すっかり市民権を得た感じの「フォニックス」。
英語教育に関心のある方ならご存知の方も多いことと思います。
今日は、「フォニックス」ではなく、「フォネミックアウエアネス」についてお伝えします。
フォネミックアウエアネスってなんですか?
フォニックスじゃなくてフォネミックアウエアネス?
聞きなれない言葉だな、と思われることでしょう。
フォニックスと言えば、そう、英語の「つづり」と「音」の間のルールを学ぶ学習法ですね。英単語のつづりには規則性がないから丸暗記しかないと思われている方もまだ存在しますが、実は、あるんです。規則性!!!
その「つづり」と「音」の間のルールを学ぶと…
- 単語が覚えやすくなったり
- 発音がきれいになったり
- リスニング力があがったり
といいことづくめ。
このようにとても学習効果が高いことが知られるにつれ、フォニックスはママ達の間でも人気が出ているというワケ。
幼児さんママから「うちの子にも早く教えて欲しい」とリクエストをいただくことがしょっちゅうです。
でもちょっと待ってください。
ルール・規則性というくらいですから、中にはちょっと難しいものもあるのです…。
いくら良いものとはいえ、発達段階を考えずに与えてしまうと消化不良をおこしちゃいますよね。
ネイティブの子どもたちでも、フォニックスを学ぶのは「しゃべれるようになってから」。
つまり
体の中に英語の音がたくさんたまってからなんです。
では、日本の幼い子どもたちには、フォニックス的(音声的)な学びができないか、というとそんなことはありません。フォニックスの前段階にピッタリな学習方法があるんです。
それが、フォネミックアウエアネス。
「フォネミック=音声的な」「アウエアネス=気づきを促す」といった意味です。
この、「フォニックス学習の前に行う英語の音感を育てる活動」=「フォネミックアウエアネス」は、ネイティブの子どもたちも受けている指導法なんですよ!
フォネミックアウエアネスは、音遊びなので、文字を導入する前に始めることができますから幼児期にぴったり。しかも、その後に続く読み書きの学習=フォニックス学習をより効果的に行うことができるようになることが知られています。
現場の先生方からも、フォネミックアウエアネスを導入した後では、生徒さんのフォニックスに対する理解度や定着度合いが格段に良くなったとの声が多数寄せられています。
どんな効果があるの?
では、フォネミックアウエアネスを学ぶと具体的にどう変わるのでしょう?
- 英語の音に敏感な子どもに育ちます!
人間は成長とともに、周りで聞こえない音(母語にない音)を、それに近い母語の音で置き換えて覚えることがわかっています。耳の機能が、日本語の音だけにチューニングされる前にフォネミックアウエアネスを学ぶことで、英語の音にも敏感な耳を育てることができます。
- フォニックス学習の効果が高まります!
単語を聞いて音に分解したり、分解された音をつないだりするアクテビティを行うことで、英語の話し言葉の音声の成り立ち=音節・音素や強勢といったものを意識することができるようになります。これが、のちのフォニックス指導で効果を発揮します。
Superstar songs 1 で学べることは?
このフォネミックアウエアネスを日本人の子ども用にアレンジしたのがSuperstar Songsシリーズです。おうちでどんなふうにとりいれたらよいのでしょう?
まず、この教材の構成をご紹介しますね!
1曲が以下のように4つのパートで構成されています。
- 歌を楽しむ Singing Time
- ライム(韻)に気づかせる Rhyme Corner
- 英語音あそび教室① Fun-fun Time
- 英語音あそび教室➁ Superstar Time
1. Singing Time
ページ下には、どんなふうに歌を導入したらよいのかのコツなどが書いてあります。例えば、"Open Shut Them" (pp.6-7)では、『1番を聞く前に、open, shut, clapなどの主な動作を練習しましょう』と導入のヒントが載っています。こうすれば、日本語を使わなくても、子どもに英語の意味を理解させることができますね!
2. Rhyme Corner歌のページの右上にあります。英語は韻を踏む言語だということが感覚的にわかるようになると、より英語の歌を楽しめるようになるでしょう。
3. & 4. Fun-fun Time と Superstar Time
フォネミックアウェアネス(英語の音遊び活動)の中心です。
では、具体的に、Superstar Songs 1のUnit7 Monkey, Monkeyを使って説明しますね。
1. Singing Time Monkey, Monkey
この歌は、英語版「どれにしようかな、神様の言う通り」(笑)。
歌詞の1行目:Monkey, monkey, bottle of pop と
2行目:On which monkey do we stop? を同じ長さと同じリズムで歌います。英語が話せる子どもを育てたかったら、まずは、歌から英語のリズムを身につけさせるのがポイントですよ!
2. Rhyme Corner
Monkey, Monkeyに出てくる
pop-stop
three-he
のそれぞれの音に気づかせましょう。ライム(韻を踏む)になっていますよね。
3. Fun-fun Time
ここではより英語らしい音が出せるよう口の筋肉をほぐします。
どうやってやるのか、「おとあそび教室」の解説を見てみましょう。
日本語を話すときはあまり口を動かしませんから、こんな風に体を動かしつつ口の筋肉をほぐすと子どもたちは楽しんでやってくれるんですよ。
活動を通して音の違いを聞き分けたり、発音したりすることで、英語らしい音になじんでいきます。日本語にはない、「英語らしい音」を出すための口のたいそうです。「音まね」練習で英語の音が身につきます。
4. Superstar Time
ここでは単語の終わりの音(※)に注目させています。
Monkeyとpopのどちらと同じ音を含むのかを聞き分ける活動です。
例えば、threeは、monkeyとpopのどちらと同じ音で終わっていますか?
Monkeyのほうですよね。終わりの音に注目させて、聞き分けるような遊びを通して、音声記憶を鍛えることができ、それが英語らしい発音を身に付けることにつながります。
※単語の最後のアクセントのある母音以降の響き
歌や音あそびで知らず知らずのうちにたくさん英語の音を聞き、たくさん言う練習ができる活動、フォネミックアウェアネス。子どもはどんどん英語の音を吸収していきます。
「おとあそび教室」の活動のタイプと狙いは、Super Star Songs 1 p.58にまとめてあります。こちらも是非参考にしてください。ママが理解してからお子さんと楽しむとより効果的ですね。
1つ気を付けていただきたいのが、お子様の年齢によっては、「おとあそび教室」の活動は難しいこともあります。そんな時は無理をせず、1.の歌だけにとどめ、英語に慣れたころを見計らって再挑戦するなどして調整してあげてくださいね。
まとめ
文中にも書きましたが英語を使える子どもに育てたかったら、最初に「聞く」の部分を鍛えるのが大切です。それにピッタリなのが「歌」であり、今回お伝えしたフォネミックアウエアネスの活動です。
お子様に無理なく使える英語をマスターしてほしいとお考えのお母さまや、読み、書きの段階に進んだときにフォニックスをより効率的に学べるようにしてやりたいとお考えのお母さまにSuperstar Songs 1をおススメします。
■関連セミナー
英語うたの指導法にご興味のある方には…
英語のリズムを教えよう(初級1回目・単発受講可能)
フォネミックアウェアネスに興味のある方には…
mpi式フォニックスのルールと発音を学ぼう(中級7回目・単発受講可能)
■関連教材
Super Star Songs 1, 2, 3 / DVD 1, 2, 3
記事を担当したのは mpi 松香フォニックス 教育アドバイザー 山口幹代
(株)mpi松香フォニックス 教育アドバイザー
mpiパートナー教室「えいごナビ」主宰
ロンドン大学 Institute of Education 教育学修士(MA)
国立九州大学文学部英語英文学科卒業