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2013年2月12日

児童英語指導法~英語絵本・多読

mpi会長 松香洋子

レポート:小学校英語の現場から

mpiの教材は、次の4つのジャンル;「歌、チャンツ、リズム」「絵本、多読」「会話、自己表現、文法」「フォニックス」に沿って制作されています。
これらのジャンルをそれぞれ、子どもの年齢に応じて適切にまんべんなく指導していくことで、子どもたちは使える英語を身につけていくことができます。
本日はこの4つのジャンルのうち、「絵本、多読」について、年齢に応じた指導法とは?という観点からポイントをまとめてみました。

レポート:小学校英語の現場から

皆さんは子どもの頃、どんな絵本を読みましたか?
その中でも特に心に残っている絵本は何でしょうか?
きっと、今でも心の支えとなっている「大切な1冊」をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

子どもは絵本で育つと言ってもいいかもしれません。
私が2人の子どもを連れてアメリカに滞在していた頃、絵本を読み始めた小さな2人が、みるみる「英語を読む力」を身につけていくのを目の当たりにしました。
その時、絵本とは、たとえ母語でない言語で書かれていても、楽しんで読んでいるうちに、子どもの心と頭を育てる力があるのだなと感じました。
その後アメリカより帰国し、英語教室を開いた際、英語絵本を使った指導を始めました。
英語絵本は、多読指導の際に音声なしで取り入れられることもありますが、日本で英語を学ぶ上で音声教材は不可欠です。mpiでは特に、音声教材にも力を入れ、英語絵本の研究をしてきました。

現在、mpiで出版したオリジナル絵本教材には、朗読読みの他に、リズム読み、歌、カラオケなどの音声教材を必ず付け、耳からの学習が効果的に進められるようなつくりになっています。 絵本の強みはなんといっても、それぞれの絵本がもつメーセージの強さと、素晴らしいイラスト、写真などです。才能のある作家と才能のある画家、イラストレーターが作り出す素晴らしい世界を、子どもたちは、言葉という壁をこえてのりこえて理解、堪能しそれが英語の習得に深く結びつきます。

絵本教材を含む、mpiの多読・多聴教材は、次の3段階の成長ステージを踏まえて制作しています。

【第1段階】およそ0歳から9歳くらいまで(第2段階に入るまで)
CD、DVD、又は先生の音読を聞いて、絵をみて、知っている単語をさぐる段階。子どもは分かっていないようでも、様々な手がかりで内容を把握している場合が多い。

【第2段階】はやければ6歳くらいから、12歳くらいまで(第3段階に入るまで)
自立した学習者になるために、自分で読もうとする段階。アルファベット→フォニックスの学習を経た後、または、フォニックス学習と同時並行的に、フォニックスルールを使って読めるものを読ませていく段階。フォニックスのルールだけでは読めない筈の単語(sight words) も含めて、どんどん挑戦させていく。

【第3段階】10歳くらいから14歳くらいまで
読んだものから自力で情報を得ようとする。だんだんに音読の練習を卒業し、黙読に入る。文字だけの物を見ても、心の中で発音が聞こえ、リズムがとれ、イメージが沸くようになるのが理想的。

【第1段階】
この段階は多読といっても、読み聞かせが主流です。読み聞かせと言っても、保護者や指導者が文字通り「読み聞かせる」場合もあり、CDで繰り返し聞かせるのも、「読み聞かせ」の一種です。繰り返しの量の確保が成功への道です。
この段階の子どもは本当に英語の“文字”を読んでいるとは限らないので、ここでは英語のProsody(リズム、イントネーション、スピード、声の性質、声の大きさ)をコントロールすることを学ばせます。Prosodyは、コミュニケーションに欠かせない要素です。適切な時期に取り入れることで、その後の英語力を伸ばす大きな土台となります。 評価方法としては、この時期の子どもたちは、歌や絵本などの全てを“音”でとらえ、身体で表しますので、その様子をプロソディーの観点から評価していきましょう。

【第2段階】
自分で読めそうな絵本を選ばせ、自力で読もうとする努力を始める時です。先生が言ったことを繰り返す“Repeat after me.”という方法をやめて、子どもに“Can you read it?”と迫るのがもっとも大切なポイントです。自力で読めたら、オーバーにほめて、さらに自立をうながします。
この時期のパーフォマンスとしては、フォニックスのジングルを発表したり、フォニックスのゲームを行ったり、フォニックスルールを使って読める絵本を、皆の前で読んだりします。そのようなパーフォマンスを通して、音と文字の関係が分かっていくプロセスを確認し、評価していきます。

【第3段階】
自分で読めそうな本や記事を積極的にさぐり、自分で読む楽しさを発見していく時期です。英語でもそのようなことが可能であることを早い時期に確認させたいものです。 自力で読めるものを、他者のために読んだり、まとめ直してスピーチにしたり、それを題材にスキットを作ったり、Show and Tellをしたり、様々な工夫をしながら多読の結果をみんなと共に楽しんでいきます。

mpiの多聴・多読指導は、たくさん聞いて、たくさん真似て、それを声や身体で表現し、やがて内容を楽しみ、それを他者とシェアするという点に重きを置いて指導しています。なるべく多量のもの、つまり一冊全部とかストーリー全部を読むことによって、真に人と人のコミュニケーションが上手にとれるようになっていくのだと思います。

書籍のデジタル化がますます進み、タブレットや携帯で本を読むことも、随分と便利になりました。教材としての英語絵本が、今後どのような形で発展していくか、児童英語業界にとっても非常に興味深い問題です。 デジタル化という意味では、電子ブックのみならず、DVDやスマートフォンなどによる英語教材も年々増え続け、学習効果も高いものが多く制作されています。 その中で、絵本を使った読み聞かせなどの、親子のコミュニケーションの形はどう変化していくのか、たとえ“紙”ではなくとも、子どもたちはストーリーに感情移入ができるものなのか、ノスタルジックな感情を人類は引き継いでいくのかなどに着目しつつ、computer nativeであるこれからの子どもたちに一番必要な英語教材を作り続けたいと思います。

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