松香洋子の元気ブログ

2015年9月16日

どうして、「通じる英語はリズムから」という教材をつくったのか?

世界各国の人々が、自分の母語の特徴を残しながら、世界の共通語である英語を話す時に、どのような接点があれば通じ合えるのか、と私はいつも考えていました。
つまり、「通じる」という範囲に入るには、日本人の場合、何を習得するのが大切かということを考えたわけです。

日本人はもちろん、日本語に影響された英語を話します。
“Hello! My name’s Kenichiro. I’m from Japan. ”と言いたい時に、
「ハロー、マイネーム イズ ケンイチロー。アイアム フロム ジャパン」
Haro, mai neimu izu Kenichiro. Ai am furomu Jyapan.
このように英語を話すと、日本人に慣れた人はわかってくれますが、はじめて日本人の英語を聞いた人にはわかってもらえません。

そんなバカな、英語が間違ってなければ通じるでしょう、と思うかもしれません。文字をみせれば通じるでしょう。でも音声的に話した場合には通じない可能性は大です。

文字を見せれば通じるのに、音声的にいうとどうして通じないのか?それはつまり、文字は一定のルールにしたがって書かれているから誰でも読むことができ、また、音声的な英語も一定のルールにしたがって話されるのに、そのルールを守っていないから通じないのです。

英語を話して通じるための音声的なルールとは何か?日本人にとって、もっとも通じない要素を作っているのは何か?その答えはリズムにある、と私は考えました。日本語は高低の言葉、英語は強弱の言葉。ここが根本的に違います。

英語では、大切な単語、意味を伝えるための単語は強くいい、他は弱くいいます。どうしてそのようになるかというと、英語は基本が文章言語であって、その文章の中でもっとも伝えたいとするところを強くいう言葉だからです。それによって文のリズムというものが生まれてきます。

これに反して、日本語は単語だけで伝え合うことが容易に出来る言葉です。主語を抜いて、時には動詞もぬいて、名詞だけ、形容詞だけ、必要な部分だけぽんぽん言い合うことができます。文で話さないので、文のリズムがありません。

だから、日本人を通じる英語話者にしたかったら、
まずは英語を文単位で教える。
決まり文句、慣用表現を重視する。
その中で、
強く言う単語、弱くいう単語を意識させる、
つまり、リズムをつけていうということです。

子どもに英語を教えると、子どもは実にこれを上手にこなします。
文を飲み込むようにすべておぼえ、強くいうところを強く発音し、弱くいうところは完全に無視します。だから、まるでネイティブの子どもが喋っているように聞こえます。
それに反して、大人から英語をはじめた人は文字の束縛をうけるので、1つ1つ力をこめて、等間隔にいうので通じないのです。

♩ [Five] little [monkeys jumping] on the [bed.]
♩ [Ten] fat [sausages frying] in the [pan.]
ここで強くいう単語([]で囲った部分)を押さえることによって、意味はしっかり伝わります。
つまり、5匹、サル、跳ねてる、ベッド、というのが情報なのです。ソーセージについても同じです。

このようなことを考えて、「通じる英語はリズム」からというシリーズをつくりましたが、mpiから出すテキストは初めからリズムにのっていることを重視しました。チャンツはリズムそのものです。WE CANを執筆した時には、強く発音する単語は色を変えました。そしていつも考えました。「日本の中学校の教科書もこのように強弱で色をつけてくれたら、日本の子どもの発音が通じるようになるんだけどな〜」つまり、そのようにすると棒読みはできないということです。リズム読みをするとカタカナで表すのも困難になります。

こんな簡単なことで、日本人の英語が通じるものになる筈がない、と疑う人は、強くいうところで、手拍子をとったり、机をバンバンたたきながら、又は、運動をかねてぴょんぴょん飛び跳ねながら、英文を読んでみてください。英語が変わってきます。単語だけを練習してはだめですよ、念のためご注意申し上げます。

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