松香洋子の元気ブログ

2011年11月26日

11月20日(日) JALT

JALT全国大会に参加しました。日本で外国語を教えている外国人を中心とした、使用言語が英語の学会で、今年は東京代々木のオリンピックセンターが会場でした。秋晴れに恵まれ、気持ちのよい一日を過ごしました。

9:00 – 10:00
Yoko Matsuka : What can you do with Can-do Statements?
日本における英語教育が「コミュニケーションのために英語を使う」という方向へスムーズに移行していいかない理由は評価方法にある。コミュニケーション力をはかるためには、従来のペーパーテストだけでは限界がある。

「私(たち)は英語を使って〜ができる」というcan-do statementsを利用することによって、誰に英語を教えていようと、どういうレベルでも、その評価は可能になる。自分が教えているクラスの実状にあわせてcan-do statements を作成し、それによってコミュニケーション力をはかり、子どもに自信をもたせ、動機を高めればいいのである。子どものための英語教育のcan-do statementsについては、384のゴールを設定しているWE CAN(松香洋子、Glenn McDougall著、mpi販売)を参考にしてほしい。

11:20-12:30
Emiko Yukawa 立命館大学湯川笑子氏eyt24310@lt.ritumei.ac.jp
小学校での英語、外国語活動の成果を測るために、2種類のテストを実施し、結果を発表した。
YTK Listening Testの結果

1 聞き取りの力はついてきている。

2 学校間の差はあまりない。

YTK Speaking Testの結果
どうにか会話を成立させようとする。
コミュニケーションに力を入れている学校では、その成果がみえる。
助けがあれば会話を持続できる。

しかし、基礎的な表現を学ぶ必要はあり、英語表現を知らないまま、態度等だけでその知識のなさをカバーすることには無理がある。

なお、小、中の連携については、中1の後半ですでに英語に対する興味、関心が急速に下がってしまうというベネッセの報告もあるが、湯川氏のグループの調査では一概にはそうともいえない。もっと調査が必要とした。

2:30-3;30
Ken Wilson: Motivating the unmotivated – Must we do all the work?

やる気のない生徒、学生に勉強させる方法として、教える側の情熱、励まし、学習者の進歩が見えることの3つが最重要であるのは真実である。しかしこの3つを達成するための内容、方向性を今という時代に会わせて考えてみる必要がある。

1  今の学習者はとにかくビジュアルに関心がある。ネット検索を利用し、意外な映像、ありえない情報を視覚的にみせてそれが何をしめしているか討論させてから、もっと知りたくなってから読ませる。(例 自転車を食べる男)

2 学習者に一見、簡単にできそうなことにチャレンジさせる。学ばせたい内容を細かく分けて数字をふり、学習者に番号をふりわけ、非常に短い時間で、自分の担当の文だけを読ませる。(例 リンカーンとケネディーの共通点)

3 当たり前の情報をださない。「そんなの知っているよ」、の上をいく情報を検索し、聞かせる、話させる、読ませる、書かせる。(例 ベッカムの真実)
4 学習者に仕事をしてもらう。学習者が質問を考え、例文を考え、それを次々、学習者の中でやって行く等、普段は先生がやっていることを学習者にさせる。

ネット検索としては、Google, Yahoo, You Tube, Google earth, Facebook WIKI, twitter, classroom blog. を推奨した。すぐに使える豊富なアイディアを提供している個人としては、Sean Banville, ozgekaroglu, Rusell Stannard, Shelly S Terrelのサイトがすすめられた。

最後のしめとして、
Mark Twain:I never let my schooling interfere with my education.
という言葉が贈られた。たしかに今の時代、学習者に学ばせる手段はいくらでもある。進み行く教師であってほしいと感じた。

4:30-5:30 Wine and Cheese 東北を支援するパーティー
ELTの出版社が協力し、50%offの教材を販売し、3,000円のパーティー券を発行して、東北を支援するパーティーが開催された。

Akiko McDougallの司会で寄付をする側、寄付を受け取る「あしなが育英会」側のスピーチがあった。あしなが育英会の岡崎さんご自身も2歳の時に交通事故でお父さんをなくされ、高校、大学はあしなが育英会の奨学金で進学されたそうだ。

あしなが育英会では、東北の震災時に認定された孤児およそ2.000人のために、震災後いち早く全員に各150万円を支給し、いまでは東北地方に4つのレインボーハウスを設立するために奔走中。岡崎さんはウガンダ等の海外でも活動されており、上手な英語で、説得力のある内容のお話をされた。

今年は本当に特別な年で、mpiもJALTの場においても、すこしでもお役に立てて嬉しくおもいました。

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