子どもの年齢に適した指導法
mpiが日本の子どもに向けた英語指導法を研究・実践し始めてから、今年で35年になります。
日本の子どもたちに英語指導する際に大切なことは、子どもたちに自信と積極性を身につけさせることなどのほか、大きく4つがあります。
○ 言語習得の考えに基づいて指導すること
○ 子どもの成長を考えた『適期教育』であること
○ 年齢にあった“英語を使って英語を教える”指導法であること
○ 強固なカリキュラムとそれに適した教材があること
このうち、“子どもの成長を考えた適期教育”について、本日はお話したいと思います。
子どもの年齢に適した教育とは、例えば幼児や低学年では、歌ったり踊ったり、まねをすることが得意な時期ですから、身体をたくさん動かすアクティビティを通して指導したり、
ナチュラルな英語の音声にたくさん触れさせたりします。これが高学年の子どもになると、まねをするだけではつまらなく感じてしまうこともありますので、自分の考えを発表させたり、
身の回りのことや日本のことを調べたりさせ、英語で発信していけるよう指導していきます。
更に具体的には、以下のようなことにポイントを置いて、指導を行います。
<幼児期>
小学生と違ってまだ社会性が低い幼児は、この時期の子どもの発達の特徴を知ることが指導を成功させる秘訣です。たとえば以下のようなことがあります。
幼児に指導するのは簡単と思われがちですが、幼児こそ、講師としての知識や指導経験が必要です。
<幼児の特徴の優れている点>
・真似を好む。身体を使うことを好む。
・空想・物語が好き。イメージをもとに活動する。
・自己主張、積極性。
・全体でとらえる。十分理解していなくても使おうとする。
<幼児の特徴で注意すべき点>
・聞き返すということが少ない。わからないままでいることがある。
・協調性・社会性に欠ける。年齢にあったアクティビティを選ぶ必要がある。
・客観性に欠ける。訂正がきかないので、途中で指示の変更は禁物。
・行動の抑制ができない。ポジショニング、動線(曲線は使わない)を確保。
・繰り返しを好むが、集中力が続かない。
以上を踏まえて、この時期の特徴である、体を動かすことが好きという、子供の特性が活きるように指導をします。
<小学校低学年>
言語の習得は、初期段階では音声のインプットが非常に大切です。大人はとにかく結果を求めがちですが、第二言語学習の専門家によると、「大量のインプットと少量のアウトプットによって言語学習は成功する」と言われています。
この小学校低学年の時期には、どのような音のインプットが必要なのかを指導者は知る必要があります。小学校低学年の時期には、どのような音のインプットが必要か。実は指導者にとって、ここを理解しておくことが後々の成果に繋がるポイントになります。
というのも、インプット、インプットといわれますが、意味のないインプットは何の効果も呼びません。たとえば小学生にCNNやBBCを見せるのは、効果が無いことです(全くとは言いませんが)。
音声インプットの材料が子どもの精神年齢にあっているもの、子どもが興味を引くものを選んであげることが必要です。
もちろんこの時期の子どもには、リズムよく、楽しく、一度聞いたら口ずさみたくなるようなものや絵がついていて、意味を理解する助けになるものが効果的です。
英語は日本語と違い、“文章語”ですから、インプットする英語は単語ではなく、英語の塊(チャンク)、文章であることはマストです。
これが、この時期、絵本指導や歌指導が最良と言われている理由です。
<小学校中学年>
低学年と中学年を指導する際の大きな違いは「フォニックス指導」です。
フォニックスとはアルファベットの文字と音を合理的に結びつける学習法で、文字の「読み・書き」に繋げます。(詳しくはこちらから)
元々は英語圏で開発されたものですが、松香洋子が35年前に日本に取り入れ、日本の子供たちに合っているフォニックス指導法を確立しました。
フォニックス指導法の良いところは、達成感のなかなか得られない言語学習の中で、子どもたちが「読めた!」という感覚を掴めることです。これが大きな自信の一歩になります。
現在の英語教育ではフォニックス指導法を学ぶ機会が少ないため、指導法の意義をご理解いただくのも難しい面はありますが、言語学習の中で“読みの訓練”は最も重要なもののひとつです。
なぜなら自分で読めるようになると、音声インプットだけでなく、文字(文章)からもインプットが得られます。
