松香洋子の元気ブログ

2017年7月12日

ブログを再開しました!これから日々の活動を綴っていきますので是非ご覧ください。 再開第一弾は「中学校1年生、教科書指導について思うこと」

先日、東京都のある市の中学校の英語の授業改善研修会に行きました。中1の授業を参観してから、22名の先生方と討議し、その後、私が感想と意見を述べました。

 

授業の感想で述べたこと

 

中学校の英語の指導者(3年目、男性)の良かった点

1 授業のテンポよく、てきぱきと進められたこと。

2 指示が上手。わかりやすい。

3 発音指導が上手。先生の発音も上手。

4 出す例文が上手。

5 時々、「自分で勉強!」というのがあり、生徒が自分で取り組む。

 

中1の生徒(30名)の良かった点

1 英語の音声になれている。

2 熱心に授業に参加。4技能指導によくついていっている。

3 積極的に挙手をする。特に男子が積極的。

4 とてもよく声がでている。

5 小学校英語の成果が上がっていると感じられる。

 

★ 先生方にアドバイスしたこと ★


① 授業の展開の始めと終わりをひっくり返してほしい。

全10回の授業の展開を

「コミュニケーション能力をつける実践」から入り

「そのために必要な文例、文法等の理解」へと、ひっくり返してほしい。


今回の授業で使用された例文は、

I have a ball in my bag.

This is the ball.

It is for soccer.

I like soccer very much.

I play it every day.

というものでしたが、使用されたポスターをみると、それはShow and Tellでした。教科書の趣旨としては、Show and Tellをするという活動の中で、自然にthis, itを使いわけ、have, like, playという一般動詞を使ってほしいということだと思います。ところが、10回の授業の展開予定をみると、4技能の理解、説明、練習ばかりで、Show and Tellをする、という文言が見当たりませんでした。

 

② 文法指導をシチュエーションの中でしてほしい。

中学校の授業でよく見ることですが、「this=これは、この」「it=それは、それを」「the=その」というように日本語に訳して教えると生徒は混乱を起こします。この日も多くの生徒から???という信号がでていました。

そうではなく、実際にShow and Tellの場面をやってみることにより、自然にthis が使え、I play it=I play soccerと理解させられるのではないでしょうか?できれば、サッカーボールとスポーツバッグは用意してもらいたかったです。特にthis というのは、具体性が必要なので、中1ではそこをぜひ印象づけてほしいです。it, a, theというのも日本人にはとても分かりにくいことなので、中1から繰り返し、具体的に見せて教えてほしいです。

 

③ 授業の目標設定を変更してほしい。

今回の授業の目標は「一般動詞」の導入ということでしたが、残念なことです。目標は「Show and Tell をしよう。回目」というのが正しいと考えます。①理解をさせてから、②活動をする、となると、絶対というほど活動にいきつきません。多くの指導者は生徒に理解させたい、定着させたいと願うため、1課に10回の授業があっても、その全部を解説、練習、ドリルに使ってしまいます。

そうではなく、はじめに活動をさせ、あとで「ああ、そういうことだったのか」と分からせるのが外国語習得の自然なプロセスではないでしょうか?

 

④ ワークショップでShow and Tellの練習をしました。

4、5人でグループを作ってもらい、先生たちに例文をそのまま使って、Show and Tellの練習をしてもらいました。

1回目  先生たちのカバンからでてきたものがペン、ノートなどが多く、とても普通で、面白くない例が多かったです。

2回目 もっと面白いものを、生徒がびっくりするかもしれないものをカバンやポケットから出してください、とお願いしたところ、だんだんと面白いものがでてきました。先生たちの顔に笑顔がふえました。

3回目 「絶対に笑わせる」というのが条件です、というのをやってみると、先生たちから多くの笑いがでました。どんどん明るい雰囲気になりました。

 

⑤ 最後に言いたかったこと

文科省の調査によれば、中3の嫌いな教科は、残念ながら一番が英語です。これをどうにかしたいと私は願っています。張り切っている中1のエネルギーを生かし、それを中2、中3と継続していってほしいです。例えば、今日のShow and Tellというコミュニケーション能力を育てるための活動ですが、これは学校で、大学で、そして将来の仕事の場面でもとても役に立つことです。そこで中学校でも、文例や内容のレベルを上げれば、中2でも中3でもやってほしいことです。

中1の授業であれば、

第1回目 “I have a ball in my bag. This is the ball.”の2行だけ。

細かいことを言えば、I have a ball in my bag.という時には、ボールはカバンの中にいれたままとし、それを指差す。This is the ball. ボールを手にもってはっきり見せながら、the ball.とはっきり言う、ということです。

第2回目 “I have a ball in my bag. This is the ball. It’s for soccer.”の3行だけ。

This is the ball.the ballItに変わるところが大切ですが、これも説明ではなく、ballを手に持ちながら、1回目はthe ball, 2回目からはitにかわるというところをボールをさしながら、繰り返し見せていくということです。

第3回目 “I have a … in my bag. This is the …. It’s for …と単語を入れ替えていくというように進めていくのはどうでしょうか?

このようにして5回やれば、全文が完成するでしょう。

また、ALTがきてくれる日にはおもしろいShow and Tellをお願いするのは良いと思いますが、ALTが来る日だけ活動にするというのはおかしなことだと思いますが、皆さんはどう思いますか?ALTが来校するまでに、何回も簡単なShow and Tellを繰り返していれば、ALTにやってもらうことが何倍にも生きるのではないでしょうか?


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