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2020年8月7日

オンラインレッスンについて ~今までとこれからについての考察~

LTE子ども英会話主宰
奥真弓

現在、大阪府茨木市で英会話を教えています。奥真弓です。大阪に引っ越してきて5年目に入りました。大阪に来る前に横浜市で1年間だけお試しで教えていた生徒さんの強い希望で、大阪と横浜間の遠隔授業を続けることになり、そこからSkypeを利用したオンラインレッスンがはじまり、現在に至っています。

オンラインレッスンを始めた頃はまだまだ情報も少なく、わけもわからずとりあえずつながればいい、お互いの声と 顔がある程度見えたらいいと思っていました。困ったことがあれば、その時に対処する、出来ること出来ないことも生徒さんと保護者の方の協力やフィードバックをいただきながらレッスンを続けました。

phonicsの指導のためのカードもどうやってActivityをすればいいか、試行錯誤しました。それぞれに白紙のはがきカードを送ってその表にイラスト、後ろに単語、その説明を書く、送ってもらってラミネートして送り返したこともあります。鉛筆などの色が移ってしまって汚くなってしまって結局使えなかったり。時間がかかってしまい結局カードとして使えず終わってしまったりと、生徒への負担が大きいものはダメだと学びました。

オンラインクラスは基本的には夏休みや発表会の前に一度だけ対面の指導、それ以外はCDをしっかり聴くこと、CDの音源を完全コピーしてね、という指導をしています。そのおかげで今でもほとんどの生徒が年間200時間リスニングをしています。結果的に驚くほど発音がいい生徒が育ったので、実際にお教室に通っている保護者の方々へもリスニングがどれほど効果的かというお話をしています。また、大阪茨木P発表会へも横浜から大阪の会場へ参加してくれました。とても良い経験でしたし、こどもたちも自分たちの発音などに自信を持てるようになったのではないかと思います。去年まで、3回連続で参加いただいています。練習はすべてオンラインとLINEを利用して行っています。去年はYouTubeの限定公開機能も各自の練習に活用しました。

大阪在住2年目には2クラスだったオンラインクラスも3クラスに増え、同時に「大人のためのフォニックス講座」をはじめました。子どもがフォニックスをどう学んで、読む力に変えていくのかを実際に経験していただくことで、お子さんを助けて、一緒に楽しんでもらえると思ったからです。そのクラスのお母さまは去年英検準2級を受験されました(合格しました)。英語を学ぶことが楽しいと思っていただけてとても嬉しく思っています。

2018年10月から吹田市でGeeKidsを主宰している廣瀬英子先生と二人で「大人の絵本読み聞かせ講座」を月2回、全4~5回で1冊のペースで読む講座を開講しています。徐々に生徒数も増え、現在は10~12名の方が参加してくれています。これからも多読を通じて英語を楽しんでもらいたいと思っています。こういった経験もあり、昨年くらいから教室間を超えた活動が出来ないか考えるようになりました。昨年はその一端として横浜にいたころから仲良くしていただいている川崎市の大川美和子先生の生徒さんが大阪茨木P発表会へ参加してくれました。どの生徒にとっても刺激的で新しい経験になったと思います。また、大人の絵本読み聞かせ講座の生徒さんと私のクラスの生徒で合同で発表もしました。

コロナの影響で学校が休校になるとわかった時点で全クラスをオンラインに切り替え、zoom一本に絞りました。低学年のクラスはちょうどThis is Phonics1の新しいユニットに入るところだったので、A4用紙にイラストと単語を描いたシートを作成し、対象の家庭に配布したりしました。大人の絵本講座もオンラインで行い、そこで実験的にブレイクアウトセッションを使いながらどうしたらアクティブラーニングにつなげられるかと考えていました。

オンライン化に際し困っている先生方がきっといらっしゃるだろう、自分が先生方の立場だったらどんなことが出来たら嬉しいか、助かるかを考えてから、個人的にお声掛けをしてセミナーを実施させていただきました。詳しくいうと、お話を「聞くだけ」という一方的なzoomやオンラインレッスンのセミナーはゴロゴロありましたが、実際指導者としてすでにたくさんの生徒さんがいる先生たちに必要な「実践の場」を、共同ホスト機能を使った「ホストとして機能を使いながらデモをする」セミナーを実施しました。また、希望される先生には私のオンラインクラスへの見学も受け入れました。

