松香洋子の元気ブログ

2017年7月14日

イーオンのJ-SHINE講座でお話しをしてきました

東京新宿にあるイーオンの本部で、J-SHINEの「小学校英語指導者養成講座」があり、土曜日の4時から6時という2時間を担当しました。

 J-SHINEが設立されてから、このイーオンの講座は東京だけで50回以上、名古屋、大阪、岡山、広島、福岡でさらに50回は開催されてきました。

イーオンの東京講座は特に参加者の人数が多く、過去には一講座で600人越えを3回はやったことがありましたが、多すぎるということで400人くらいにして長年、実施されてきました。最近は100人から150人くらいの規模になり、話しやすい状況になっています。とても積極的な参加者が多く、気持ちよく講師を務めてきました。

 

ここ10年間、同じ話を100回はして、2万人くらいの方に、J-SHINEのメッセージを伝えてきたことになります。私の担当は、「コミュニケーション活動の実際」というもので、基本はいつも同じで、それに加えて、その時々、好き勝手に言いたいことを言わせてもらいました。

 

私が基本として伝えていることは大きく分けて7つです。

 

1) 小学校での英語活動は、「他者と英語でかかわりたい」という態度の育成が原点であること。①挨拶をする ② 目線をあわせる ③握手などをして相手に触れる、④ペアを替えながら誰とでも交流ができる ⑤楽しそうに参加する、が大原則。

 

2) 体験活動が基本。子どもは「身体」「心」「頭」の順でしか物事を学ばない体験主義者。この特性を活かすことで「子ども力」を爆発させることができます。子どもは楽しいことが大好きで、楽しいと思えばどんなことでも、とことんやります。何が楽しいかはもちろん、学年、男女、クラスによって違いますが、そのツボを見出すのが指導者の役割です。

 

3) コミュニケーション活動ですから、学級担任が一人では教えられません。子どもにコミュニケーションの見本を見せるには、チームティーチングが必要で、そのためには英語ができる地域人材が、学級担任と一緒になってこの活動を進めるのが理想。あくまでも学級担任をT1とし、支援者をT2として、地域をあげて、子どもたちの英語活動を盛り上げていきたいものです。

 

4) 2020年から実施される新指導要領により、小学校での英語は3年生から導入となり、高学年は教科となります。教科となっても、基本はこれまでと変わらない、と私は信じています。つまり、コミュニケーション活動であり、体験活動であるということです。はじめに活動があり(身体を動かし)、おもしろい、楽しいと思い(心が動き)、こういう表現が必要だったから練習しよう(ああ、そういうことかと頭が動く)ということです。

 

5) 子どもは耳がよく、音声に強く、繰り返しも楽しみます。子どもは本当は教えられることは嫌いで、自分の知っていること、できることを他の子どもに教えるのは大好き。子どもは大人からみると何を考えているかわからない時があり、天井を低く設置しなければどんどんおもしろいことを思いつきます。つまり、子どもは、英語をたくさん知っているとか、しっかり分かっている、ということがなくても、自分なりに英語によるコミュニケーションがとれるのです。だからその力を最大限に引き出しましょう。

 

6) 英語をコミュニケーションのために教わるということを体験してこなかった多くの小学校教員には難しい面もあるでしょう。ということで多少のお手伝いをさせてください、というのがJ-SHINEの活動です。でも、小学校の先生たちの実力はすごく、もちろん子どもの扱いにも慣れているので、原理さえ掴んでくれればできないことは何もない、と感じています。

未来を生きていく小学生のために、生きている英語、通じる英語、使える英語の体験をさせることが小学校教育の一部であるべき、と信じられる小学校教員はなんでもできます。一方では、学校での仕事が多すぎて、先生たちがくたくたという問題があります。この点はこれから様々な視点から具体的な支援をしていく必要があります。小学校の先生たちが子どもとしっかり向き合える時間が増えることを祈るばかりです。

 

7) そして最後に、さらに重要な課題は小、中連携ということです。「英語教育の開始時期の変更」については、中学校側の理解が進んできました。次は「中学校英語の到達点を変更」するということです。出発点が変われば、当然、到達点も変わります。大学入試の改革、それにともなう高校入試の改革にともなって中学英語の大変革はまったなしです。中学校の英語教育が大きく変革され、「中3の一番嫌いな教科は英語」という不名誉な調査内容をひっくり反す時がくるのが私の大きな願いです。


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