松香洋子の元気ブログ

2013年7月30日

New Education Expo 大阪

東京と大阪で開催されたNew Education Expoですが、仕事の都合で大阪の方へ行きました。

一言でいうと、コンピュータ、ICTを利用した教育がこれからどのように実践されていくかというのがテーマですが、その内容としては、確かな学力、教育の情報化、校務の情報化、国際セッション、学校の環境づくり、大学経営、アクティブラーニング、語学、大学の活性化、医学、教育のオープン化、図書館、といったことが挙げられていました。

私が参加したのは以下の3つのセッションです。

1)アジアのICT 教育の軌跡10年後を予測する-アジア、韓国、日本の事例と今後
今から15年前、日本ではIT化のかけ声が上がり、その頃にはアジア各地から、IT化推進先進国の日本に視察団がきていたそうです。今ではその逆で多くの日本人がIT化が進んだシンガポール、韓国等へ続々と行っているそうです。

*「21世紀型の学力とは何か?学校の成績は良かったんだけど、社会に出たらそれは関係がなかった」というのはおかしいのではないか?
*社会に出た時に役立つ力を測定するのがPISA型の学力観。
*教育を受動的から能動的へ。発信力が必要。
*グローバル人材の育成といっているのは日本だけで、シンガポールや韓国では当たり前なので言わない。

特に印象に残ったことは、
*「教科を確立し、教科を崩さないという姿勢は日本のお家芸。」これを解体できないとIT化は難しい。コンピュータでデータを得て、それを横断的に利用していく必要がある。
*学びの形の変化。恊働学習の確立が必要。


2) 公開授業
大阪教育大学付属池田小学校4年生の児童の公開授業がありました。「デジタル教科書を活用した算数の授業」
会場には、30名ほどの子どもたちと、その周りには300名をこす参観者。デジタル化に対する熱意を感じました。
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教室には、大型テレビと、2枚の白版。
教科書がデジタル化しているので、そのページをスクリーンに写しだすことができる。
図形の問題で、1人の子どもは机に座っている子どもたちと同じシート(アナログ)を白版のところでする。
もう1人の子どもは、大きく写っているスクリーン上でその問題を解く。
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小林先生の説明
*1人1台のタブレットは現実には難しいので、電子黒板+アナログの1人1枚シート
*21世紀型スキルとは、主体的に考え、能動的に参加すること
*この授業のテーマは数学的な表現を言語化すること。

この公開授業では、いわゆる派手なICT機器の使用はなく、ペアでお互いに説明しあったり、「見つける→見つめる→説明する」といったプロセスにあわせて授業が進んでいきました。ICTを活用することにより、子どもたちが主体的にかかわるようになる、というのが主眼点でした。


3)「小学校、中学校のおける1人1台タブレット端末活用―フュチャースクール実証校の成果に学ぶー
総務省が音頭をとって3年間にわたって実施した1人1台タブレット導入をした3つの学校からの報告がありました。様々なことを実践したのですから、なるほど、こんなこともできるのか、と興味深く聞かせていただきました。

*子どもたちが外にでて、写真を撮影。理科の観察をみんなでシェアした。
*個人の考えをまとめて、ペア、グループ、全体で共有。
*持ち出しを可能にすると、家でも使える。宿題、プロジェクト等。
*音、動画、書き込み、子どもたちがやったことも含め、すべて保存できる。
*書写では、模範を動画でみせる。
*体育では、バスケットの練習をしている時に、同時に撮影し、アドバイスをするグループをつくった。
*Skypeを利用し、東大とか、スウェーデンとか、専門家とか、問題解決のために交信して、情報をえた、交流した。
*生徒会では、ペーバーレスの生徒会長選びをした。
*学校全体、学級、時間わり、健康観察、委員会など、管理、連絡に使った。

課題としては、 
*管理が大変。生徒が端末を落とすと修理費がかさむ。
*充電が大変で一晩中しなくてはならない。
*環境設定としては有線の方が安定性が上がるが、移動ができない。
*IT支援員1人では背負えないほどの仕事が発生する。
*アナログとのバランスをどうやって取っていくのかが大切。



私がこのExpoに行って感じたことを、以下まとめました。
・総合的な学習が始まった時のような熱気を感じた。
・新しいものにみんな飛びつく。しかし、過去のLL設置、それが使われなくなった事例なども思いだし、有効的な使用方法を選ぶ必要がある。
・英語活動でも横断的な学習は可能なので、ICT化との関連を考えて行くのがよい。(すでに始まってはいるが)
・各学校にあるコンピュータ室を解体して、各教室へ台車に載せた状態でもっていけるようにするところから始める、という提案は現実的。
・子どもたちの学びを能動的に、21世紀型にするには、英語活動だけではなく、全ての教科を国語活動、算数活動、理科活動、社会活動等にするのはどうでしょうか?教科という枠で争っている間は、何も解決しない。
・子どもたちの活発な言語活動が最も大切という発想に賛同。そのためにICTを活用する、という考え方が正しいと思う。
・タブレット、i-pad等の整備は、音無しのテキストが配布されている英語教育の世界には画期的な効果をもたらすと思われる。(市販の英語教材には、CDやDVDは当たり前のようについているのですが。)

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