◆フォニックスを学んでみたい!
-大人になってからフォニックスを学び始めるときと、子どものうちに学ぶのとでは、学習方法がどのように変わってくるでしょうか?
大人はすでに英語の学習経験があり、英単語や英語表現も学んでいます。しかし、読み書きの英語からスタートした多くの方にとっては、英語の音はあまり聞き慣れていないのではないでしょうか。そのために英語が聞き取れなかったり、「英語は苦手!」が先に来てしまっているように思います。
大人も子どもも、まずは耳から英語を聞いて、英語の音声の聞き取りから始めるのは同じ。
ですが、大人になってからは、文字の組み合わせと発音の関係のルール=規則性を、理屈できちんと理解し、納得して、自分のペースで段階を追いながら、フォニックス学習を進めていくことができるのが良い点です。今まで学んできた英語の知識を、英語の音声から見直し、もう一度整理してみることで、新たな発見や気付きがあったり、これから英語を学ぶ子ども達へのヒントがみつかるかもしれません。
-フォニックスは英語を読み書きできるようになるための学習法だと聞きましたが、CDなどの音声教材を使うのはなぜですか?
言語とはそもそも意味を伝えるためのもの。大昔は意味を伝える手段は音声しかありませんでした。文明の発達とともに、記録をしたり遠くの人に伝達するために文字が生まれたのです。例えばアイヌ語などは、音声による口承をもってのみ語り継がれてきたため、現在でも文字が存在しません。
言語というのは、最初に意味ありきで、その意味を伝える音声があり、その音声を記す文字がある、と言うサイクルにて習得していくものです。
従って、英語学習を手助けするフォニックス学習においても、音声は不可欠なのです。まずはCDを使って耳からたくさんの正しい英語の音を聞いて、その上でルールを理解し、まねして言えるようにしていきたいものです。
正しい音を聞き分ける力がつくと、その音をまねして言えるようになり、次のステップとして、正しく読んだり書いたりできるようになります。
-自分が正しく発音できているかを確認するにはどのような勉強法があるでしょう?
フォニックスは音声学ではありませんので、細かい一つ一つの音を分析していくものではありません。もちろん一つ一つの音も大事ですが、英文の中で、自然に英語らしい発音で言えるようになることを目指したいものです。早口言葉、チャンツ、簡単な会話文などのCDを繰り返し聞き、英語独特の音を楽しみながら練習していくのがいいですね。
時々はご自分の発音を録音して聞いたり、またはご家族の方、友人などと一緒にお互いの発音を聞きあい、確かめ合うのも一つの方法かもしれません。
mpiの通信講座では数回の“テレフォンクリニック”がありますので、特に苦手な音や気になる音についてはその時にご相談いただくこともできます。
-英語はある程度理解しているつもりですが、フォニックスは学んだことがありません。どのようなメリットがありますか?
英語は文字の組み合わせ方によって表す音が変わりますが、その規則性を整理して学ぶのがフォニックスです。その規則性=ルールの分け方はたくさんありますが、日本人に最も役立つと思われる84のルールをmpiの「フォニックスってなんですか?」では紹介しています。
英語の「文字」と「音」を結び付けて、合理的にこのルールを理解し、学んでいくことで、
英語の音をより正しく聞き取り、より正しく発音できるようになります。その結果、通じる英語が話せるようになります。
初めて出会う英単語についても複雑な発音記号に頼ることなく、フォニックスルールをあてはめて、音をつなげたり分解しながら、自分で推測することで、その単語が読めるようになったり書けるようになります。
丸暗記だけの英語に縛られるのではなく、英語を自分で操っているような感覚になり、英語の世界を更に深く味わい楽しめるようになります。
-英語が苦手でもフォニックスを学べますか?
もちろん大丈夫です。
上記にもあるように、丸暗記の英語、発音記号に頼る英語ではなく、英語の音を聞き、聞き分けることから初めて、その音をまねして言ってみる、ルールを当てはめて読んでみる、など自分で一つ一つ納得、理解して段階的に進めて行ける学習法なので、合理的にかつ効率よく英単語が英語らしく言えるように、また読めるようになっていきます。自分でコントロールしながら英語と向き合っていけるので、英語に対する苦手意識も、だんだんと払しょくされていきます。
英語が苦手な中学生・高校生にフォニックスを取り入れたところ、自分で英単語が読めるようになっていくその達成感から、英語学習が楽しくなり、自信もついてきた、と言う報告もたくさんあります。
◆フォニックスを指導できるようになりたい!
-フォニックスを子どもに指導することで、子どもたちの英語学習にどのようなメリットがありますか?
アルファベットの一つ一つの音を正しく聞き分け、言えるようになるので、カタカナ英語ではない
通じる英語が話せるようになります。
英語の音を正しく聞き取り、正しく発音できるようになり、英単語の綴りを丸暗記したり、発音記号に頼ることなく、英語が書けるようになる画期的な学習方法です。自ら、英語を読んでみよう、書いてみようとする自律した学習者を育てることができます。
わかった!読めた!もっと読んでみよう!書いてみよう!英語って楽しい!と実感できることが、英語学習への良い動機付けとなります。
-フォニックスは欧米で開発された指導法ですが、日本の子どもたちを指導する際、特に気をつけることはありますか?
欧米の子どもたちは小さい頃から英語を聞いて育っていますので、4~5歳くらいからでもフォニックス学習を取り入れて、文字と発音の関係を学んでいくことが可能です。
しかし、日本の子どもたちは英語の下地がゼロ状態ですから、いきなり英語の文字と発音の関係を指導することはお勧めできません。
フォニックス学習をすると英単語が読めるようになりますが、その単語の意味が分かる状態でないと、学んだときの達成感がありません。従って、ある程度、英語で意味が理解できる、という下地を築いておく必要があるのです。
できれば小さい時から歌やチャンツ、絵本、会話などの英語の音声をたくさん聞かせ、英語の音声に慣れ親しみ、まねして言えるようになることを目指して、英語の“音の世界”を楽しむことから始めましょう。その後で、それまで聞いてきた英語の音と英語の文字を結び付けるフォニックス指導を始めるのが効果的です。高学年から英語学習を始める子どもにも同様に、ある程度の英単語、英語表現、英文を聞いてわかり、自分でも言えるようになってから、その音と文字(アルファベット)の関係を知るフォニックスを取り入れるようにしましょう。
英語学習は読み書きから始めるのではなく、まずは英語の音声をたくさん聞かせる→アルファベットの名前と形を認識させる→アルファベットの音を聞かせる→その音をまねして言わせる→音をつなげて自分で単語を読ませる→読める単語を書かせてみると言う手順で進めるのがより効果的であり、効率よく楽しく英語を学習することができます。
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