今後コロナが落ち着いたとしても、しばらくは大きな会場で集まるセミナーは開催されないでしょう。オンラインで困っていた先生は「生徒とのレッスンをいきなり始めることが怖かった」のだろうなと思います。そうすると、次に来る問題は「生徒が教室にもいて、オンラインでも受ける同時進行型への移行をどうするか」です。生徒をどこに座らせるのか、PCはどう設置するのか。カードを読ませたいときはどうしたらいいのか、「オンラインの生徒の視点」を知ることが大切なのではないか。そこで、オンオフ共存レッスン実践講座を限定数で開きました。各自が考えた設置方法や指導方法をすることで、お互いに学び、生徒の視点でのアドバイスをし合い、検証してもらいました。このような方法は今後いろいろな場面で必要になってくると思います。

大切なのは、オンラインであれ、それ以外であれ、「生徒たちへのしっかりとしたレッスン指導」だけではなく、その他の勉強会などでわたしたち教える方も「お互いが学びにつながる活動があるべき」点だと思います。グループに分かれてデモレッスンをする、生徒の視点でお互いにアドバイスをする、それこそアクティブラーニングの場がもっと必要になっています。mpiのセミナーや研究会以外で他の先生方の指導法を学ぶチャンスはとても少ないです。今回のことで、その部分が浮き彫りになったように感じました。自分が困ったときにどうすればいいのか、頼れるところがある人とない人で大きく教室展開に差が生じたのではないでしょうか。

これから私がしていこうと考えている(企画している)活動は、大きく二つに分かれます。
一つ目は教室間を超えた共同活動。4月から川崎の大川先生に声をかけて、一緒にBBL reading projectを立ち上げました。BBLの1冊を5分割して、毎週違うパートを担当し、動画を撮って提出してもらっています。発音指導などをコメントし、1年間でどれくらいリスニング時間に影響するのか、英文を読む姿勢、読み方等に変化が現れるのかに注目しています。子ども同士もコメントを出来るようにしているので、お互いの動画もよく見ているようです。発音で注意すると、やり直しを提出してくる生徒、レッスンの時によく気を付けている生徒、それぞれですが成長が少し見られるようになってきました。(Padletを利用)

二つ目はCLILへつなげる活動。ずっとどうやったらTAGAKI、BBLや絵本と他のテキストをリンクさせながら指導できるか、ただ読むだけではない教育が出来るかを模索しています。昨年デミアン先生のConnecting Reading and WritingセミナーでさらにTAGAKIでのアイコンの導入、BBLでのインタビューの活動など取り入れるようにしました。インターネットを利用する回数が増えるので、今後必要になるのは多面的な物の調べ方、見方、考え方を持つことです。例えばQA200とSpeech Navigator2, TAGAKI40をつなげた発表はできないか。TAGAKI 40だけでも自分の考えやアイデアをどうやってスパイスのように入れられるか。BBLはワークシートを作ったり、とにかくたくさんの視点を持つこと、想像することなどを大切に指導するようにしています。例を挙げると、ミイラの作り方(BBL5Meet the Mummy)、Park Daleは実在するのか(BBL4 Octopus Attack)、タコの心臓はいくつあるのか(同)、気候変動について、Water Cycleについて(BBL4 The New Teacher)など、イラストから色々なことを読み取る、調べる、まとめる活動をしています。ただし、これらは日本語でしています。英語でいきなりやれと言っても出来るわけではないので、まずそういう視点を持つことを意識づけてから少しづつ英語で書いたり表現したりする方向へつなげようと思っています。一方で、私から生徒たちへ情報をシェアするときはなるべく英語の動画であったりArticleをシェアするように心掛けています。BBL7ではHistory Projectについて物語があるので、実際どんなことを学んでいるのか、Projectとはどんなものなのか、自分たちなりに考えて作成して、提出させようと思っています。(まだ実験段階なので、どんな結果に繋がるか私も楽しみです)

これからオンラインレッスン対応をしている教室は生徒を増やすチャンスがどんどん来ると思います。今までは通うことが前提でしたが、今後はオンラインで良い先生に巡り合える機会がどんどん増えていきます。受け入れる側としては対面レッスン、オンラインレッスン、同時に行うレッスンと3種類の授業をすることになります。一見大変なように思いますが、根底は「より良い英語教育のため」なので、少し視点を変えたりするだけで教師側の負担も軽減されると思います。


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