読むことでインプットを増やすということは、自立した学習者になるための最初の第一歩です。
中学年では低学年でやってきた音声インプットも大切にしながら、フォニックスを通して、単語や文章を読み、更に書けるようになる指導を、きちんと行うことが大切です。
<小学校高学年>
高学年は低・中学年で出来るようになった内容の精度を上げます。高学年になると、とたんに中学校での学習を意識して、問題集をやったり、文法を説明したりする場合があるようですが、そうではなく、mpiでは、中学校とは少し違った形で文法を指導していきます。
具体的には、コミュニカティブに文法を学習します。自分のこと、クラスメートのことを正しく話すことで文法を習得していきます。
正しく話すということは、文法を理解していることになります。正しく話すためには正しい英語のインプットが必要で、ここで文法学習を成功させるためには、低・中学年で、大量の正しい英語、そしてレベルに合った英語をインプットしていることが大切です。
低・中学年で学習したことが、必ず活かされるようになっているのがmpi指導法の大きな特徴です。
<中学生>
中学生はmpiカリキュラムの集大成です。 自分のこと、自分の身の回りのこと、日本のことを自分の言葉で発信できるようにします。 先生よりも生徒が、自然且つ積極的に話すようなクラスを目標とします。
また、多感な時期に入りますが、先生は諦めずに対応することがとても大切な時期です。
年齢にあわせて、音声インプットはリズムの良いものからprosodyを意識したものに移行していきます。精神年齢に合った教材を選んであげることが大切です。
小学生を指導する際と大きく違うのは、子どもたちに自分で考えさせることです。自分の答えに理由をつけていくことで考えを徐々に膨らませていきます。
極端ですが、I like apples. に because・・・と理由をつけるだけで随分英語の印象は変わってきます。どんなシンプルなことにも理由をつけて答えさせる練習を続けます。
段々と長く話す練習も始めます。単語だけでなく、文章で話す練習は低学年から続けていますが、このレベルでは特に気をつけます。ここを辛抱強く、丁寧にやることで、生徒は自分の考えを少しずつ確立していきます。
この活動を基に、更にスピーチやプレゼンテーション、ディスカッションに発展していきます。
このように、適期教育を行うことで、子どもたちは、自身の成長とともに無理なく英語力を付けていくことができます。
コミュニケーションのための英語
この他にも、mpiの指導法の大きな特長として、「コミュニケーションのための英語を教える」という理念があります。
コミュニケーションのための英語とは、「使う」ということです。使える英語を指導することがコミュニケーションのための英語を教えることになります。
This is a pen. はbe動詞の役割を“文法的に教える”には完璧な英文ですが、日常で使うことはまずありません。
文法を理解するための英文と実際に使うための英文を棲み分けると、おのずとコミュニケーション指導する時に必要なものがわかってきます。
mpi指導者養成セミナー
上記のような理念を体験しながら学べる『mpi指導者養成セミナー』では、更に具体的に、教室でどのように教材を使い生徒を指導していくか、グループディスカッションや模擬授業などの実習を通して、体験しながら学んでいきます。 体験型の講義は、「実践ですぐに活かせる」、「自信がつく」などの様々なメリットがあります。
子どもたちの未来を輝かせる、児童英語指導者のプロフェッショナルになるには、知識や技術の他に、理念が欠かせないとmpiは考えます。
児童英語指導者としての考え方を学びたい皆様、ぜひmpiのセミナーにお越し下さい。 mpiはこれからも皆様と一緒に、日本の子どもたちの未来を輝かせていきます!
☆mpi指導者養成セミナー『教室開設コース』はこちらから
次号は、「英語で英語を教える」 オンリーイングリッシュ指導法についての記事を、掲載予定です。
◎mpiイングリッシュスクールズでは「15歳で世界の同世代とコミュニケーションがとれること」を最終目標に、9年間の一貫カリキュラムを実施しています。
『9年間カリキュラム』が分かるmpiイングリッシュスクールはこちらから
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