがフォニックスです。
ああ、やっぱり、フォニックスの話になってしまいました。悪しからず。

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