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2012年7月6日

名作絵本が英語教材になる理由「3匹のこぶた」英語版 ---The Three Little Pigs

東京都 mpi English School 本部校 金子由美

レポート:小学校英語の現場から

今月は世界の名作『3匹のこぶた』英語版絵本について、その活用法と効果をお話させて頂きます。

レポート:小学校英語の現場から

子どもにとっての『絵本』という存在の大きさ
現在子育て中の方もこれからの方も、また、ご自身の記憶をたどってみても、小さい頃手に取った『絵本』の存在が、育児の中で欠かせない要素となっているのではないでしょうか。言語を問わず、小さい頃からの絵本の読み聞かせは、親子の関係を育み、また社会性をも育てる素晴らしい育児法の一つと言われています。

一方で、言語を覚える上での『絵本』は、「日常的な表現」やその国の「文化」がそのまま入っており、ことばの「リズム」、「発音」、「文法」などの事柄を一度にインプットできる最高の教材とも言えます。

子どもにとって身近な『絵本』を、言語を学ぶ際のテキストとして使用する方法は、さまざまな観点から提案されてきましたが、絵本とひとくちにいっても、さまざまなジャンルがあります。教材として、内容を十分に選定し、制作されたものもありますし、作者や編集者のメッセージ・世界観を、余すところなく絵や文章に込め、作り上げたものもあります。
今回取り上げる『3匹のこぶた』は、多くの絵本の中でも名作として、世界中で愛されている作品です。

名作絵本で言語を学ぶ利点
こちらのおとぎ話、初版は18世紀にまでさかのぼるようですが、皆さんもご存知の通り、いろいろなバージョンがあります。古いお話では、1番目と2番目のこぶたが、オオカミに食べられてしまうものもありますよね。近年では皆様もご存知の通り、最初の2匹がレンガで頑丈なおうちを立てた3番目のこぶたの家に逃げ込んで… めでたしめでたしの内容が主流です。Walt Disneyのアニメも有名かと思います。
mpiの英語絵本『The Three Little Pigs』(3匹のこぶた英語版)はもちろん後者のお話になっています。

さて、この誰もが知っている名作を「英語教材」として使用する際には、どのような利点があるでしょうか?

身につけた英語を披露する場にて
まず、mpiイングリッシュスクールが大事にしている「発表教育」の観点からお話ししますと、このお話は英語劇の題材に非常に向いています。なぜなら劇の発表の際、誰が観客であっても、瞬時に内容を分かってもらえるからです。これは実は、子どもたちにとってとても大きな利点です。
英語があまり得意ではない(かもしれない)、おじい様、おばあ様にオープンクラスデー(参観授業)に来ていただく際にも、おおいに発表を楽しんでもらえることで、発表者である生徒たちも十分な達成感を味わうことができます。

また、mpiの『The Three Little Pigs』の大きな特徴の一つとして、Narrator部分を非常にシンプルに作ってあります。それによって、絵本でありながら英語劇用の台本としてもすぐに使えるようになっています。多くの英語劇の台本はNarratorの部分が難しいことが多く、そこを先生が担当せざるを得ないことも少なくありませんが、Narrator役も生徒が出来るように、英語のレベルも語彙数も非常に注意深く作られています。
英語を学習中の子どもたちにとって、英語で劇をする事は決して簡単なものではありませんが、※「リズムリーディング」の次のレベルの活動として、英語劇の発表は大変効果的です。 ※リズムに乗せて本文を読んでいくこと

また、「リズムリーディング」では、一定のメロディーにあわせてリズムよく・発音よく読むことがゴールになりますが、一方の英語劇では、言葉(台詞)に気持ちを乗せて、役になりきって言う事が非常に大切になります。これは、子どもたちの英語力を伸ばすのに大変果的です。

気持ちを込めるという学習法
また、Narrator部分以外でも、『The Three Little Pigs』では英語をできるだけシンプルにすることで、気持ちを込めて朗読しやすいようにできています。子どもたちにとって、英語(せりふ)が難しいと、せりふを暗記するだけに精一杯になり、言葉に気持ちを込めるまで気が回らないことが多々ありますが、この絵本ではその心配はいりません。

絵に関しても同様、mpiの『The Three Little Pigs』では、シンプルな絵を引き立たせるために、背景画をできる限り少なくしています。
そこで、私からの提案ですが、例えばP4では、狼の隠れている森の絵を描かせてみたり…、P7では生徒オリジナルのわらのおうちを描かせたり…、と背景を書き込んでオリジナルブックにしていくと、生徒の性格や個性がよく分かって楽しいレッスンになります。
高学年には「ふきだし」を描かせて、その中に台詞を書かせていくのも良いですね。

教材に自分の言葉や絵を書き込んでいく、といった作業も、子どもたちにとってはワクワクする出来事ではないでしょうか。

ユニークさも残したバージョン
余談になりますが、このお話に登場するオオカミは、こぶたたちにとって、それはそれは怖い猛獣ですが、個人的には彼のp20のセリフ “Aha!” が非常に好きです。 p20-22では、オオカミが罠にはまって逃げ出す場面が描かれていますが、前述の“Aha!” や “H, hot., hot!” というセリフが、何か憎めないキャラクターを表していて、思わず少し笑ってしまう内容となっているところが、特にお気に入りのポイントです。

子どもたちの成長レベルに合わせて使い分ける
最後に、以下それぞれのステージの子どもたちに、特にこの教材をどのように使うと効果的かをお話したいと思います。【Pre-Phonicsステージ】
・絵本を絵本として楽しみましょう。
・巻末に載っているチャンツを歌いましょう。
【Phonicsステージ】
・このステージにとって読める単語がたくさんあるので、フォニックスリーダーとしても使えます。読める単語を探しながら読んでみましょう。
・CD No 3,4の「リズム読み」に挑戦しましょう。 
・プロソディ―に注意を払って、CDと同じように読んでみましょう。
・英語劇に挑戦しましょう。
【Post-Phonicsステージ】
・CDを聞く前に、自分で読んでみましょう。どこまで読めるか挑戦してみましょう。
・CDをよく聞いて、英語劇に挑戦しましょう。

子どもたちの成長に合わせて幾通りもの使い方が可能なのも、mpiの教材の特徴の1つです。

『The Three Little Pigs』教材ページはこちらから


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