松香洋子の元気ブログ

2011年10月25日

ことばの科学学会   10月2日(日)

関西学院大学の梅田キャンパスで開催された「ことばの科学会」のフォーラムに参加しました。

門田修平先生の開会の挨拶のあと、青山学院大学のアレン玉井光江先生の「小学校英語の教育、その理論構築にむけて」という講演がありました。

今の外国語活動では、間違っていることは2つあるのではないか、という指摘をされました。
1 コミュニケーションは発信であるという過ち
2 リテラシー教育はタブーという過ち

1については、母語習得の場合は、コップに水があふれるのを待ち、その後、自然に発話が豊富にある、ということがわかっているのに、外国語教育では、今日入れたことを今日発信するということが多い。
2については、意味のある文脈(meaningful context)においてのみ言語習得は可能であり、それには、歌とか、絵本とか、音声から文字への自然な取り組みがどうしても必要とされる。

私も「コミュニケーションの素地を養う」のであれば、歌を歌ったり、ゲームをしたり、お話を聞いたり、ということが不可欠だと考えています。音声をたっぷりあたえ、まとまりのあるものを理解しようとする中で、素地は養われるのだと思うのです。必ずしも何をやっているかはっきりしない場面もたくさんあるべきなのだろうと考えています。

その後、斉藤倫子氏による「英語未知語復唱における絵と文字の役割」という発表と、山本玲子氏による「ジェスチャー使用能力はどの段階で育つのか?小学校だからできる共通基底能力の育成」という発表がありました。
意味のわからない単語を復唱できる能力は、言葉を獲得するのに重要な役割を果たすということと、ジェスチャーは言葉より一瞬早くでる、身体性が言葉を促すということには納得がいきました。

最後はシンポジュウムで、大阪市立大学大学院の井狩幸男先生からは、「神経心理言語学からみた小学校の外国語活動」、mpiの松香洋子からは「小学校外国語(英語)活動の現状と展望」、最後に立命館小学校の田縁真弓先生から「小学校での文字指導」の実践報告がありました。

このアカデミックな一日では、音声の裏には文字があり、文字の裏には音声がある、ということが、認知的にも、子どもの発達からも、まったく自然で、それを否定することはおかしい、ということを確認しました。

会長の門田修平先生は、懇親会の席で「文字指導、リテラシー教育が小学校の現場で支持されていないのだから、そういう意見をもった人にも話をしてもらわなくてはだめだな」と言っていらっしゃいました。確かに、オープンに議論できる場がもっとほしいですね。

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