これまで文法を中心に受験英語を教えてこられた英語の先生の中には、
「アルファベットもわからない子どもにどうやって英語を教えるの?」
そう思っていらっしゃる方も多いかも。そんな先生方におすすめしたいのが、音声教材付き(CD)の英語絵本です。
保育園でのレッスンを持っていたときのこと。0歳~1歳児が14人。2歳児5人、3歳児が2人という構成。2歳児さん以上は椅子に座りますが、0~1歳児さんは、放し飼い((笑))なので、当然カオス状態(笑)!!ところが、英語の音読がはじまると、水を打ったようにシーン!!! ハイハイしていた赤ちゃんが首をこっちに向けてその姿勢でとまっています。お友達とおもちゃで遊んでいた赤ちゃんもやめてこちらに集中。その状態が絵本の朗読が終わるまで続きました。
その集中力たるや! 全身を耳にして聞き入っているのが手に取るようにわかり、絵本のもつパワーに驚かされた経験でした。
1. 英語絵本で英語を学ぶメリットは?
最初に出会う英語はその後の英語に対する印象を決める大切なもの。その出会いは、楽しい経験にしてあげたいですよね。英語絵本はその意味からも最高!
「絵」があるので、子どもたちは英語を英語のまま意味を理解できます。
その絵本に音声教材がついていたら、単語や文法、文化のインプット源となるだけでなく、リズムや発音、イントネーションといったことまで一緒に学べる優秀な素材になります。
英語絵本を使ったレッスンは英語力だけではなく、ストーリーを通して子どもの心も育むことができます。まさに一石二鳥どころか三鳥も四鳥もの効果が狙えるのが、音声教材つきの英語絵本なのです。
2. 英語絵本を子どもが読めるのですか?
英語の先生からも保護者の方からもよく聞かれる質問です。実際には、いきなり「読む」のではなく、まずは耳で聞いて覚えてゆきます。ストーリーを絵で理解しつつ、絵本の英語の文字をながめつつ、同時に英語の音声を聞かせます。
子どもの、耳が鋭敏な時期に意味が分かる音声をたくさん聞かせ、聞こえた通りに言う練習をするのです。大人が思う「読む」とは少し意味が違いますが、ここが絵本をつかうポイントです。
mpiの英語絵本には楽しく絵本を楽しめる工夫がたくさん詰まった音声教材(CD)がついています。
どんな音源かというと、こんな感じです。
- お話を楽しみましょう(効果音入り)
- もう一度お話を楽しみましょう
- 歌をうたいましょう
- リズムに合わせて一緒に読みましょう(リズム読み)
- 歌のカラオケ
- リズム読みのカラオケ
先生と一緒にリズム音読している子どもたち
少しずつ読み方を変え、アクティビティを変えていくことで、信じられないかもしれませんが、1~2ヵ月で絵本を丸ごと暗唱できるようになります。また、音声を聞くだけでなく、絵本の内容に合わせた様々なアクティビティで内容理解を促すので、ストーリーの流れも英語だけでちゃんと理解できるようになります。アクティビティは以下のような、特別な道具やカードなどを使わないシンプルなものがお勧めです。
1. Open the Page Activity
やり方: 先生が言ったもの・人などが描かれているページを開くことで絵本に慣れ親しむ
2. Q and A Activity
やり方: 絵についての簡単な質問に答えて、内容理解を深める
講師からのQに楽しそうに答える子どもたち
さらに最後には、絵本のフレーズを使って自分のことを紹介する"Show & Tell"と呼ばれる簡単なスピーチを出来るまでになります。
Show and Tell
やり方: 自分のすきなページなどを見せながら発表
mpiの英語指導者養成セミナー:
初級プログラム 第4回 「
絵本で英語を教えよう」
3. どんな絵本を選んだらいい?
絵本なら何でもよいというわけではありません。
まずは、音声教材(CD)がついていることが必須。それ以外の条件を下に記しますから、絵本選びの際にお役立てくださいね!
- 絵が多く、イラストでストーリーがわかりやすい
- 英語が少ない
- 文章や単語のくり返しが多い
- 英語にリズムがある
- 楽しくユーモアがある
- 替え歌がある
- 文化的な情報がある
ここではWhere's Sam?(mpi松香フォニックス刊)を例に、詳しくみていきましょう。
1. 絵を見るだけでストーリーが想像できるものが、はじめての絵本としては適しています。
Where's Sam? p6,7
絵を見れば、「歯磨き粉のふたを落としちゃった!ママに叱られる~」、という状況がわかりますよね?
また、絵本を開いた時に文字がいっぱいあると、開いた瞬間、それだけで「うっ」となってしまいませんか? Where's Sam? には、英語は各ページ1行のみ。少ない英語で、「もう1冊よめちゃった♪」というものから始めるのがコツです。
文章にくりかえしが多いと意味の理解もしやすくなります。英語独特のリズムの体得もしやすくなり、音読・暗唱もラク。入門期の子どもに自信をつけさせることができます。以下の3ページは"He's not in the・・・"をくり返しながら、お家のお部屋の単語を学習することができるページです。子どもたちは頭の中で「テレビ見る部屋はliving roomっていうんだ」と思いながら聞いているはずです。
2. 通じる英語を身につけるには、英語のリズムを体得することが大事。日本人はどうしてもすべての音を同じ強さ・長さ・高さで発声しがちですが、CD音声と一緒に聞こえた通りにリズム読みをさせると自然にネイティブのような英語らしさが身につきます。
3. 欧米ではユーモアのセンスで人としての器の大きさをはかるようなところがあります。ユーモアのセンスを育てるにはユーモアに日頃から接しておくことが大事ですね。この絵本ではSamの兄弟が自分の体をつなげて、助けに行くという発想がとってもユーモラスですよね。
4. ストーリーがそのまま歌になっているので、まさに歌を覚えるような感覚で絵本1冊丸ごとをラクに暗唱できます。インプット量を稼ぐにはリズムや歌にのせて覚えるのが一番らくちん(^^♪
5. 登場人物や背景などから異文化を知ることができます。絵本が異文化理解の役割も果たすのです。Samのお家のカラフルさなど日本のお家にはないものを子どもたちは敏感に感じ取ります。
まとめ
読み聞かせだけでも、さまざまな効果がある英語絵本。ですが、音声教材を活用し、子どもが夢中になるアクティビティをプラスして、一冊を使い倒すことができます。もっと絵本を深く使いたい方は、アクティブラーニングを促すmpiオリジナル絵本アクティビティブック / DVDもぜひご活用ください。
今回は先生の目線で絵本についてお話しましたが、もちろんご自宅でお家の方がお子さまと同じように絵本を楽しん頂けます。その際はDVD教材を使うことをお勧めします。mpiのオリジナル絵本シリーズには「うごく絵本」として、同シリーズ対応のDVDがあります。
英語絵本は…
- 英語の習得の必須条件であるインプットができ、
- 推測する力を養い、
- 英語らしさを体得させ、
- 英語への自信がつく優れものです。
是非、入門期の子ども達の指導にお役立てください。
関連教材
mpiオリジナル絵本(CD付き)・アクティビティブック・DVD
関連セミナー
英語指導者養成セミナー
初級プログラム 第4回 「絵本で英語を教えよう」
記事を担当したのは mpi 松香フォニックス 教育アドバイザー 山口幹代
(株)mpi松香フォニックス 教育アドバイザー
mpiパートナー教室「えいごナビ」主宰
ロンドン大学 Institute of Education 教育学修士(MA)
国立九州大学文学部英語英文学科卒業