松香洋子の元気ブログ

2017年11月22日

不元気なブログ【11月17日 深夜】 

921日の早朝、私はオーストラリアのブリスベンに到着しました。迎えにきてくれた娘が、「ねえ、これ知ってる?」と言ってスマホの画面を見せてくれました。そこに写っていたのは、文科省がネット上で発表した小学校英語の移行期間用の教科書で、その教材名はなんとWe Can!とあるではないですか!

( 「文科省 We Can」で検索してみてください)

 

WE CAN!という書名ですが、これは私が準備期間もいれれば3年の歳月をかけて執筆し、アメリカのマグローヒル社から出版したコースブックの名前です。「なんで?そんなことが起きるの?」と私は思いました。

 

WE CAN!が出版されたのは、2009年のことで、今でも日本全国でこのテキストを使ってくれている公立、私立の学校、民間の英語教室、個人教室があります。

 

私はその後、1ケ月間、寝込みました。というのは嘘ですが、相当に苦しみ、悲しみました。起きてはいけないことが起きてしまったからです。

 

私がWE CAN!のテキストを執筆し、全部で384の「私はできるゴール」を設定したのは、指導者が何を教えたかより、その結果として児童が生徒が何ができるようになったか、の方がもっと大事だと思ったからです。Can-doという考えを日本に広めたかったのです。

 

日本人は、しばしばとても素晴らしい発音で、”I can’t speak English!”といいます。たしかに英語を話すには膨大な知識が必要そうに思えます。文法も語彙もそうとう知らなくてはならないと考えられています。だから、少し話せても、とりあえず”I can’t speak English!”と言っておく方が安全なのです。

 

大人はしょうがないかもしれません。プライドもあるし、変わることも難しいからです。でもせめて子供は、自分は英語でこれもいえる、あれもできる、と思いながら育ってほしいと願いました。

 

そのような私の願いを込めて執筆したテキストのタイトルを、どんな事情があれ、同名のものを使用することはあり得ません。それが原著者をどんなに悲しませるか、考えてください。

 

 

私は1031日まで、とても落ち込んでいて、悲しくて、悔しくて、思い悩みました。でも11月になってからはこの問題から卒業しようと決心しました。もう起きてしまったことは元には戻らないからです。

 

このブログを読んでくださる皆様にお願いします。これからの人生で著作に限らず、どんなことでも、他者がやった仕事に敬意を払ってください。そしてそれを侵害するようなことはやらないでください。

 

これを書いている私は泣きそうです。でもこうしてこの記事を書き、それを読んでくださる皆様がいてくれることに感謝しています。私に同情してほしいとか、慰めてほしいとかいうわけではありません。聞いてくれてありがとうございます。

 

このブログを書く決心をするまでに1ケ月以上が必要で、その間、元気ブログが書けていなかったことをお詫びします。近々にもっと元気なブログをお届けすることをお約束します。

 

 

 

 


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